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「分散型」メディアの隆盛から、広告主は何を学べるのか

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分散型メディアが抱えるジレンマ

画像提供:shutterstock

米国の「Now This News」に代表される分散型メディアは、ニュースメディアの新しい形式として注目されています。Webサイトとしてのランディングページは持たずに、ソーシャルメディアのようなプラットフォームにコンテンツを配信するモデルです。

これまでも、自らのサイトに誘引させることが至上命題であるニュースメディアが、Facebookなど多くの人が集まるプラットフォームに記事を載せることはよくありました。分散型メディアが違うのは、ユーザーに記事がLikeされシェアされることで多くのオーディエンスが獲得できることを「メディアの力」として自覚している点です。

Facebookのようなプラットフォームに依存するということは、そのアルゴリズムの変化や人気に対応しなければならないということでもあります。この点については、一つのプラットフォームだけにコンテンツを配信するのではなく、TwitterやSnapchatなど他のプラットフォームにも併せてコンテンツを提供することでそのリスクを軽減させています。さらに、コンテンツの中味もプラットフォームごとにオーディエンスの嗜好に合わせて変えることで、多くの読者を獲得できます。

「分散」とは、単にコンテンツを複数のプラットフォームに配信することだけでなく、各々のオーディエンスの特性に合わせて配信するということでもあるのです。

しかし、プラットフォームに分散してユーザーの嗜好に合わせてコンテンツを提供するということは、分散型メディアにとって「ニュースメディアとしてのブランド」が統一しにくいのではないか、という疑問も湧いてきます。伝統的なブランディングの考えからすると、プラットフォームごとに違う印象を与えることには、確かに否定的な面があります。

ただ、同時に、彼らがなぜ急速にオーディエンスを拡大できたのかという視点から考えれば、それはデジタルメディアにおける一つのグロースハックであることがわかります。つまり、バズコンテンツのソーシャルメディア上の拡散の広がりに注目している点こそが、彼らにとってのブランディングであるということです。

そして、この手法は容易に模倣可能なモデルのため、バズメディアとして成立する限りは、メディアとしてのブランディングは必須になります。つまり、分散型メディアは、ブランディングをしにくい構造を内部に抱えながらも、ブランディングが必要だというジレンマを抱えているのです。

分散型メディアから考えるオウンドメディア

それは、広告主がオウンドメディア上でコンテンツをつくるときにも同様であるように思います。バズコンテンツを真似しようとすれば、比較的に簡単に真似できるが、それ自体を差別化するためにはブランディングが必要になるということです。

そして、これはブランド広告主がオウンドメディアを活用していくことの限界でもあります。自社のブランドコンテンツは制作できても、必ずしもターゲットに拡散するわけではありません。一方で、ターゲットにバズを起こそうとして流行っているものを拡散することができても、必ずしもそれがブランディングになるわけでもありません。

しかし、根本的に考えれば、そもそも分散したメディアのプラットフォームとはそれに即したオーディエンスのメディア環境やライフスタイルの多様化から生まれたものです。そのライフスタイルにコンテンツを合わせていくということは、ブランド側からすれば商品をターゲットに合わせてマーケティングしていくことと同じように考えられます。したがって、分散型メディアでむしろ重要なのは、コンテンツそのものがブランドを代表する「商品」であるということです。

それは、コンテンツそのものがブランドコンセプトの外化であり、それ自体が特定のオーディエンスを惹きつけられる魅力を持っているのかという課題です。そして、デジタルにおいては、YouTuberやInstagramerに代表されるように、特定のコンテンツの形式やクオリティを選ぶことがオーディエンスを選ぶことに近くなる傾向にあるので、コンテンツに注力することがオーディエンスに忠実であることに繋がるようになります。

次ページ 「分散型でブランド広告主が考えるべきこと」へ続く

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