【前回の記事】「広告主の皆さん、2018年はネット上での「宣伝行為」を一度あきらめてみませんか。」はこちら
コトラー教授が提唱する「マーケティング4.0」とは
前回のコラムでは、「2018年はネット上での『宣伝行為』を一度あきらめてみませんか。」という少し宣伝部の方々に失礼な話を書かせて頂きました。
本来、宣伝や広告という言葉は、いわゆる「営業行為」や「売り込み」とは違ったはずです。しかし残念ながら、現在のネットユーザーからすると、「宣伝行為=売り込み」という印象が強くなっているという考えが、前回のコラムを書いた問題意識の背景です。
ただ、仮にネット上での「宣伝行為」を諦めた場合、「では、どうすれば良いのか?」ということが重要なテーマになります。
今後のネット広告やデジタルマーケティングの位置づけを考える上で、個人的に参考になると考えているのが、書籍『マーケティング4.0』です。
『マーケティング4.0』は、近代マーケティングの父と称されることも多い、フィリップ・コトラー教授の新刊です。
コトラー教授と言えば、1968年に出版された書籍『マーケティング・マネジメント』に代表されるように、マーケティングの歴史をつくった人でもあります。どちらかと言うと、伝統的なマーケティング理論の人と思っている人も多いのではないでしょうか。
実は筆者も失礼ながら、以前はそう思い込んでいた一人だったのですが、この本は副題に「Moving from Traditional to Digital」(日本版は「スマートフォン時代の究極法則」)と書かれているように、デジタル時代におけるマーケティングのあるべき姿について考察しています。
象徴的なのは、従来の「AIDA」や「AIDMA」のような従来のカスタマージャーニーのフレームワークに対して、「5A」というデジタル時代のカスタマージャーニーを提案し、その上で伝統的マーケティングとデジタルマーケティングの統合を提案している点です。
書籍の中では、「伝統的マーケティングが認知と関心の構築に大きな役割を果たす」「デジタルマーケティングの最も重要な役割は、行動と推奨を促すこと」と明言しています。
実際に、マス媒体とデジタル媒体を組み合わせてマーケティングしていれば、ある意味、当然の話と受け止める人も多いでしょう。
同時に数百万人、数千万人の視聴者にテレビCMを流すことができるテレビのようなマスメディアでは、当然ながら認知獲得が容易にできます。
一方で、デジタルは、コンテンツマーケティングを通じて、認知よりも深い興味や好奇心を醸成したり、メールやチャット、ソーシャルメディアを通じて、一人ひとりに丁寧にコミュニケーションを行ったりすることで、見込顧客に実際に製品を試してもらったり、顧客にファンになってもらったりすることに向いているわけです。
同じ「広告」であっても、ネット広告は企業側の宣伝メッセージを大量に配信して売り込むよりも、ネイティブアドやスポンサードコンテンツと呼ばれるようなユーザーが興味を持つコンテンツのほうが、効率が良くなります。
筆者も、書籍『顧客視点の企業戦略』の中で同様の役割分担を提案しましたが、『マーケティング4.0』を読んで改めて、その方向性に自信を深めた次第です。
さらに、マーケティング4.0では、「究極の目標は、顧客を感動させて忠実な推奨者にすることである」と明言しています。
「アンバサダー視点のススメ」バックナンバー
- 広告主の皆さん、2018年はネット上での「宣伝行為」を一度あきらめてみませんか。(2017/12/26)
- 広告予算や内部資源が足りないときこそ、ファンの重要さが分かる(2017/11/07)
- Wantedly騒動に学ぶ、ネットの悪評を削除するリスク(2017/8/30)
- ネット動画の炎上騒動が相次いでいるのは、なぜだろうか?(2017/7/28)
- 不適切な「ネット広告枠」を利用している広告主が、炎上してしまう時代を迎える(2017/6/27)
- テレビCMの炎上が拡大する要因はメディア環境の変化にも。企業はどう向き合うか?(2017/5/18)
- 三ツ矢サイダーの新CM中止から考える、「テレビCM」の社会的責任(2017/4/25)
新着CM
-
マーケティング
充電で乗り換え喚起 アウディ ジャパン、電気自動車向け拠点の日本1号店
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
クリエイティブ
品が良すぎる漫才(有元沙矢香)コピー年鑑2023より
-
AD
クリエイティブ
「熱狂は、ここから始まる。」水戸ホーリーホックが30周年 未来への想いを表現
-
広報
SNSの声を広報としての判断軸に活かす(広報担当者の情報インプット術/ヘラルボニ...
-
広報
モビリティサービス協会設立、業界の垣根を越えルール作りや提言
-
販売促進
「脳トレ」でドライバーの健康増進、損害保険ジャパン 「運転脳トレ」のNeUと提携
-
クリエイティブ
デコンストラクションで浮かびあがった9つの視点(木村健太郎)~『世界を変えたクリ...
-
AD
特集
広報業務が変わる!PRのデジタルトランスフォーメーション