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「広告ではなく行動せよ」の精神で“移動しないで”と呼びかけ Uberのマーケティング戦略(後編)

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【関連記事】「何か食べたいときに「Uber Eats」が一番に頭に浮かぶように Uberのマーケティング戦略(前編)」はこちら

新型コロナウイルスの感染拡大から約1年。巣ごもり需要を追い風にレストランパートナー数を7万件に増やすなど大きく成長を遂げたのがオンラインフードデリバリーなどを行う「Uber Eats」だ。運営するUberは、この追い風を生かしてどのようなマーケティング戦略を展開しているのか。APACマーケティング統括 シニアマーケティングディレクターのルシンダ・バーロウ氏に聞いた。

ルシンダ・バーロウ
APACマーケティング統括 シニアマーケティングディレクター

オーストラリアとニュージーランドで7年間にわたりGoogleのマーケティングおよびコミュニケーションチームを率い、その後YouTubeの消費者マーケティングと製品マーケティングを指揮し、YouTubeのカルチャー&トレンド事業をグローバルに拡大。2019年10月にから現職。

 

移動にかかわる事業が「今やるべきこと」とは

—モビリティ事業を持つUberですが、2020年4月~5月の第一次緊急事態宣言下では「移動しないで」と呼びかけるキャンペーンを実施しました。

おっしゃる通り、我々は人々の“移動”に関わる事業を展開しています。しかしコロナ禍では、感染拡大を防ぐために「今は移動を控えていただく」という方針を打ち出す必要がありました。それが「移動」に関わるビジネスを展開する企業としての社会的責任と考えたからです。

そこで、「Act Not Ad(広告ではなく行動せよ)」という考え方に基づき、「今やるべき正しいことをやる」というアプローチを採りました。つまり「人々に『移動しないで』と呼びかけること」です。このパワフルなメッセージは、我々のプロダクトやオウンドチャネル、テレビCMなどを通じて、多くの人の耳に届けられたと思っています。

もちろん「移動しないで」と呼びかけるだけではなく、感染拡大防止のための仕組みづくりも行いました。例えばUber Eatsでは2020年3月末に、注文品の「置き配」機能をアプリに追加しました。これにより、配達パートナーとお客さまが接触することなく商品の受け渡しが行えるようになりました。

また、モビリティ事業では、2020年5月18日からアメリカ・カナダ・インドなどで、ドライバーのマスク着用を徹底しました。ドライバーは乗務開始前にスマホのカメラで自撮りし、画像処理技術でマスクの着用を確認できないと配車システムに接続できないような機能を導入したのです。

このような教育・啓発活動や機能の整備を行ってきたことで、私たちは消費者の皆さまの安全を守ることができたと考えています。加えて、外出自粛が解かれ人々が移動を再開し始めた際にも、安全を最優先にサービスの提供を続けていく、という我々の姿勢が伝えられたのではと思います。

次ページ 「飲食店やコミュニティへの支援も」へ続く