パッケージデザイナーが見る 〜女子ゴコロを巧みにくすぐる『Sawaday PINKPINK』〜

同僚の2歳になるお嬢さんにピンクブームが到来し、とにかくピンクが大好き。別の同僚の4歳になるお嬢さんたちも1年程前からピンクブーム。“ピンク色”と“リボン”と“プリンセス”に夢中との事でした。
この年頃のピンクブームは小学生になる頃には収束するのですが、 「“ピンク”“リボン”“プリンセス”にココロが動かされる事は、女性の感性に永遠に影響し続ける。」という、私の仮説を裏付ける商品があります。

それは、ピンクの容器にシルバーのティアラが特徴の芳香剤『Sawaday PINKPINK』。
我々TCDが長年、デザイン開発のお手伝いをしている小林製薬のヒット商品です。

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2012年に20代〜30代の女子をターゲットにした「女のコが“カワイイ”と思う芳香剤をつくりたい」との要望を受け、デザイン開発に携わる事になりました。
当時、ターゲットにしている20代〜30代の女子たちの芳香剤使用率は低く、理由としては「デザインがよくない」「芳香剤を置く=イヤなニオイがある事の象徴」などのネガティブなイメージを持たれており、従来品のイメージを払拭させる必要がありました。
また、彼女たちの様々な「カワイイ〜」の中から、普遍的な“カワイイ”を見極める事も重要なポイントでした。

そこで、まずはネガティブなイメージを払拭させるために「芳香剤らしさ」とは何か。を分析し、その「らしさ」を排除する事に注力しました。
ボトルデザインは、「花の形の穴が開いた大きなカバーと濃い色の液が入ったボトル」という従来品のイメージを払拭し、容器とキャップを一体化しました。
またアンティークの香水ボトルのようなローレットを入れた容器にしました。上部にはティアラをつけて「大きなカバー」イメージを軽減させ、従来の芳香剤と一線を画したデザインです。

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またパッケージデザインも、従来の芳香剤ではパッケージ全体で香りのイメージを表現していましたが、これを封印しました。大きな太いロゴやキャッチコピーなども排除し、「らしさ」からの脱却を図りました。

次に普遍的な“カワイイ”は、女子が潜在的に惹かれる“ピンク” “プリンセス”をキーワードにブランドイメージを構築していきました。

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商品名は小林製薬開発担当者のこだわりで、軽やかでリズミカルな『PINKPINK』に決定しました。
ブランドカラーは、フェミニンでハッピーな気持ちにさせてくれるピンク色。
その中でも、少女の可憐さ愛らしさを感じさせるキャンディピンクをチョイスしました。
センターに白のレースのグラフィックを入れ、ヒラヒラしたドレスのお姫さまイメージを演出。
アクセントに蝶々結びのリボンを入れてキュートなイメージを更にアップさせました。
また、アイテムカラーも通常は店頭でのバラエティーの豊富さのアピールや、購入間違いなどを防ぐために各アイテムの差異を出すのが鉄則である中、全てピンク系のカラーで統一。
香りも20代女子が好む香調が厳選され、「消臭が目的にではなく、香りを楽しむ物」とした従来の芳香剤にはない個性的な商品になりました。

こうして2014年春に「Sawaday PINKPINK」は発売されました。
ターゲットの20代〜30代層の女性ユーザーの獲得に成功。また主婦層にも支持され、小林製薬の大ヒット商品となりました。
そして現在、車用やトイレ用、お部屋用のアイテム追加など、女性たちの幼少期に形成された“カワイイ”の感性を巧みにくすぐり、躍進し続けています。

参考:武川カオリ著書『色彩力』(ピエ・ブックス)
小林製薬株式会社 http://www.kobayashi.co.jp/brand/pinkpink/


[筆者プロフィール]
山本 みき 株式会社TCD デザインディレクター
パッケージデザイン一筋20年。
“店頭で強いパッケージ” を念頭におき、デザイン制作に勤しんでいる。
趣味はスーパーマーケット、ドラッグストアなどのストア探訪。
ユニークなデザインや特殊印刷を施したパッケージを探求している。