Yahoo!オークションのビジネスモデルの違和感について考察してみた

Yahoo!オークションのビジネスモデルの違和感について考察してみた
何のフレッシュさもない話題ですが、最近久しぶりにオークションサイトを使う機会があり、Yahoo!オークション、ビッターズ、楽天オークションあたりを色々見ていました。

その中でもYahoo!オークションのビジネスモデルや戦略について考えることがあったので、今回はそれをネタにブログを書いてみようと思います。

まず、2012年1月現在でYahoo!オークションの利用料金は以下の通りです。

課金のパターンが豊富ですが、最もキーとなっている特徴は出品や5,000円以上の入札をするためには月額346円のプレミアム会員になる必要があるという点です。これは初期費用0円のビッターズや楽天オークションとは大きく異なるビジネスモデルです。

ヤフオクが月額課金制に移行したのは確か僕が大学生の頃だったかと記憶しているのですが、社会人になってから仕事柄色々なWebサービスを見るようになって、このビジネスモデルに対する違和感が再燃しました。 

最近のセオリーで言えば、フリーミアムモデルにしてトランザクションで課金するのが一番自然なはずです(ここでいうトランザクション課金とは、成約した時に出品者や落札者から手数料を徴収するイメージです)。なぜかと言うと、ネットオークションは成約しないとユーザーにメリットがないからです。サービスを利用しても成約するかどうかは保証されないのに、そこにお金を払わせるビジネスモデルには違和感があります。あまり現実的ではないですが、これであればSNSを使うのに月額利用料がかかる方がまだ納得できる気がします。(SNSはユーザーとの交流自体に価値があるので)

ただし、整理して考えてみると、ヤフオクにおけるこのビジネスモデルのメリットが色々と見えてきました。フリーミアム以外のビジネスモデルを選択する際のモデルケースとなるかもしれないということで、気付いた点を下記に挙げてみます。

  • そもそも簡単に出品させられない

フリーミアムモデルが効果的に働くシーンとしては、無料かつ簡単にある程度サービスの魅力を体感でき、さらに使い込みたいのであれば追加課金してね、という流れが成立する場合です。しかし、ネットオークションはその性質上、出品者の与信管理をかなりシビアに行わないといけません。僕も以前一度出品者登録をしようとしたことがありましたが、当時はYahoo!側から外部委託された業者が住んでいるアパートまで本人確認しに来るフローが必須でした。今は若干フローが変わっているかもしれませんが、いずれにせよ簡単に出品させることはできないはずです。ということでフリームアムが力を発揮する前提が崩れてしまうので、言い方は悪いですが「そんな面倒なステップを踏んででも使ってくれようとする熱意のあるユーザーだったら、利用するために課金がベースになっていても大方問題ないだろう」という気持ちで月額課金制にしている可能性はあると思います。

  • 継続課金で離れるユーザーはターゲット外

これも出品者側の話ですが、月額課金制にして離れてしまうユーザーの典型的なタイプは、「オークションでモノを売りたいことなんてたまにしかないのに、そのために毎月課金させられるなんてイヤだ」みたいなユーザーだと思います。こういったユーザーはオークションサイトに関してはメインターゲット外のはずです。というのも、オークションサイトでは通常、落札者にとっての安心材料として出品者の過去の取引履歴や評価などをプロフィールページ上に表示するようにしているのですが、利用頻度の低いユーザーは当然そのプロフィールページが充実してこないため、総じて成約を勝ち取ることが難しい傾向があるからです。成約時に手数料を徴収するモデル単体で運用した場合も、こういったユーザーはサイトに大きな利益をもたらす存在になり得ませんので、非情な言い方をすればライトユーザーは切ってしまってもそれほど痛手にならないことになります。

  • 課金したユーザーはアクティブになる

以前フリーミアムモデルの落とし穴というエントリーにも書いたのですが、一度課金したユーザーは少なからず「せっかくお金を払ってるんだから積極的にサービスを使おう」という気持ちになる傾向があると思います。現状のヤフオクのビジネスモデルでは月額利用料以外にも成約毎の手数料を徴収していますので、アクティブユーザーを増やすことは非常に重要です。アクティブ化の施策が「お金を払っているんだから…」という負の感情を利用するものなので否定的な見方もあると思いますが、フリームアムモデルにした場合はユーザーはサービスを利用しなくても何の損失もないため、その動機付けはより一層難しくなると思います。

  • 使われなくても幽霊会員化が狙える

頻繁にサイトを使う予定はなくとも、単発で高額の取引を行いたいのでやむなくプレミアム登録をするユーザーはいると思います。僕もその1人だったんですが、当時出品者登録に結構な手間がかかったので、「ここで解約するとまた使いたくなった時に面倒だな。。」という気持ちで目的の取引が終わってもすぐ登録を解除せずにいました。結局その後サイトを利用する機会はなかったのですが、課金されていることも忘れ数ヶ月の間費用を払い続けました。ひと昔前のフィーチャーフォンの公式サイトでも同じ状況が蔓延していましたが、ユーザーの意思なく自動継続される月額課金制のサービスでは、こういった幽霊会員の存在が大きな売上を上げているようです。

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ヤフオクの落札単価の平均は5,000円弱なのでヤフオクユーザーの半数近くはプレミアム会員になっていると予想されますが、プレミアム会員はヤフオク以外にもYahoo!ミュージックやGyaO!など複合的なサービスを利用できるので、ヤフオク単体の売上を算出することは難しい状況です。しかし、ネットオークションサービスの運営会社が明らかにしているデータからも、現在日本のネットオークション市場は横ばいもしくは若干の縮小傾向にあることは確かのようです。

新しい形のネットオークションサービスとして、2009〜2010年に一時期ペニーオークションなる入札手数料制のオークションが流行の兆しを見せましたが、やらせ・トラブルが相次ぎ現在では全くその姿を見なくなりました。

そうなると、やはりネットオークションもそろそろソーシャルとの絡みで大きく動き出しそうな予感がします。特に実名制で個人の信頼を担保しやすいという意味で、facebookはネットオークションと相性が良いのではないでしょうか?従来のインフラ的なWebサービス×ソーシャルで突破口を掴んでいるスタートアップが多い中、今後ネットオークション市場で大きく勝負する会社が現れてくるでしょうか?