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コラム

アスリートとつくる、熱量の高いファンのコミュニティ

レッドブルは、なぜイベントを多数開催するのか?

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アーバンスポーツの祭典「FISE Hiroshima 2018」より
写真:Naoki Gaman

自分自身もそこまでとは思っていなかったが、“レッドブル=イベント”というイメージが強いことを最近実感している。レッドブル・ジャパンを辞めてからも、多くの人から「イベントをたくさんスポンサーしていますよね?」「あれはどういう基準で選んでいるんですか?」といった質問を受ける。

レッドブルという企業においては、スポーツやカルチャーといった側面をマーケティングの主軸におき、そのシーン(コミュニティ)を巻き込んだ活動が多々あった。年間何十本というイベントを自社で主催するだけでも、相当な努力が必要だが、そこには常に「ブランドの認知向上X体験の場づくり」が目的にあり、最終的にはその活動が、ブランドの継続的な強化に繋がると実際に経験してきた。

そして、その大事な要素に、アスリートやアーティストの存在と、彼らとの対等な関係性がある。独立後、新しい環境に身を置きまだ1年も経っていないが、街、企業、コミュニティと日々接している中、今、客観的にその活動を振り返り、自分なりのユニークな切り口でこれからのブランドの在り方や、マーケティングやコミュニケーションについて考えていきたいと思い、まずはイベントマーケティングやスポンサーシップについて、今回は取り上げてみたい。

ブランド成長に向けてイベントマーケティングがマーケティングの大事な要素になっている会社は多々あると思うが、どれだけ真剣且つプロフェッショナルに、これを会社自体が考え、リードできるかを考えたことがあるだろうか。

そしてイベントと一言で言っても、実際は新商品発表会のようなPRイベントから大規模なスポーツイベントまである。ここで考えてみたいのはスポーツやカルチャー(音楽、アートなど)といったイベントで、そのイベント自体にスポンサーシップが絡んでいるようなものを指したい。正直、このイベントが正しい、正しくないということを最初から決めることは難しいと思っており、あくまでも担当者がどこまでそのイベントの価値を理解して、それをできるだけ長期的に活用できるかが重要である。

さらには、最近だと企業だけのメリットの訴求のみならず、社会への大なり小なりの貢献ということも考えるべきだ。今や一社だけの成長で何かをするのでなく、シーン全体の成長や社会的な意義も念頭に置いて何かを進めることができるかを考えるべきであろう。

現在、広島県と仕事をしていることもあり、2018年の4月に広島にて「FISE」という国際的な都市型アーバンスポーツ大会を個人的な興味もあり、あくまでも1消費者として観戦する機会を得た。2020年のオリンピック種目になったBMX、スケートボード、ボルダリングから、若者を中心に成長中のパルクール、ブレイクダンスといったストリートを中心としたスポーツまで様々なコンペティションが行われた。レッドブルやCASIO(G-SHOCK)といったこのシーンをサポートして来た企業がスポンサーに入っているのは自然な流れだが、個人的にはイオンの存在が際立っていたと思う。

参加アスリートや関係者も、今回イオンがこのイベントをサポートしてくれることを、とてもポジティブに捉えており、特に郊外に大規模な店舗を抱える商業施設が、どうこのシーンにどう取り組んでいくのかに期待を持っている。それ以外にも大手企業協賛があるが、こうした協賛が2020年までの一過性ではなく、これからの成長を継続的に応援するような戦略のもと行われていてほしいと思っている。

更には広島といえば、誰もが野球を思い浮かべるが、街のど真ん中にある旧広島市民球場跡地でこのような世界大会が行われ、県が全面的にサポートしていることについては、行政としての新たな取り組みへの柔軟性を感じ、若干の羨ましさが生まれた。これを例えば代々木公園でやったらどうなるんだろうかとも想像してみたらなんだかワクワクした。

次ページ 「スポンサーって何?なんのためにやるの?を敢えて考えてみる」へ続く