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キリン、資生堂、インテージが語る「広告効果の最適化」に必要なこと

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インテージは6月13日、東京・港区にてセミナー「マス×デジタルでマーケティングを最適化する」(協力:宣伝会議)を開催した。キリンと資生堂ジャパン、インテージの3社による事例講演とパネルディスカッションを通じて、マーケティング活動の新境地を拓くためのヒントが紹介された。
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広告主企業のマーケティングや広告宣伝およびブランドに携わる担当者が約100人参加した。

(第一部)
キリンが実践する統合コミュニケーションとは?

講演者

  • キリン CSV本部 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング担当 加藤 美侑 氏
  • キリン CSV本部 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング担当 髙柳 裕行 氏

キリン CSV本部 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング担当 加藤 美侑 氏

第一部は、キリンの加藤美侑氏と髙柳裕行氏が登壇し、2001年の発売から15周年を迎えた酎ハイブランド「キリン氷結」(以下、氷結)を事例に、マスメディアとリアル、デジタルを使ったコミュニケーション設計について講演した。

今年、「あたらしくいこう」のメッセージでリニューアルした「氷結」。そのリニューアルの狙いについて、加藤氏は「発売から15年経った今、競合も市場に参入し、『氷結』ブランドの独自性が弱まってきたという面がある。また、ファンの年齢層も上がり、ブランドイメージの回復や若年層を取り込む必要もあった」と話した。

キリン CSV本部 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング担当 髙柳 裕行 氏

若年層のインサイトを「新しい自分を見せることがかっこいい」と定義し、20代前半の若者はテレビ視聴時間よりスマホ接触時間が長く、口コミやインターネットの投稿に影響されやすいと分析した。

これらを踏まえて、まずキャンペーンの第一弾として、YouTubeでタレントの「さかなクン」が東京スカパラダイスオーケストラのメンバーに加わって演奏する動画を配信した。高柳氏は、「一般的には『自分ゴト化』『仲間ゴト化』『世の中ゴト化』の順番で話題になるようにキャンペーンを設計することで効果が最大化すると言われるが、氷結は最初にインパクトを与えられるように『世の中ゴト化』から進めた」と話す。

この動画は音楽ファン、面白いネタファン、トレンド敏感層の間で話題になり、これまでに260万回以上も再生され、音楽番組への出演をはじめ多くのメディアに取り上げられた。

続く、「仲間ゴト化」では、六本木・渋谷・新宿で、青い衣裳を着たタレントの林家ペー・パー子夫妻が出没するゲリライベント「あたらしくいこう。青いペーパーを探せ!」を実施した。その様子を撮影したTwitterの投稿が17299RTにもおよび、トレンド入りも果たすなど、狙い通りの成果につながった。

そして、「自分ゴト化」の施策としては、人気漫画家の漫☆画太郎風の似顔絵を作ることができるジェネレーター「あたらしく☆画たろう」を展開。SNSを中心に話題となり、利用回数は約100万回を超えた。

今回の一連の施策の結果、ターゲットだった20代のブランド考慮率、CM好感度、購入率が上昇し、前年を大きく超える結果となった。最後に、髙柳氏は、キャンペーンが成功したポイントについて、「複数の起点を組み合わせ、様々な層が話題にする仕掛けを行うことが重要だった」と語った。

(第二部)
その広告投資、本当に最適ですか?

講演者

  • インテージ MCA事業本部 クロスメディア情報開発部長 田中 宏昌 氏
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インテージ MCA事業本部 クロスメディア情報開発部長 田中 宏昌 氏

第二部では、インテージの田中宏昌氏がログを活用した広告効果と最適化について講演した。田中氏はまず、昨今の広告が置かれている環境について、「2013年から2015年にかけてスマホ利用率が顕著に伸び、可処分時間が変化するなかで、特にテレビの接触状況も変化してきた」と話す。そうした中で、広告主企業や広告会社から「広告がターゲットに届いているのか、効いているのかを正確に把握し、プランニングに活用したいというニーズが増えている」という。

そこで、同社では生活者の意識や購買行動と、テレビやWeb(PC、スマホ、タブレット)といったメディア接触との因果関係をシングルソースから把握できる「i-SSP(インテージ・シングルソースパネル)」を活用。「i-SSP」は、テレビの視聴ログを収集しており、視聴時間帯や視聴番組、リアルタイムかタイムシフト視聴かなどかも判別できるため、きめ細かい効果測定やプランニング支援、さらには最適化シミュレーションなどができる。

最近では、特にテレビCMとWeb施策のリーチ計測や購買への効果計測に活用されている。「施策ごとのターゲットの含有率を調べたり、広告の接触有無別に購買との相関を分析するケースが多い。また、以前はテレビとデジタルを分けて計測することが多かったが、現在は統合した中でどう成果を高めるのかといった考え方に移行している」と田中氏。

さらに、ある予算規模の中で、どのようなメディア配分であれば、リーチなどの広告効果が最大化するのかシミュレーションを行うといったケースも増えているという。「クロスメディアキャンペーンで、テレビCMとオンライン広告を何回当てることで、最も購入意向が高まるのか、購入をリフトアップすることができるのか、といった分析も行っている」。

最後に、田中氏は「広告は、科学と芸術の融合。ログをはじめとしたデータという科学に寄り添った広告効果測定をしながらも、クリエイティブという要素によってどう消費者の意識や態度が変わったのかを併せて理解することで、本当の広告の効果が分かる。クリエイティブ評価については実際に広告素材を対象者にみてもらいながら評価を行う「表情解析」といった手法も有効。広告のチカラをデータとクリエイティブの両側面から捉えることを追求したい」と話した。

次ページ 「(第三部)マス×デジタルでマーケティングを最適化する」へ続く


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