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『逃げ恥』プロデューサーが語るヒットの鍵「楽しみ方は視聴者に見つけてもらう」

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2016年10月11日に火曜夜10時の連ドラとしてTBS系でスタートした『逃げるは恥だが役に立つ』は、初回視聴率(ビデオリサーチ調べ・関東地区)10.2%。この数字は、2014年4月期に始まったTBS同枠の連ドラで初の二桁発進という快挙だったが、それは序章に過ぎなかった。以降、視聴率は一度も下がることなく上昇し続け、最終話の第11話は20.8%と、同枠の史上最高視聴率を記録した。

「逃げ恥」の愛称で社会的な現象にもなったこのドラマのプロデューサーに、ドラマのコンテンツ制作とプロモーションのポイント、そしてテレビドラマというエンターテインメントに対する想いを聞いた。

『逃げる恥だが役に立つ』プロデューサーの那須田 淳氏(左)と、峠田浩氏(右)。

ドラマの楽しみ方を多角的に提供

新垣結衣さん・星野源さん主演の連続ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、講談社『Kiss』で連載中の海野つなみさんの同名少女マンガが原作。脚本を『空飛ぶ広報室』や『重版出来!』など数々のヒットドラマ・映画を手がけてきた野木亜紀子さんが担当した。

※本記事は、『宣伝会議』2017年2月号に掲載の連載「私の広告観」の一部を抜粋したものです。全文は本誌をご覧ください。

ドラマのテーマは「契約結婚」。恋人も職もなしという窮地に立たされた主人公が、人生で一度も恋愛をしたことがない高学歴IT企業社員と、ひょんなことから「仕事としての結婚」をするという前代未聞の設定となっている。

夫は雇用主、妻は従業員という雇用関係を結び、共に暮らすうちに互いを意識し始めるものの、微妙にすれ違ったり接近したりを繰り返して、視聴者をやきもきさせるというラブコメディだ。

ドラマ化のきっかけと、コンテンツ制作に込めた思いについて、プロデューサーの那須田淳氏は次のように話す。「初めて原作を読んだ時から、ラブストーリーとコメディが絶妙に絡まった物語に夢中になりました。加えて、根底には、『働き方』や『生き方』といった、あらゆる世代がそれぞれの立場で共感できるテーマが据えられている。多くの人に楽しんでもらえるドラマになると思いました。コンテンツの制作において最も重視したのは、『視聴者に、ドラマの楽しみ方を自ら見つけてもらえるような仕掛けをたくさん盛り込むこと』。ドラマのいろいろな楽しみ方を、作中でも、それ以外の場でも、できるだけ多く提供しようと考えました」。

作中には、主人公たちのモノローグ、つまり“心の声”がふんだんに盛り込まれ、登場人物の本音を知るのは視聴者のみという構図をつくった。視聴者は登場人物に感情移入することもできるし、一歩引いてを見守ることもできる。また、主人公の妄想シーンは、『開運!なんでも探偵団』『情熱大陸』『新婚さんいらっしゃい』など、ロングラン番組のパロディ仕立てになっており、元ネタを思い出しながら見るのも楽しい。

そして、番組ブレイクのキラーコンテンツとなったのが、番組エンディングで、テーマソング『恋』に合わせて出演者たちが踊る「恋ダンス」だ。YouTube上では、公式動画のみならず、数多くの“踊ってみた”動画が公開されている。

次ページ 「ドラマの世界観を共有できる時間を増やす」へ続く