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出産を期にフリーに転身、JAGDA新人賞を受賞するまで—白本由佳さん

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【前回記事】「「出産も仕事もマイペースを貫く」電通クリエーティブX 高野千砂さん」はこちら

クリエイティブを一生の仕事にしたいと考える人に、今後のキャリアを支援するプロジェクト「しゅふクリ・ママクリ」。今回のゲストは、女性らしい透明感と華やかなカラーに彩られた作品を生み出している白本由佳さん。2015年にママとして初めてJAGDA新人賞を受賞し、新たなキャリアの一歩を踏み出している彼女にこれまでのキャリアと出産について話を聞いた。

デザインの世界に入ったきっかけ

——白本さんがデザイナーを志した経緯を教えてください。

白本由佳さん

私がデザイナーになったのは、他の人とはちょっと変わっているかもしれません。父がもともと画家志望だった影響のせいか、私は図工が大好きな子どもに育ちました。高校生のときに、美術系の大学に行きたいと思ったのですが、「才能がない人が美大に行っても意味ない」という話を聞き、そのときは納得して一般大学に進みました。

しかしながら、就活の時に、「このまま一般企業に行ったらデザインの世界にはもう戻ってこれない!」と思って両親に頼み込み、大学卒業後に専門学校に通うことにしたのです。今になって考えると無謀でしたが、そのときは若かったし、「好きなことをやりたい、今しかできない」という気持ちを止められませんでした。

——その後、どのようにしてキャリアを積まれたのですか?

卒業後は、新村デザイン事務所に入社しました。雑誌などでみて「このデザイン、好きだな」と思ったデザイン事務所に電話をかけていき、出会ったのが新村則人さんでした。

社会人としても、デザイナーとしても1年目という時期に、クオリティの高い制作物が生まれる現場を間近で見ることができました。贅沢にも、次第に違う世界も見たいなと思うようになって、次を決めずに3年で事務所を辞めました。

その後、ドラフトに応募して、不採用だったのですが、ご縁があったようで、結局、アルバイトとして働くことになりました。当時のドラフトは30人くらいスタッフがいて、いろいろな人がさまざまな仕事をしているので面白かったです。ドラフトには2年半くらいお世話になり、結婚してからPOSTALCOに転職しました。

POSTALCOは、革小物や文房具など、さまざまな製品を生み出すメーカーでありながら、デザイン事務所としての機能も持っています。私はそこでグラフィックデザイナーとして、製品に付随するDMやリーフレットなどの印刷物、展示会の関連物、紙製品のデザインなどをしていました。そして、POSTALCO在籍中の2009年5月に長女が誕生しました。

出産を期に「何をやりたいのか」自問自答

——育休、復職からの独立。その間の変化について教えてください。

産休・育休中は子ども中心の生活で、自分の時間はなかったですね。寝ない子だったので、自分自身も眠れないのが辛くて、仕事をしている方がよっぽど楽だと思いました(笑)

必死の毎日で、仕事のことを考える余裕はなかったけれども、不思議と仕事を辞めたいとは思わなかったです。子どもが10ヶ月になった4月にPOSTALCOに復帰しましたが、働き方は激変しました。お迎えの時間は絶対なので、どんなに仕事が忙しくてもさっと帰らないといけない。とはいえ、仕事はきちんとやりたいという思いもあり、なかなか周囲に頼ることもできなくて悩みました。

また、復職後は会社に行くだけでいっぱいいっぱいで、子どもができる前から引き受けていた個人的なお仕事を継続するのも難しくなってきました。その頃に、「自分に与えられたこの短い時間に、私は何をやりたいのだろう」と自問自答した結果、「一度会社を辞めてみて、自分にやれることをやってみよう」と、フリーになりました。

——フリー転向から、JAGDA新人賞を受賞するまでのいきさつを教えください。

いつもの無計画な独立でした(笑)。

知り合いから頼まれる仕事を中心に、フリーに転向した感じです。その年に第二子の妊娠がわかり、2011年9月に次女が誕生しました。保育園に入れるまではまた育児に専念し、翌年4月から、フリーとしての再スタートを切りました。



インタビューの続きは 『しゅふクリ・ママクリ』 へ

白本由佳 (しらもと・ゆか)

静岡県出身。株式会社新村デザイン事務所、株式会社ドラフト(契約)、POSTALCOを経て、2011年よりフリーランス。日本グラフィックデザイナー(JAGDA)正会員。 2014年、東京ADC賞受賞。2015年、日本パッケージデザイン大賞 食品部門 銀賞受賞、東京ADC賞受賞、JAGDA新人賞受賞。