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多様なジャンルのカルチャーを発信 読者とのタッチポイントをいかに拡張するか

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『POPEYE』や『GINZA』、『an・an』、『Tarzan』など、独自の世界観を持つ雑誌ブランド群で、年令軸に捉われない幅広いターゲットをカバーするマガジンハウス。広告会社を経て、2020年10月に新しく設立されたブランドビジネス部 部長に就任した長 勲氏に話を聞いた。

雑誌を知らなくても コンテンツに触れられる仕組み

私は2009年にアサツーディ・ケイ(現・ADK)に入社、雑誌部を経て営業部で飲料メーカーのリブランディングなどの仕事に携わっていました。その後、2017年マガジンハウスに入社。3年間セールスを担当してきました。前職の雑誌部で編集者と仕事をしていたとき、『この能力を紙の中にとどめておくのはもったいない』と感じていました。プロフェッショナルたちを集め、プロデュースしながら、コンテンツをつくりあげていくスキルは、もっといろいろな場所で求められている。

そこで2020年10月に立ち上げたのがブランドビジネス部です。ひと言でいえば、編集部以外のマガジンハウス内のすべての部門に横ぐしをさす機能を担う部。これからのブランドビジネスで重要になっていく多角的な読者とのタッチポイントづくりを編集部だけで担うのは難しい。そこで各雑誌のブランド力を高め、新しい仕組みづくりをサポートする機能が必要と考え、設立に至りました。

いま取り組んでいることのひとつに、読者と編集部との結びつきをより大切にしていく活動があります。

例えば7月、定期購読付きで月額5500円のオンラインコミュニティ『TEAM Tarzan』を開設しました。

トレーニング配信だけではなく、メンバー同士や編集部が交流できる、読者が主体的にかかわるコンテンツを展開。読者の質やコミュニティを明らかにして、自分たちで盛り上げていくことが重要だと考えています。

また当社の雑誌は、中高生へのリーチに少なからず課題がありました。そこで雑誌ブランドに触れてもらう新たなタッチポイントとして、従来のSNSだけではなく、商品開発やコミュニティ作りにチャレンジしていきます。先日は『POPEYE』のスウェットやキャップといったオリジナルグッズを販売し、非常に好評でした。さらに10月、約450万ダウンロードされている英単語アプリ「mikan」とコラボした「POPEYE英単語」というコンテンツをリリース。日本で初めてアメリカの西海岸カルチャーを紹介した『POPEYE』らしい、「一度は言ってみたい」フレーズを収録しました。

SNSなどの新しいメディアが出てきたとき、それを使うか否かの判断は容易ではありません。しかし、私はできる限り全部のメディアでブランドとの接点をつくるべきだと考えています。例えば、『GINZA』が雑誌ではいち早くTikTokをスタートさせましたが、その時に若いディレクターが「TikTokで発信するということは、自分たちを知っている人が誰もいない大通りにポスターを貼るのと同じこと」と言っていましたが、まさにその通り。自分たちのユーザーが少ない場所にこそ、接点をつくっておくことが大切です。3月に『POPEYE』のWebサイトが開設される予定で、これですべての刊行物のオンラインメディアが揃います。個性的なブランド群がアフターデジタル社会でどう輝くか、ワクワクしています。

マガジンハウス
ブランドビジネス部 部長
長 勲氏