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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

コピーライターになりたかった10年前の鈴木へ

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[寄稿者一覧はこちら]

【前回のコラム】「市役所から広告業界へ その理由と今」はこちら

コピーを書いてるだけじゃ、なれなかった(かも)

2008年の鈴木拓磨くん、こんにちは。2018年の鈴木拓磨です。

楽しかったコピーライター養成講座も、もうすぐ終わりだね。ためになったな。仲間もできたな。改めて「コピーライターになりたい」って気持ち、かなり強くなっちゃったよな。

でも、不安だよな。本当になれるのか?って思うよな。

大丈夫。なれるから。いっしょに受講してた仲間から「うちの会社どう?」って声かかるから。けど勘違いするなよ。業界未経験のお前が誘われる理由は「書くコピーが素敵だから」じゃなく「よく講座の飲み会の幹事をしてたから」。何が見られてるかわからないもんだよな。

ともあれ、お前は札幌の広告・イベント制作会社でコピーライターになる。コピーライターの仕事は決して華やかなことばかりじゃないけれど、おかげさまで本当にいろんな仕事があるよ。ちょっと前に携わった仕事はとりわけ得難い経験だった。白い恋人の石屋製菓さんが銀座に開いた、北海道外初の直営店のオープン告知。

石屋製菓 ISHIYA GINZA 新聞広告 「恋人は置いていきます。」(北海道新聞)/「恋人は置いてきました。」(読売新聞)

北海道と東京とでコピーが微妙に違う2つの新聞広告をつくらせてもらったんだ。それぞれ地域を限定して出稿した新聞広告だから、2つを並べて見る人はいないっていうのが前提。ところがさ、コピーが対になってることが当日の朝からSNS経由で知れ渡って、そのことを取り上げたWeb記事がさらにSNSで広がって…それまでつくってきた新聞広告とは違う、すごく新鮮な反響だったよ。

ところでSNSってわかるよね。mixi?あ、うん、まあ、それ的なやつ。Twitter?そうそう、それそれ。めっちゃ流行るから、それ。

好きなことは、仕事になっちゃう(かも)

SNSっていえばさ。お前ビール好きだろ。自分の飲んだビールのこと、こまめにSNSに投稿しとくといいよ。意味ない?それが意味あるんだって。

これも実際にあった話なんだけど、仕事したことないデザイナーさんからある日突然「ビールお好きなんですか?」って連絡がきてさ。クラフトビールのお店のウェブのコピー依頼だったんだよね。そこがまた素敵な店で…え、クラフトビール?ああ、わかんないか。えっと、超ざっくり乱暴にいうと、おいしくて個性的でおしゃれな地ビール、みたいな。

月と太陽BREWING Webサイト

いや別に、仕事ほしさにSNSやれって言ってるんじゃないよ。なんならSNSじゃなくたっていい。でも、自分の好きなことを発信していれば、仕事につながるようなことも起こりうるっていう話。セルフブランディングっていうか、あるみたいよ、最近。

そうそう、好きなことっていえばさ。お前が好きなサイトで「デイリーポータルZ」あるでしょ。そこで天久聖一さんが始める「書き出し小説」っていう、小説の【冒頭だけ】を書こうっていう読者投稿コーナー。面白いから絶対に投稿しろよな。ときどき採用されるから。で、本になったときも作品、載るから。うれしいから。そんでさ、「書き出し小説をやってなかったら、このコピーは書けなかったかも」なんてことも、そのうちあるから。

『書き出し小説』『挫折を経て、猫は丸くなった。書き出し小説名作集』天久聖一 編(新潮社)糸井重里さんが帯文を書いた本に自分の作品が載っているというシュールさ

まあそんなこんなで、講座が終わって10年、コピーライターになって9年、言葉と遊んだり格闘したり、楽しくやってるよ。コピーライターになれてよかったなあ、なってよかったなあ、って思うよ。これからも頑張るよ。だからお前も頑張れよ。コツコツやってりゃたぶん大丈夫だから。

妻だけは大事にしろよマジで。じゃ。

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鈴木 拓磨(すずき たくま)

T.C.P コピーライター。1982年北海道小樽市生まれ。北海道大学文学部卒業。芸能マネージャー、ウェブコンテンツ制作を経て2009年より現職。宣伝会議コピーライター養成講座札幌教室(第7期)修了。書き出し小説のペンネームはsuzukishika。http://suzukitext.com