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コラム

『編集会議』の裏側

LINE・宝島社・KADOKAWA担当者に聞く 編集者の採用基準

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出版社やメディアはどんな編集者を求めているのか。3社の担当者たちが語る、これからの時代を担う編集者の採用基準とは。

左)宝島社 編集1局マルチメディア編集部 編集長 藤定 修一 氏
中)KADOKAWA 人事部人事課 課長 鈴木 寛子 氏
右)LINE メディア事業部 副事業部長 桜川 和樹 氏

コンテンツを供給するだけでなくビジネスとしての発想ができるか

——自己紹介とこれまでの経歴、現在のお仕事について教えてください。

LINE メディア事業部 副事業部長 桜川 和樹 氏

桜川:LINEのメディア事業部で副事業部長として、「NAVERまとめ」の編集長と「LINE NEWS」の企画・編集を担当しています。LINE NEWSは「livedoor ニュース」の人材も含めて運用しており、NAVERまとめは立ち上げ直後から関わっています。前職ではリクルートの「R25式モバイル」で編集デスクをやっていました。10年間ずっとWeb畑で仕事をしています。

KADOKAWA 人事部人事課 課長 鈴木 寛子 氏

鈴木:私はKADOKAWAで人事部人事課課長として、新卒採用などを担当しています。以前はリクルートで情報システムや人事などをしていましたが、ゲームファンド会社をリクルートが立ち上げたときに出向し、さらに2006年にマルチコンテンツパブリッシャーのメディアファクトリーに転籍しました。編集職の経験はないのですが、長年、人事や広報などの業務を担当しています。

藤定:私は宝島社に中途で入社し、『宝島』編集部を経て、ファッション雑誌『smart(スマート)』の編集を6~7年ほど経験した後、ブランドムックを専門に編集する部署が新設され、編集長になりました。現在はグッズ付きの商品を企画・開発している「マルチメディア商品」の編集長を担当しています。

——ズバリ、編集者を志望する人に求めているのはどのようなことでしょうか。

鈴木:話題になるようなコンテンツを単に制作・供給できるだけではなく、それを使って何かビジネスができないかという発想があるといいですね。ユーザーという立場であっても、自分だったらどこと組むか、どう売るかを常に考えていてほしいです。

桜川:コンテンツをつくることが好きというだけだと、ものたりなく感じてしまいます。“ つくったコンテンツをどう届ければいいか”という感覚をより強く持っていることを重視しています。例えば、月1000万MAUを2000万MAUにするにはどうすればいいのかなどと、具体的な視点で考えられるといいですね。情報環境を俯瞰的にとらえ、ユーザーのリテラシーや使用されているデバイスの特性などを総合的に判断する能力が必要だと考えています。

宝島社 編集1局マルチメディア編集部 編集長 藤定 修一 氏

藤定:宝島社では、ブランドムックや傘、バッグ、料理器具、美容器具などグッズ付きの商品を企画・開発し、出版流通を活用して販売することで、多くのヒット商品を生み出しています。私の編集部では、本というジャンルに限らず、モノづくりの視点を持った人を求めています。ファッション、健康、知育、料理など幅広い商品をつくっているので、様々な分野から企画をつくれる人が望ましいです。また、編集職に就く人は、深い知識や強い個性を持っている人が多いと思いますが、その個性を活かしながらも、会社員としてちゃんと仕事ができそうかということも重要視しています。始業時間を守ったり、事務をこなしたり、予算の計算ができたりなどといったことですね。社内外含め、一人で完結する仕事ではないので、コミュニケーション能力も重視しています。

鈴木:個人的な意見なのですが、最先端の技術やモノへの興味があり、それを活用できる人、いろいろな人やモノとの接点を自ら創造できる人がほしい人材ですね。また、何でもいいので、オタク的に極めているジャンルが一つでもあるといいのかなと考えています。それに加えて、流行に左右されない、自分だけの軸をしっかりと持っていたりすると理想です。

桜川:ターゲットに確実にコンテンツを届けるために、情報と人との接点をどうつくっていくかを考え、積極的にアイデアを出してくれると理想的です。あくまで感覚ですが、日常的にブログやTwitterで情報発信をしている人は、いまネットでは何が受けるのかをよくとらえられていることが多いように感じます。面接でも「NAVERまとめをつくったことがありますか」や「ブログはやっていますか」という質問をして、ネットでの情報発信だったり、そのリテラシーを測っています。

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