コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

24年前の電通はこんなところだった(ゲスト:田中泰延)【中編】

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田井中さんの「機嫌ようやっとるか?」

田中:僕はこういうことを24年間やり続けて。これとバウバウだけで。

権八:泰延さんは「ニコニコして生きる」ということをどうでもいいことのようにパッと書くんだけど、それは意外と大事というか。泰延さんのことは何となく前から知ってるんですけど、ちゃんとしゃべったのは田井中さんのお葬式のときだと思うんですけど。

田中:そうですね。しみじみといろいろお話しましたね。

権八:田井中さんはシンガタの社外取締役だったので、よくメシ食いに行ったりしてたんですけど、いつも言うのは、「よう権八、機嫌ようやっとるか?」って。

田中:絶対言うんですよ。澤本さんも言われたんじゃないかな。

澤本:言われてますね。

権八:毎回言ってくれて、若い頃はそのたびに「いや全然ご機嫌じゃないす。佐々木さんにこんなこと言われた」とか子どもみたいに言いつけて(笑)。表面的には「大丈夫です」と言いつつも、一緒にメシ食って酒飲みながら色々と聞き出そうとしてくれてたんです。最近、田井中さんの「機嫌ようやっとるか?」をいつも思い出すんです。

田中:僕が最初に大阪に配属されたときが堀井局長で、田井中CD、部長だったんですよ。だから、毎朝、「機嫌ようやっとるか?」、帰るときも毎日、「機嫌ようやっとるか?」、こればかりなんですよね。最後は電通専務にまでおなりになって、何千人相手にやってたんじゃないかなと。ただ原理は機嫌がいいかだけ。それは偉大だなと思って。

権八:いかに機嫌よくニコニコして生きられるかって、突き詰めるとそれに尽きるような気がして。

田中:そうなんですよ。昔からよく言うじゃないですか。釣り人と起業家の話。

中村:・・・なんでしたっけ(笑)?

田中:あるITの起業家が釣り人を見て話しかけたんですね。「何やってるんですか?」 「釣りやってます」「いつからですか?」「もう30年、毎日釣りやってますよ」と。

今度は釣り人が「お前はどうしたんだ、釣りばかりやってる俺に話しかけて、見たところ若いようだけど」と言ったら、「僕はIT企業を立ち上げて、成功して、上場して、イグジットして、別荘をこのへんに建てて、自家用飛行機をもって、美女をいっぱい住まわせて、それでこの桟橋で釣りしたいんですよ」と答えて。

それに対して釣り人は「いや、俺30年やっとるよ」。

つまり、みんなそういう遠回りをしているんじゃないかなと。

中村:やりたいことは釣りなんだから、もっと気楽でいいじゃないかと。

田中:そう。最初から釣りしたら、同じように機嫌いいんじゃないかなと。僕は24年間、とにかく会社で苦労するのはやめようと決めて。苦労して、しんどそうにして何かを得られるかなと思ったら、相当じゃないと得られないなと思って、気楽にバウバウと。

中村:でも、そうだとしたらこれからがキツイというか、苦労もありそうじゃないですか? お仕事も自分で開拓していかなきゃいけないから。

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