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ネット広告会社のプランニング力はもう不要!?アドテクの進化で最大のリスクを負うのは誰か

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広告出稿にまつわるさまざまな業務が自動化・効率化されたことで、知識やノウハウさえ身に付ければ、これまで広告会社に頼っていた業務も、広告主側の社内で完結することができるようになるのでは…?そこで、「宣伝会議」8月号の特集「デジタル広告のリスクマネジメント」内では、デジタル広告を運用する7人のマーケターに実名/匿名インタビューを実施。ネット広告会社に期待するこれからの役割や広告運用の現場が抱える課題感を聞いた。

©Shutterstock

CLIENT’S VOICE(1)
広告主の事業やSWOTを深く理解しない広告会社ならば、自社で運用するほうが良い場合も

回答者:GEジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 マーケティング・コミュニケーション マネージャー GE REPORTS JAPAN編集長 清水智美

1.アドテクノロジーによって便利になったと感じることは?
当社のようなBtoB事業の場合、多くのBtoCブランドと比べてビジネスターゲットがニッチなので、セグメント別にターゲティングしやすいデジタル広告は、広告主として非常に有益だと感じています。
また「買い」が集中する時期を避けるなど、投資効率をコントロールできるようになったこともプラスです。

2.ネット広告会社のプランニング力は不要になる?
YESでありNOでもある。
ネット広告会社を「どう活用するか」にかかっていると思います。高いROIを狙うならば、それなりに運用に時間をかける必要があると思います。当社の場合は社内の人的リソースが限られていることから、繁忙期は運用をないがしろにせざるを得ないため、あえて広告会社に依頼しています。
ただし、同じ立場になって的確なターゲティング設定や判断を下していただくために「何が得られれば成功なのか」「重視すべきことのプライオリティ」を明確に示すとともに、密なコミュニケーションが必要だと感じています。
逆に、広告主の事業やSWOTをディープに理解しようとしない広告会社であれば、自社でやってしまうほうが良いかもしれません。

3.広告技術が進化しても、「人」が介在すべきことは?
BtoBのデジタル広告の投資効率を高めるには、事業内容や競合の動向、Chooserの心理などを深く理解したうえでのターゲティングが必要で、ここには人の介在が必要です。
広告の目的は、ビュー数を稼ぐことではなく、実際の収益にどれだけつなげられたか。必ずしも「広告運用上の効率がよいもの=ビジネスにつながるもの」とは限らないので、あがってきたデータの本質を読み取る力と、数字に踊らされない本質的な判断力と運用が必要だと思います。
「この媒体は反応がよいからもっと投資しよう」というようなターゲット層は、放っておいてもビジネスにつながる層かもしれません。営業現場で苦労しても獲得できない重要なビジネスターゲット層を、広告効率が悪くとも、いかにマーケティングファネルの入り口に連れ 込み、エンゲージレベルを高めていくか。
会社の事業という意味で考えたとき、本当に狙うべきターゲットは誰で、そのセグメントは日頃何を考えどういう行動をとっているのか…などを洞察して広告活動に落とし込む必要があると思います。

4.自社/パートナー企業に対して感じている課題は?
DSP広告やDMPのプラットフォームを自分で使ったことはないのですが、例えば使い慣れたFacebook広告においては、多くの場合、パートナー企業に依頼するよりも、自分で設定したほうが高効率に進みます。
それは、社内にどっぷり浸かっているからこその、事業・戦略・顧客への深い理解と、それに基づくウラを狙うセンス(笑)があるからだと思います。
この差を縮めるためにも、パートナー企業と目的意識を強く共有し、密なコミュニケ-ションで情報共有と理解の深化を図る努力は、常に必要だと感じています。

CLIENT’S VOICE(2)
PDCA高速回転のための効果検証が、広告会社の力の見せどころ

回答者:ソフトウェア会社・マーケティング部門・男性

1.アドテクノロジーによって便利になったと感じることは?
顧客属性などにより一定セグメントに対して適切なメッセージを配信できることがメリットと感じます。
また、運用しながら(PDCAを回しながら)より最適なセグメントを発掘できることもメリットです。これまでの純広告一点張りで、切った貼ったの“賭け”ごとに近い広告運用と比較すると、格段に進化したと感じます。

2.ネット広告会社のプランニング力は不要になる?
そうは思いません。
広告会社にレポートを出していただき、そこに判断を加えて運用を回す必要があります。
事実、経験豊富な担当者から提出されるインサイトは深く、次の一手を効果的に打つことができます。
数値の羅列を見るだけでは、その数字がハイパフォームなのかアンダーパフォームなのか、ブランド側では判断しきれない場合があります。

3.広告技術が進化しても、「人」が介在すべきことは?
運用チェックをするのは、やはり人です。
純広告ではなくRTBであるゆえ、どこにどれだけの量の出稿が行われているのかは広告会社頼みで、広告主には把握できなくなっています。実際、想定の媒体に広告出稿されていなかった、指定したLP(ランディングページ)に誘導されていなかった、などのエピソードがあります。
たまに自社の出稿広告に出くわしても、クリックすると金額加算されるため、指定のLPに誘導されているかのチェックも難しいです。広告会社の「目検」に依存しているところです。

4.自社/パートナー企業に対して感じている課題は?
いかなるテクノロジーを駆使しても、結局集客したいセグメント内の数が少なければ効果はありません。
また、あらゆる運用を利用しても、CVR(コンバージョン率)が倍になるような結果や成果を得た経験がありません。
つまり、さまざまな3文字熟語の濫用や、概念が先行していて、まだまだ実が伴っていない印象があります。
より見える化できるようになったため、PDCAの頻度が高まり、社内リソースを圧迫する事実も課題と感じています。

ほか5人のマーケターの回答は、本誌をご覧ください。

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