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10月より、広告事業を本格スタート — BuzzFeed Japan 上野社長に聞く、日本市場の戦略

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FacebookやTwitterなど人が集まるプラットフォーム上にコンテンツを配信し、グローバルで月間2億人超のオーディエンスを誇るBuzzFeed(バズフィード)。2006年に米・ニューヨークにて設立、2015年8月には米国バズフィードとヤフー株式会社の合弁によるバズフィード ジャパンが立ち上がった。2016年1月には世界で12番目となる「バズフィード」の日本版を公開。4月に代表取締役社長に就任した上野正博氏に日本市場での戦略、また広告事業の展開について話を聞く。

BuzzFeed Japan
代表取締役社長・CEO
上野正博氏

—「バズフィード」日本版が公開されて約半年が経過した。コンテンツの閲覧のされ方などに米国と違いはあるか。

1月から2月中旬の読者数の伸びと、2月中旬から5月までの読者数の伸びを比べるとその差は2倍以上。他国での創刊後のスピードと比べても日本でのユーザー獲得のスピードは圧倒的に早く、手ごたえを感じている。

また米国ではスマートフォン経由でのコンテンツ接触が全体の約75%を占めるが、これは日本のでも変わらない数値が出ている。一方で、違うのは年齢層で、18~34歳のミレニアル世代が中心の米国と比べ、日本は30~45歳が少なくない。日本は少子高齢の逆ピラミッド型の人口構成になっていることもあるし、FacebookやYahoo! JAPANから流入する読者層の影響もある。より若い層へは、他のプラットフォームを中心に徐々に浸透してきている。

米国ではニュースはもちろん、セレブや動物などのエンタメ系の記事がよく読まれているが、日本版はニュースとソーシャルニュースの2カテゴリで記事を配信し始めたことによる、コンテンツ戦略の違いもある。今後は日本でもミレニアル世代の読者を拡大していこうと考えているし、そのために米国のようにエンタメ系コンテンツの拡充も予定している。

—日本の読者も他国のように記事をシェアする行動をとるのか。

最近、人気になった「昭和の死語」をテーマにしたクイズ形式の記事。「米国の記事を数10本翻訳して配信したところ、日本でもクイズ形式の記事は支持を得ることが分かった。ただ米国では設問が25くらいあっても読了されれるが、日本の読者には10~15くらいでないと最後まで読まれないといった傾向もある。読者の反響も参考に、コンテンツのスタイルも精査を続けていく」(上野氏)。

「日本人の気質を考えると、あまりソーシャルで記事をシェアしないのではないか?」と質問されることは多い。しかし日本版を開始して感じるのは、決して日本人が記事をシェアしないわけではないということだ。例えば最近、約35倍のシェア率(バズフィード内で使用する指標)で人気を博したのが「昭和の死語」をテーマにしたクイズ。その他、左利き、関西出身、昭和生まれ…など、読者のアイデンティティに関わる記事はシェアされやすいことが分かっている。

—広告事業についての計画は。

今年の10月から広告事業を本格的に開始する予定だ。広告はヤフー社が独占的に販売をすることになる。

バズフィードの創業メンバーは、“人と人とのコミュニケーションを活性化するには、どんなコンテンツが適切なのか。シェアされやすいのか”を長年にわたり、研究してきた実績がある。私たちの広告のアプローチにも、この知見が生かされており、広告主とリーチしたい人々をつなぐにはどんなコンテンツが適しているのか、これまでの経験に基づいて、提案をしていく。

具体的には広告主のために3つのポストを制作し、それを各種ソーシャルメディアに配信。広告料金は3つのポストの制作費と、またどれだけのリーチを望むか、配信の量(CPV:Cost Per View)で決まる。リーチした後、どれだけシェアしてコンテンツが拡散しても、そこで追加の費用が発生することはない。

広告コンテンツ制作のために編集部とは別に、クリエイティブチームを立ち上げ、コピーライターの経験者などを採用して、体制を整えてきた。これまでの経験上、3つポストを配信すれば、最低ひとつはヒットするものが出てくる。さらに、そこでの配信結果を、データを基に分析し、何度も広告コンテンツ配信を重ねることで、そのブランドならではの勝ちパターンを見つけていく。日本でもデータアナリストを採用しているのは記事も広告もデータを基に、PDCAを回して、より人々に求められる質を高めていくためだ。

私は長年、オンライン広告のビジネスに携わってきたが、現在1兆円と言われるこの市場の9割は、ダイレクトレスポンス系の広告であり、販売促進費という名目で活用されているものだ。

しかし、バズフィードが提供する広告は、マーケティングのパーチェスファネルで言えば、刈り取り部分ではなく、より上流工程。ブランド認知、好意度、購入意向の向上にも寄与できるものだと考えている。しかし、日本のオンライン広告の市場において、こうした特性の商品は流通してこなかったので、まずは業界全体での理解を促すことが必要だと考えている。


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