Brandon Hill
Founder & CEO, btrax, Inc.
San Francisco State University 工業デザイン学科卒業。日米の企業に対してブランディング、マーケティング、コンサルティング業務を提供。グローバル市場向けのデジタルマーケティングやソーシャルメディアに精通。新事業創造カンファレンス基調講演、経済産業省 始動プロジェクト公式メンター、サンフランシスコ市政府アドバイザー、Dream Gate Awardアドバイザー。
シェアリングエコノミーの流行が世界に波及している。前回の記事で“モノより体験”を重要視するミレニアル世代の価値観について言及したが、今回はそんな彼らの価値観にぴったりフィットするような最新シェアリングエコノミーを紹介したい。
まずは、究極のシェアリングエコノミーと言っても過言ではない “Getaround”のカーシェアリングサービスだ。カーシェアとして有名なのはUberやLyftだが、Getaroundはユーザー同士で車を貸し借りする。いわゆる無人のレンタカーサービスで、しかもカーステーションなどに行くことなく、目の前の道路に停車されている車を時間単位で借りられるのだ。
車のドアはアプリで開けることができ、車内にキーが入っている。Getaroundなら、最新テクノロジーで話題のTeslaだって1時間=25ドルで借りられて、まるで自分のモノのように乗れる。こんなにエキサイティングなことはないだろう。
このサービスは、市内の渋滞や駐車場の問題などを抱えるサンフランシスコ市の協力の元、法的な問題を解決して実現しているそう。車は所有中の95%の時間が、実際には使用されていないと言われている。この無駄をなくし、みんなで使おうというのだから、これ以上のシェアはないのではないだろうか。
次に、大切な愛犬のお世話をシェアしてくれる人を探す“DogVacay”。出張や家族での旅行では、どうしてもペットを連れて行くことができず、困った経験はないだろうか。また、ペットホテルでは、犬の居場所が狭かったり、一頭一頭にスタッフがかまってあげられる時間はほとんどないだろう。
しかし、このサービスなら、犬のお世話をしたい人と助けを必要とする飼い主をマッチングし、外出中も写真やビデオを通して、愛犬が元気に過ごしているところを確認できる。予約や連絡の方法は、まるでAirbnbのようなイメージでとても簡単である。
最後は、才能やスキルのシェアリング ”Fiverr”。自分のちょっとした能力を、他の人のために使うことを実現したサービスである。例えば、まだまだ無名のミュージシャンや大道芸師が自分のパフォーマンスを動画で投稿して告知、そのパフォーマンスを5ドルから販売し、個人のパーティやイベントで披露する。他にも、動画加工スキルやグラフィックデザインスキルを助けが必要な誰かに貸すことだって可能なのである。まさにデジタル内職とでも言おうか。
シェアリングエコノミーの拡大は、間違いなく私たちの生活をよりスムースで快適なものに変化させていく。また、これらのサービスに共通する点として、操作におけるユーザーエクスペリエンスの良さがある。シェアリングの良さは、スムースでハッピーであることが全てであり、安さは二の次なのである。
今後のシェアリング社会において、“めんどくさい”は滅びていく。いまだ、“めんどくさい”を内包するサービス・プロダクトたちは、変革を急かされているのだ。ここからもユーザーエクスペリエンスの需要が高まっていることが伺える。
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