2017
05.12

リサイクル・リユース企業が「メルカリ」に食われない方法

ビジネス, マーケティング

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リサイクルショップなどのリユース業界が買い取りに苦戦している。このところ何かと話題のフリマアプリ「メルカリ」に顧客を奪われているそうだ。先日こんなニュースが目にとまった。

・ブックオフ、高級路線へ フリマアプリに押され連続赤字
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170510-00000088-asahi-bus_all
・「メルカリに食われる」、リユース業界の悲鳴
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170508-00170347-toyo-bus_all

今回は、リサイクルショップ・リユース企業がこの事態にどう対策すべきかについて考えてみたい。特にデジタルを使ってどうこの問題を解決することが出来るのかについて。とはいえ、まずやるべき大切なことは現状分析です。

フリマアプリの魅力とは?

フリマアプリは若者を中心に広がった。特に女性を中心に広がっている。ある記事によるとメルカリだけで「約4000万ダウンロード」にも及んでいる。その他、楽天の「フリル」や「ラクマ」などを合わせると5000万ダウンロードにも及ぶ。ネットオークションの普及も考えれば、買取の減少は若者からの買取が減少していることが最も大きな要因と考えられる。そんな彼ら彼女らになぜここまで広がったのかと言えば、便利・早いなどの実用的なことではなく、「自分で値づけなど決めることが出来る楽しさ」「売れた時の楽しさ」などの体験にあることが成功要因と考えられ、若者を獲得するにはこの特別な「体験」が必須の要素と考えられる。リサイクルショップなどのリユース企業は、リユース企業ならではの『経験価値』を若年層に適切に伝えることが必要である。今のところ、その部分がまったく伝わっていないことは間違いない。リユース企業の顧客は比較的年齢層が高めの人たちと考えられる。

フリマアプリ利用者の特徴

対策を考える上で、まずはメルカリの使い方を見てみたい。ただ私自身あまり使ったことがないので聞いたことを中心で確かではないが、おそらく、、、

・1年に何回も売り出す人はごく一部だと考えられる。
必要のないものが家に溢れている人なんてそうそういません。しかし、4000万ダウンロードという数字によって何か売りたいものが出てきたタイミングを逃さずに取り込んでいるからこそここまでの流通量になっていると思われます。逆に何かを売りたいと思っていないときは、どんなアプローチも無視されてしまうでしょう。

・スマホにアプリが入っている時点でリサイクルショップは頭に浮かばない。
私もそうですが、いらないものが出た時に「リサイクルショップへ持っていこう」とは思いません。そうではなくネットオークションに出すかメルカリにするかと悩むくらいで、私の中には「リサイクルショップ」という選択肢が消えているのです。それくらいスマホアプリが入っているということは若年層にとっては大きなことなのです。なにしろスマホが主な情報収集ツールであるし、テレビ雑誌などは殆ど見ないわけですから。

このことから言えるのは、若者が何かを売りたいと思ったタイミングに、適切にアプローチ出来なければ、リサイクルショップを利用してもらうことは非常に難しいと考えられるということです。年に何度もない「売りたい」と思ったタイミング以外では何を言っても無視されるだけです。また、仮に「売りたい」タイミングを発見できたとしても「スマホ」によって知ってもらう必要があるということです。従来の広告戦略などでは若者を捉えることは難しいでしょう。

ターゲット設定

ターゲットは若者ですが、若者と言っても様々です。今回の場合、若年層の中でも最も力を入れるべきは、メルカリが開拓したこれまでリサイクルショップを利用しようとさえしなかった全く新しい顧客です。今回は、メルカリから顧客を獲得する方法という主旨なのでこのターゲット設定になりますが、ブックオフのように高級路線に方針を変えることも一つの戦略だと思います。ただ、違った視点で見ればリサイクル事業の新しい価値をメルカリが開拓してくれたわけですから、それらの人たちを取り込まない手はありません。また、これらのターゲットにリユース企業の新しい価値を伝えることでリサイクルショップの既存顧客にも良い影響が出ると考えられます。恐らく、リサイクルショップを利用している人の中でもメルカリを利用しようかと思っている人は多く存在するはずで顧客流出防止策としても効果があると考えられます。

目指す状態

あくまで目指す状態は、メルカリから完全に顧客を奪うことではなく、メルカリだけでなくリサイクルショップも選択肢に入れてもらうことです。何かを売ろうとするときにメルカリやオークションだけが頭に浮かぶ状態からリサイクルショップも頭に浮かべてもらうことをまずは目指べきです。いきなりメルカリからリサイクルショップに行ってもらおうという無理な目標は意味がありません。

リサイクルショップ・リユース企業が提供できる「体験価値」とは?

