【前回のコラム】「私を変えた凄い人たち —大改訂・岡康道さん」はこちら
畑違いのすすめ
公園をつくりたい。それが、造園職として地元札幌の市役所に入った理由でした。経験した部門は、農業にはじまり、都市緑化、景観。畑違いというか、わたし、畑からやってきました。
4年前に制作会社でコピーライターになり、現在は東急エージェンシー北海道支社で営業をしています。なんだか場違いも甚だしいのですが、未経験から広告業界へ転職できたのはほんとうのこと。コピーや広告に興味をもちはじめた方に向けて書こうと思います。
目線を上げた先に
社会人5年目の春でした。仕事帰りの駅で目に入ってきたのは、宣伝会議コピーライター養成講座のポスター。ずっと耳に残っていたテレビCMのキャッチフレーズや、大学の図書館で手にとった広告の雑誌、文章を書くことなど、もともと好きだったいろいろなことが、コピーライターという仕事に結びつく気がしました。気づくのが遅いです。迷いに迷ったあと、事業や広報物の企画にも役立ちそうだし、今しかないし、と人知れず申し込みました。
講座が始まってからもしばらくは、今の仕事に生かすために受けていると言い張っていました。コピーライターを目指しているなんて大それたこと、口にするのも憚られたのです。
ある日の講義の半ば。課題の添削がはじまりました。「まずはプロが書いたものを見てください」と説明してからスクリーンに映し出されたのは、きれいなポスター。画面が切り替わるたび、教室のあちこちで小さな声がもれました。
実は、紹介していたのは、プロの作品ではない。受講生のコピーを、ほんもののポスターのようにレイアウトして見せてくださっていたのでした。
当時は(今も)、ノートにうねうねと書きつらねた、コピーともいえないコピーをなんとか選んで提出するだけで精いっぱい。自分のコピーがかたちになるって、想像したことさえありませんでした。こんなふうに、ちょっと意表をついて、ひとを喜ばせること。広告の根っこにあるものって、すてきだな。そうしみじみ思った瞬間でした。
制作会社でコピーライターになったのは、養成講座を修了して2年ほど経ったころ。その後、もっと広告全体のことを知りたい、と広告代理店に営業として転職しました。
講師の方には、コピーを添削していただいたり、ポートフォリオのまとめ方を相談したり、募集している会社を紹介してもらったり。実際にコピーライターになって活躍している同期の姿も、励みでした。今も札幌コピーライターズクラブ(SCC)などでよく顔を合わせています。
「コピーライターは、よく書く前に、よく聴く仕事。営業は貴重な経験になるはず」
大先輩から、こんな言葉をかけていただいたこともあります。
どんな経験も感情も、糧にできる仕事。遠回りだったとしても、その先にあったのがコピーでよかったと、わたしは思っています。
次回は7期(2007年〜2008年)の修了生で現在石屋製菓のコピーなどを手がけているティー・シー・ピーの鈴木拓磨さんです!
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阿部玲奈(あべれいな)
東急エージェンシー北海道支社に所属。北海道大学農学部卒業。2016年、SCC賞とSCC新人賞を受賞。宣伝会議コピーライター養成講座基礎コース札幌教室9期、西村佳也クラス修了。札幌岡田塾を受講中。
「コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー
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