岡山の中学校の先生からの問い合わせがきっかけ
「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」。2014年に話題を呼んだ、新聞広告クリエーティブコンテストの受賞作品のコピーだ。泣いている小鬼のイラストが記憶に残っている人も多いだろう。あれから4年。桃太郎のふるさと岡山で、あの広告が学校の授業になった。
「ある時、岡山県の中学校の先生である谷本薫彦さんから、授業で使いたいので鬼の広告で絵本を作ってほしいと依頼があったんです」と博報堂のコピーライター山﨑博司さんは話す。
それまでもこの広告は、大学入試問題になったり、先生向けの書籍に掲載されたりと、教育現場からの問い合わせが多かった。だが、絵本という話は初めて。聞けば谷本さんは、すでに小鬼を「鬼太郎(おにたろう)」と名づけ、絵本のストーリーを考え始めていた。ありがたい申し出ではあったが、見た人に正解のない問題を考えてもらうことが本来の広告の意図。絵本という形でストーリー化するとメッセージが1つになり、趣旨と異なってしまう。
そこで山﨑さんらは、「子どもたちに考えてもらうための、対話型の授業を作りませんか?」と提案した。それがプロジェクトの始まりになったという。
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