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デジタルインテリジェンスが、ティービジョンインサイツと資本業務提携

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デジタルインテリジェンス(以下 DI.)は、3月17日、ティービジョンインサイツ(TVision Insights、以下 TVI)と資本業務提携し、テレビCMの「視聴質」測定データによる、テレビCMの出稿、およびクリエイティブ最適化のコンサルサービスを本格的に開始すると発表した。

TVI社のテレビ「視聴質」測定サービスは、赤外線センサーやデプスセンサーを利用して視聴者を認識する。主な指標としては、「ビューアビリティ・インデックス(テレビが点いていてテレビの視聴可能範囲に視聴者がいる度合い:以下 VI値)」と「アテンション・インデックス(視聴者がテレビの前にいて、テレビ画面を注視している度合い:以下 AI値)」を用い、毎秒のデータを測定する。

これまで、テレビCMの指標として主に用いられてきたのは「視聴率」だった。世帯においてテレビが点いている状態を視聴と捉える「視聴率」だが、近年ではテレビを観ながらスマートフォンを操作するなどの“ながら視聴”も少なくなく、「視聴率」と「到達度」のかい離が指摘されていた。

今回の新サービスを発表したDI.代表取締役の横山隆治氏は、「視聴における“質”の部分を測定できないかというのは、長年テレビCMの課題だった」と語る。TVI社のサービスは、この「視聴質」を測るもので、VI値(テレビ画面前に視聴者がいる度合い)、AI値(画面注視度合い)に加え、「コ・ビューイング(誰と誰で観ているか)」や「画面注視者の表情分析(スマイル・ネガティブ・サプライズ・ニュートラルの4つの表情判定)」の計測も、今後可能にしていくとしている。

TVI社の人体認知テクノロジーで、視聴情報を精密かつ広範囲にデータ化できる。

同サービスによって視聴質が可視化されることで、これを視聴率と掛け合わせれば、到達実態を明らかにすることができる。横山氏は、「到達度を考える上では、15秒間ずっとAI値(画面注視度合い)が高いCMをつくればよいわけではなく、ここぞというブランドメッセージが伝わるところで高くする必要がある。だからこそ、まず数値化することが重要。その上で、なぜこのCMの到達度の数値は100で、このCMは80なのか、という20の差をじっくりと分析することが可能になる」と語り、数値化する重要性を強調する。

数値化することは、すなわちPDCAサイクルを回すことにもつながる。横山氏は「クリエイティブブリーフをデータドリブンでつくることが重要」と指摘すると同時に、次のようにも話す。「とはいえ、データによってクリエイティブがつくられるわけではない。CMには、クリエイターによるいわゆる“クリエイティブジャンプ”が必要。重要なのは、ジャンプするための飛び板をどの位置に、どちらの向きに置くのかということ。その役割をデータが果たすと考えている」。

AI値(画面注視度合い)を1秒ごとに分析できることから、クリエイティブを緻密に分析することも可能。

また、テレビCMの効果を測定する上では、CMクリエイティブそのものだけでなく、放送のタイミング(曜日・時間帯)や前後や挿入される番組コンテンツ、フリークエンシーなどの変数も考慮される。TVI社のTV視聴質測定データでは、AI値(画面注視度合い)が、これらの変数も捕捉しつつ、CMの実際の効果を評価できることになる。取材に同席したTVI社の日本の代表を務める郡谷康士氏も「テレビCMは大きな市場にもかかわらず、これまで明確な指標が『視聴率』以外存在しなかった。「視聴質」を捉えるこのサービスにより、テレビという媒体のポテンシャルを具現化していくことができれば」と期待を寄せる。

TVI社は昨年6月から都内110世帯で実証実験を行ってきたが、この4月からは測定パネル数を600世帯約1600人に拡大し、本格的に視聴質測定データの供給サービスを開始する。実証実験開始から同測定データの分析と「改善のための打ち手」をコンサルしてきたDI.では、これに伴って、共同でデータ販売とデータ分析、およびコンサルティングサービスを本格化させる。なお、DI.はTVIデータの販売に関し、今回新たに主要広告会社に対する販売窓口業務を行うことも併せて発表している。


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