佐々木康晴の「CANNES LIONS 2012」レポート(3)

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「CANNES LIONS 2012」レポート(2)はこちら

来年はクライアントを連れて行きましょう。

今年のカンヌも終わりましたね。みなさん、結果を見てどう思われましたか?僕が現地でまず思ったのは、今年はブーイングが減ったなあ、と。冷ややかな口笛「ヒューゥゥゥ」ってのをあまり聞かなくなった。昔は受賞作がつまらなかったら会場がブーイングの嵐になったのに、今年はつまらなくても拍手がある。これはたぶん、ストラテジストやプランナー、クライアントなど、品のいい参加者が増えたからではないかと想像していますw 。

僕は今回、フィルムクラフト部門とデザイン部門が楽しかったです。サイバーは、ざっくり言えばインフォグラフィックス系が流行っていました。個人的に好きなのは、やっぱりP&Gと、それからDIRECTVのテレビCMでした。僕も泣いたり笑ったり、感情をゆさぶる表現をつくりたいなあ。それも新しい手法でやってみたい。

授賞式会場の2階席から見下ろすと、星空のようにたくさんの画面が光っています。タブレットやスマートフォンと「ながら視聴」するのが普通です。

セミナーや受賞作の全体の印象ですが、どれももう単純なコミュニケーション設計の話ではなくなってきています。商品開発やサービス開発の段階で、ユーザーに対していかに「持つべき意味のある、Meaningfulなもの」をデザインするか。そして購入後のユーザーとの関係維持をクリエイティブでどう解決するか(ユーザーから何をどうもらって、何をあげつづけるか)、という、大変だけど面白そうなフェーズに移ってきています。NikeとR/GAがつくったサイバー&チタニウムのグランプリ受賞作、NIKE+ FUEL BANDはその典型ですよね。

でも、これをやるためには、ユーザーとブランドの関係以上に、クライアントとエージェンシーの関係を深くしないといけないわけです。単なるコミュニケーション施策の受発注関係では解決できない。だからぜひ、カンヌはクライアントさんと一緒に来てもらいたいです。応募したものが受賞するとかしないとか関係なく、クライアントとエージェンシーが手をつないでカンヌに来て、ロゼワインを飲み、ブイヤベースを食べ、シャンパンをラッパ飲みして記憶をなくしたりしながら、ああでもないこうでもないと議論してほしい。新しいやりかたで仕事を始めてほしい。そうすれば、もっと面白いサービスがつくれるはず。後日の「ブレーン」本誌で詳しく書きたいと思っていますが、Nike+R/GAのセミナー、そしてP&Gのセミナーは、クライアントとエージェンシーの新しい関係づくりへの示唆がたくさんありました。

セレモニーの後、カンヌの赤絨毯を下りながら、自分もいいもん作ったるぞと誓うのでした。カンヌの熱病はつづく。

さて、3回の簡単なカンヌ報告でしたが、お読みいただいてありがとうございました。朝から夜中まで盛りだくさんの一週間があっという間に終わり、カンヌを発つ日曜の朝。借りてるアパートのすぐ近くにある市場に行きました。匂い立つようなたくさんの野菜に果物、そしてきのこが本当に美味しそうでした。いろいろ素敵なカンヌに後ろ髪をひかれつつも、明日から始まる現実行きのフライトへ。まだ「自分も面白いものをつくってやる!」というカンヌ熱にかかったまま、ニューヨークに戻ってまたがんばりたいと思います。(追伸:僕のスーツケースはロストバゲージしまして、まだカンヌで遊んでるみたいです…)

【連載:佐々木康晴の「CANNES LIONS 2012」レポート】
第2回 セミナーの出すぎに注意しましょう。
第1回 カンヌ熱にかかりましょう。

佐々木 康晴(電通アメリカ エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)
1971年生まれ。電通入社後コピーライター、インタラクティブ・ディレクターを経て、2011年9月より電通アメリカ出向、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。手がけたキャンペーンに、ユニクロ「UNIQLO LUCKY LINE」、Honda「ケートラ」、集英社「ワンピース感謝広告」など。2011年クリエイター・オブ・ザ・イヤー・メダリスト受賞。


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