さて、ここが肝心のアイデアの部分です。リユース企業はどんな「体験価値」を提供できるのか?これは個人的なアイデアであり、実現可能性については深く考慮していませんが、私は「リユース品の上手な売り方のコンテンツ開発」と「売った商品がどんな売り方をされたかを実際に見ることが出来るサービス」を提供するのがいいのではと思っています。

メルカリを使っていて最も頭を悩ませるのは、「どう商品を魅力的に見せるか」です。ここが面白いところではあるのですがほとんどの人が出来ていないことだと思います。なので、1回メルカリやってみたけど、なかなか売れなくて辞めてしまったという人も沢山いるわけです。

しかし、このリユース品をどう売ればいいのかという「売り方」については、はっきりいってリサイクルショップやリユース企業の方がはるかに優れているはずです。どんな商品はどんな人に売れるのか、高く売るためにはどう表現すべきなのか、という経験は普通の若い人では絶対出来ない部分です。私はこの能力こそ、リサイクルショップ・リユース企業が提供できる「体験価値」だと思うのです。

なので、リユース品の売り方コンテンツをプロが執筆してメルカリを使っている人や使おうとしている人に読んでもらうことを狙います。この施策により、リサイクルショップ・リユース企業に目を向けてもらえるようになるのではないでしょうか。コンテンツなので売ろうとしているタイミングに検索して見てもらえますので、そういう意味でも効果的だと思います。

しかし、これだけの施策では足りないでしょう。リサイクルショップを使ってもらうための施策として「リサイクルショップで売った商品がどんな売り方をされたかを実際に見ることが出来るサービス」を提供したいと考えました。メルカリがうけている理由は、何と言っても自分で値段を決められて、自分で売り込むことが出来ること。だからこそ、売れた時の喜びが大きいのです。しかし、そんな喜びを夢見てメルカリを始めたもののそう上手くはいかない人がほとんどですから、その部分をネットショップ・リユース企業が代行しますよというサービスです。自分の売った商品をどう売るのかを見れるのは面白いものです。自分が持っていたものにこんな価値があるのかと色々と気づかされるものです。もちろん、売れたらメールが来るようにして売っておしまいではないサービスは今の若者には受けるのではないでしょうか。メルカリで上手く売ることが出来ない人を狙ってメルカリで実現できなかったことをリサイクルショップで実現出来ますよ~という施策です。若者は実利的なサービスよりも新しい体験を得られるサービスに魅力を感じるようですのでそういう意味で良いのではないでしょうか。

このやり方はリサイクルショップ・リユース企業にとってはこれまでやっていたことを顧客に隠さず見せることと同じです。やろうとすれば出来るはずのことだと思います。また、この部分こそがリサイクルショップ・リユース企業が提供している価値であり、若者を満足させることができる部分だと思うわけです。

効率的にアプローチするためにパブリックDMPを利用

上記のコンテンツ構築と新サービスは、若者に向けたものではありますが、知ってもらわなければ意味がありません。今の状況は、若者の頭の中にはリサイクルショップ・リユース企業は存在しません。そんな状況を打破するためにはスマホ画面に広告を表示させる必要があります。しかし、売ろうとしているタイミングでなければ広告費が無駄になることも目に見えています。そんな状況で最も適切な手法はやはりパブリックDMPでしょう。

配信する人は、オークションサイトを閲覧している人や引っ越しサイトを閲覧した人、ネット上で何かを購入した人などに配信します。いらないものが発生しそうなタイミングに広告を表示するわけです。広告コピー例はこんな感じ。「メルカリで売れなかったならリサイクルショップという手もある」「リサイクルショップに学ぶ上手に売るためのコピー書き方講座」などです。これでまあまあの結果が出るのではないでしょうかと個人的には思ってます。

ここまで書いたことはあくまで推測に基づいたものなのでどこまで正しいのかわかりません。でも、頭の使い方というか考え方が参考になればと思います。

何よりも伝えたいのは成果の出るマーケティングは「売上が期待できるターゲット設定をすること」と「自社にそのターゲットを満足させる能力があること」という条件を満たしているということです。正直なところ、ブックオフのようなマーケティング戦略には首をかしげます。顧客の年齢層が高めなのでターゲットを40代以上に設定するのは良いと思いますが、40代以上の人を満足させるためのサービスは果たして高級品の買取でしょうか?このご時世高級品を持っている人がどれだけいるのでしょうか?ブックオフにそのようなノウハウ・能力はあるのでしょうか?と疑問に思うわけです。どちらかと言えば、若年層を狙った方がリサイクル企業・リユース企業の良さを出せるのでは?と思ったりするわけです。