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コラム

マーケティングを“別名保存”する

A4用紙1ページで整理する「ブランド戦略」【前編】

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ブランド戦略を整理し、課題を洗い出す

画像提供:shutterstock

「理解の輪」の中に入っていきます。この理解の輪の内部は4象限のマトリクスになっており、縦軸が「触れられる(tangible)」か、そうでないか。横軸が「機能的(functional)か」「情緒的(emotional)か」で整理されています。

左上、「触れられる・機能的な」価値を実利価値と呼びます。アルゴンZXの場合、長年のテレビCMの蓄積効果で成分である「アルギニン」とその効能までもが広く認知され(Reason to Believe:RTB)、「疲れた頭がシャキッとする」という効果効能が多くの人に実感されたうえ、伝承されています(Word of Mouth : WOM)。ここでは、カフェインで誤摩化している、という批判も時に見られるブルーガルに大きく勝っています。

右上の「触れられる・情緒的な」価値を評判価値と呼びます。アメックスのプラチナカードを持っているとお金持ちだと思われる、など情緒的ではあるものの具体性の高い価値です。ドライバーとなるのは世間が(ターゲット自身ではなく)そのブランドに対して持つイメージです。アルゴンZXはここが顕著に弱く、例えばオフィスの机の上に飲みかけのアルゴンZXが置いてあると、周りの人からは「あの人、疲れているのかな?」と気の毒がられてしまいます。

ブルーガルなら「お、あの人、今日は頑張ってるな」となるところです。機能価値の理解では勝っているのにシェアが奪われている、ということは、この市場では競争の軸がこちらの評判価値にシフトして来ている、ということが考えられそうです。

右下の「触れられない・情緒的な」価値は共感価値と呼びます。そのブランドの歴史や哲学に真に共感できれば、「自分らしい選択」をした、という内的な満足感が得られます。

そのブランドの歴史・哲学や、その具体的な現れである製品・サービスポリシー(動物実験を行わない、など)が、ここでは価値のドライバーとなります。推奨意向にもっとも影響を与える価値でもありますが、アルギンZXはやはりここでもブルーガルに大きく水を空けられています。

最後に、左下の「触れらない・機能的な」価値を保証価値と呼びますが、ここでは知名度や接客・サービスなどがドライバーとなって、品質や一定の体験が約束されている、という安心感をブランドにもたらします。ブルーガルは一度に大量に飲んだ消費者が死亡した、という都市伝説めいた噂があり、ある意味ここは弱みを抱えるポイントです。ここは日本で30年の歴史を持つアルギンZXの独壇場でしょう。

ここまで整理できたら、課題を洗い出し、それを整理・グルーピングして大筋の課題を選定します。その後、「戦略の3本柱」を開発しますが、その前に、最終的にそれらの打ち手を講じるにあたって、自社が動員できるツールを確認しておく必要があります。

マンダラでいうと円の一番外側にある4項目です。次回、明日(6月8日)公開予定の後編では、こちらのツールの整理から、最終的な完成系であるブランド戦略ができるまでを解説していきます。最後には、実際の「A4用紙1枚ブランド戦略」を披露します。

ここまでの議論を、1ページャーブランド戦略のフォーマットに整理したものがこちらになります。次回の後編では、「TBD」としてグレーアウトされている残りの部分を埋めて、戦略を完成させていきましょう。

アルギンZXブランドリポジショニング戦略

1.現状

 a.ターゲットは誰か?

  ⅰ.年に1回以上健康ドリンクを飲む人

 b.ターゲットのブランドに対する意向はどのような状態か?

  ⅰ.トライアル意向:老舗ブランドにつき大半が1度は利用済み
  ⅱ.購入意向:「ブルーガル」に押され低下
  ⅲ.継続利用意向:もともとのファンの間でも低い
  ⅳ.推奨意向:あえて人に薦めるのは不自然なくらい老舗

 c.認知の段階はどのような状態か?

  ⅰ.認知、想起とも高いレベル。課題は理解に集中。

 d.それぞれの価値はどう理解されているか?

  ⅰ.実利価値:成分まで広く認知。ブルーガルに対し優位
  ⅱ.評判価値:飲んでいると「疲れている人」のイメージ
  ⅲ.共感価値:哲学なし。歴史は仇になり古いイメージ。
  ⅳ.保証価値:ブルーガルに対して優位

 e.それぞれの手段をどう動員するか?
  ⅰ.TBD
  ⅱ.TBD


2.課題

 a.TBD
 b.TBD
 c.TBD


3.ブランド戦略3本柱

 a.TBD
 b.TBD
 c.TBD