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「思春期の娘と母」テーマの動画が、ワコール史上最多再生回数を記録

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ワコールが3月に公開した企業メッセージ動画「Her True Stories」が、公開4カ月で再生回数300万回を突破し、ワコールとして過去最多の再生回数を記録した。

「Her True Stories」

動画は、「喋る不思議なぬいぐるみ」が思春期にさしかかった3人の少女たちの本心を引き出していく過程を追ったドキュメンタリー。実は、ぬいぐるみの声の主はそれぞれの母親で、ぬいぐるみに内蔵されたスピーカーとつながった別室のマイクを通じて、我が子に語りかけている。ぬいぐるみの正体の告白を経て、母娘の距離はぐっと縮まっていく。

「ワコール=下着」以外の側面も知ってほしい

ワコールは、女性の一生に寄り添う「女性共感企業」をビジョンに掲げ、これに基づく商品づくりだけでなく、多岐にわたるCSR活動を展開している。小学校高学年から中学生の女の子とその保護者を対象に、身体の成長と下着について学ぶ出張型教室『ツボミスクール』もその一つ。過去15年間で10万人以上の親子と向き合う中で見えてきた「思春期の女の子の多くが、自分の性徴や身体に対する不安や戸惑い、そこから来る心の悩みを誰にも言えずに抱え込んでいる」というファクトを元に、今回の動画が生まれた。

動画の制作に至った背景について、総合企画室 広報・宣伝部 宣伝企画課の中太寛行さんは次のように話す。「当社は今年、創業70周年を迎えましたが、『ワコール=下着メーカー』というイメージがあまりに強く、企業として持っているさまざまな側面を知られていないことに課題を感じていました。スポーツイベントへの協賛やCSR活動など、多角的な活動をしていることを、押し付けがましくない形で伝えたいと考えました。創業以来、さまざまな形で女性と接する中で、たくさんのことを教えていただいてきました。動画は、その“恩返し”のような意味もありました」。

当初、想定していた再生回数は100万回程度。実際には、それをはるかに超えるアクセスがあった。YouTubeのコメント欄やSNSには、国内のみならず海外からも「素晴らしい」「泣ける」といったコメントが寄せられ、話題が国内外へ広がっていった。

「思春期の娘と母の関係性、というテーマが海外にも受容されるかは未知数でした。国や言語、文化を超える普遍的なテーマであるということは、今回の動画を通じて得られた発見の一つです」(中太氏)。

動画の話題が広がっただけでなく、「ツボミスクール」に関する問い合わせ件数も増えた。「創業以来、『女性共感企業』としての活動に粛々と取り組んできましたが、それについて改めて発信する機会は、ほとんどありませんでした。今回の動画をきっかけに、こうした活動への興味・関心を喚起することができたように思います。日本企業は、『質の高い商品づくり』により多くの投資をすべきという考え方が強い。CSR活動をしていても、それを動画などを通じて発信しようとする企業は少ないのではないでしょうか。今回の動画で、今後に向けて、良い成功事例をつくることができたと思います」と、手応えを感じている。

長期的に取り組むべき、企業ブランディングと消費者啓蒙

ランジェリー市場で圧倒的な認知度とシェアを誇るワコール。それでも、いま企業ブランディングに力を入れる理由とは何か。

「ワコールにとって、商品の品質が何よりの強みであることは事実です。しかし、今後はブランディングという無形の価値づくりにも、より一層力を入れたい。というのも、商品の品質だけでは、企業が今後100年、200年と続いていく上では限界があります。商品以外に、消費者の心に響く何かが必要。ワコールの場合は、継続的に女性と向き合う中で培ってきた『ヒューマンインサイト』が、それにあたります。それをお客さま、さらには広く世の中に伝えていくために、数年に一度はこうしたコミュニケーションが必要になると考えています。これは、事業部ではなく、広報・宣伝部だからこそできることだと思います」(同)。

また、業界のリーディングカンパニーとして、ランジェリーのマインドシェアを高めたいという思いもある。「下着を購入する頻度は年に数回程度。それだけでは、消費者の『脳内シェア』があまりに低いのです。膨大な情報が溢れる中、お客さま・ターゲットに少しでも刺さるメッセージを発信し続けることで、業界全体を盛り上げられたらと考えています」。
特に、ブラジャーを着け始める「導入世代」の啓蒙に力を入れる考えだ。「若い人ほど、自分の身体や下着について無頓着であることが多い。もっと関心を持っていただけるよう促していくことも、当社のミッションだと思っています。そうした日々の関心の積み重ねが、下着のマインドシェアを高めることにつながっていくはずです」(同)。