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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

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【前回の記事】「逆襲するテレビ〜視聴率は世帯から個人へ、量から質へ」はこちら

©123RF

逆襲していなかったテレビ、2019年の「日本の広告費」が発表に

ほぼ一年ぶりに「アドタイ」で書きます。もはや連載だかなんだかわからなくなっていますが。

去年書いたのは「逆襲するテレビ」と題した記事。2018年の「日本の広告費」が発表され、インターネット広告費がついにテレビ広告費に追いついた。でもテレビ広告は世帯視聴率から個人視聴率に指標を変え、どんな人が番組を見ているかもデータで示して「逆襲」しますよ。そんな内容の記事でした。

さて先日、2019年の「日本の広告費」が発表されました。そこからテレビ広告費(地上波のみ)とインターネット広告費、そして新聞広告費の数字を抜き出して、1985年から去年までの推移を折れ線グラフにしたのが下の図です。

ネット広告費がテレビ広告費を追い抜いて、突き放してます。テレビ広告費はダダ下がりですね。テレビ広告費が1兆7345億円、ネット広告費が2兆1048億円ですから3700億円も差がついています。びっくりですね。ただ、ネット広告は今年から「物販系ECプラットフォーム広告費」が加わりましたから、カウントの範囲が広がったことに注意です。

いずれにせよ、テレビ広告は「逆襲」してません。見逃し配信で昨年の101億円から150億円まで伸ばした、というのはありますが、まだまだです。とても逆襲と言える数字ではありません。

広告メディアとして、テレビがネットにかなわなくなったのかな。そんな状況。時代の趨勢。致し方なし。別に私はテレビ局の人間ではないのでいいんですけど、テレビCM全盛時代を知っている広告業界のおっさんとしてはちょっとしんみりしてしまう。

そしたら今日、ネットで少し話題になっていた、こんなタイトルの匿名記事を見かけました。

「私は広告制作の現場を辞めて、広告を屠殺する現場に転職した」

乱暴に簡単な要約を書きます。

「私は総合代理店で10年間制作の仕事をしてきた。そこでは徹夜したりプレゼンの前日もギリギリまで粘ってより良い表現を企画するのが当たり前だった。それは広告を「文化」として保とうというおっさんの努力であり、私は土日の撮影や徹夜は大嫌いだったが少しでも良いものを作るために頑張るおっさんの姿は好きだった。それが広告を「文化」たらしめたのだ。10年総合代理店にいたのち、WEB広告代理店に転職した。そこではすべて広告を数値化して語っていた。視聴率やクリック率が高く出る広告の作り方をしていた。数字に裏付けされたゴミを作っているようにしか見えないので半年で辞めた。広告という文化は彼らに食いつぶされるだろうが、私はそれを見届けたい」

なんだかちっとも簡単に要約できてませんが、そんな内容でした。

で、これもネット広告がテレビ広告を超えたことがきっかけで書いたらしいのですね。

この匿名ブログの人は私よりふた回りくらい若い人でしょうけど、私は強く共感しました。共感しましたが、この方はずいぶん勘違いしているなあ、残念だなあとも思いました。

そこでその勘違いを修正したくて久々に「アドタイ」で書かせてもらうことにしたのです。お若い広告業界のみなさん、ぜひ読んでください。

次ページ 「今のWEB広告は街でティッシュ配るのと似たような使い方しかされていない!?」へ続く