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テレビでリーチした人を対象にオンラインで広告出稿―「マイナビ転職」の取り組み

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これまで広告・マーケティングの世界には、“解明できなくても仕方がない”と思われてきた、数々のブラックボックスが存在する。しかし、その「壁」を打ち破る、技術革新が生まれつつある。
▲今回、マイナビの取り組みで高い成果が出た理由には、インティメート・マージャーのDMPを絡め、CM接触者の中でも、特に転職意向の高まっていると推定されるセグメントに優先的に配信したことも背景にあるという。

▲今回、マイナビの取り組みで高い成果が出た理由には、インティメート・マージャーのDMPを絡め、CM接触者の中でも、特に転職意向の高まっていると推定されるセグメントに優先的に配信したことも背景にあるという。

日本の広告費の中で3割を占めるのがテレビ。多額の投資がなされながら、その広告効果は厳密には解明できないものとされてきたのが、これまでの常識だ。そんな広告市場、最大の“壁”とも言えるテレビも、データの活用でいま大きな進化を遂げようとしている。

電通が2016年3月から実証実験を開始した、テレビ視聴ログデータを用いたオンラインでの広告配信を可能にするSTADIA(β版)もそうした取り組みの一つ。テレビCMは、これまでも間接的にオンライン広告にプラスの影響を与えているはずと肌感覚ではわかっていても、その効果を可視化できていなかった。

この課題に着眼し、STADIAはネットに接続されたテレビより、ユーザーから利用許諾を得たデータのみと連携。その視聴ログをCookie_idやモバイル広告idに変換し、セグメントを作成。オンラインで、特定のテレビCMを見たオーディエンスだけを対象に広告を配信する仕組みを構築している。

「テレビCMがリーチした後、オンライン広告で再認知を促せれば行動喚起につながる可能性が高いとの仮説はあったが、これまではオンラインとオフラインが分断していた。この分断を統合する取り組みもあったが、あくまでサンプリングされたパネルデータから、テレビCMとデジタル広告の関係性を分析し、“推計的”な確率に基づいてテレビCMを見たであろう人にオンライン広告を重複接触させるにとどまっていた。

番組やCMを“見たであろう人”ではなく、実際に“見た人”にオンライン広告を配信できないか。そこで着目したのがネットに接続されたテレビだ」と、このプロジェクトを担当する電通の前川駿氏は話す。

STADIAの実証実験には、マイナビが「マイナビ転職」のサービスプロモーションで参加。「実際にテレビCMでリーチした人を対象に、オンラインで広告を打てれば、行動につながる態度変容を起こせると考えてはいたが、これまではあくまで推論でしかない点に気持ち悪さを感じていた」とマイナビ転職プロモーション担当の風間由也氏は話す。

実験の結果、テレビCM接触者は非接触者に比べ、その後の会員登録で4倍、「マイナビ転職」のサイト来訪で6.46倍という高い結果が出た。「テレビCMのオンライン広告に対する間接効果のひとつの側面が今回の実証実験で可視化できたと考えている。今後は、さらにテレビCMとデジタル広告の関係性を分析しながら、マーケティング施策として規模を増やす拡張推計などにも取り組んでいきたい」(前川氏)。

業界に先駆けてオンラインとオフラインを統合したマーケティング展開に挑む、マイナビ。先進的な施策が実現できた背景には、風間氏がオンラインもオフラインもすべてを統合して「マイナビ転職」のプロモーションを企画・実行できる組織体制も背景にもあるという。

リーチを最大化させることを目的にした、推論のメディアプランニングから、最終的な目標の達成につながる、オンラインとオフラインの行動ログという事実に基づく“統合マーケティング”へ。テレビメディアも今、データの力で大きく進化を遂げようとしている。

編集協力:株式会社インティメート・マージャー