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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

“音楽のように映画をつくりたい”という吉田監督。「錦戸くんとは話が早い」(ゲスト:吉田大八、錦戸亮)【後編】

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【前回コラム】「「映画『羊の木』の撮影で「死んでまうわ!」と感じたシーンとは?(ゲスト:吉田大八、錦戸亮)【前編】」はこちら

今週のゲストは、先週に引き続き、映画監督・CMディレクターの吉田大八さんと、アーティストの錦戸亮さん。Amazon musicの企画で、映画『羊の木』(2018年)以来となる再タッグを組んだお二人。吉田さんが監督・脚本、錦戸さんが主演と主題歌を務めたショートフィルム『No Return』(7月14日に配信開始)と、錦戸さんが書き下ろした主題歌『ジンクス』(7月9日配信)について語ってもらいました。

今回の登場人物紹介

左から、錦戸亮、吉田大八。

※本記事は7月4日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

錦戸が主題歌を「書いてみる」と言った時点で「もう逃がさない」と思った

中村:7月14日から配信されるショートフィルムの名前が『No Return』。錦戸さんが主演で、かつ主題歌の『ジンクス』を書き下ろしているという超豪華な状態になっています。まず、そもそもこのお二人で再びタッグを組まれたきっかけはどんな感じだったんですか?

吉田:この話を聞いたときに、錦戸くんに少なくとも(主演か主題歌の)どっちかひとつはやってもらいたいなと思ったんですよ。俳優・錦戸くんとは何年か仕事できてなかったし、一方で錦戸くんの音楽活動をこの3年ぐらいずっと追っかけてきて、ミュージシャン・錦戸亮にも僕はすごく興味があって。「これいいチャンスだな」と思って。最初に「2つやってくれないか」って頼んだんですよ。

権八:主演と主題歌と、両方を。

吉田:そしたら、主演はすごくやりたがってたんだけど、音楽は「え…」みたいな感じだった。

権八:何で?

錦戸:僕自身、作品や何かに合わせて書くことが初めての経験で。だからできるかどうかっていう、自分の中での自信が見えなさ過ぎて、ちょっと不安な部分もあったんで「うわっ、どうしよう」と思ったんです。「それはまあ置いときましょうよ」みたいな感じで、2人でご飯食べながらでしたよね。それで2人で話してて、いつの間にか……いつの間にかじゃないか。「やる」ってなって、僕が「1回つくってみます」ってなったんや。「それでもしあかんかったら、全然弾いてください」って言ってたら、感想のやりとりしてる間にどんどんできていって「これでいきましょう」ってなっちゃったみたいな(笑)。

一同:(笑)。

吉田:「1回つくってみる」って言った時点で、こっちとしては「もう逃がさないぞ」って(笑)。ただ、彼に最初言ったのは「映画に合わせて書いてもらう以上、すごく細かく言うよ」って。「細かく言うし多分しつこいよ」って(笑)。

一同:(笑)。

吉田:「やる以上ちゃんと付き合ってね」ってことは言ったんです。その後のやり取りは、普段僕らがすごく細かく確認しながら音楽プロデューサーと音楽をつくっていく、まさにあの感じで。それを彼と直接できたのが、今回はすごく良かったんじゃないかと思います。

権八:ほお~。

中村:じゃあわりと長きにわたる壮絶なやりとりが?

権八:壮絶(笑)。

錦戸:マジで長い期間でしたよね。

吉田: 2月ぐらいからやり取りが始まって。

錦戸:それで出来上がったのは4月中旬ぐらいでしたよね。

権八:それは亮くんからしてどうでした?大八さん、細かいこと言ってくるでしょう?(笑)

錦戸:でもね、大八さんは「確かに」っていうことしかおっしゃられないんです。「確かにそうですね」で、どんどん書き直したりつくり直したりしましたよ。

権八:でも「なにくそ!」ってスマホ投げつけたりそういうことは?(笑)

錦戸:全くないです(笑)。

吉田:そんな人が他にいるみたいじゃない(笑)。

中村:タイムラインで言うと、台本はもう出来上がっていて、撮影前の段階でってことですよね?

吉田:そうです。だからまず、いつもみたいに、僕の方からイメージになる曲を片っ端から投げました。「多少混乱してもいいや」と思って(笑)。それで何が出てくるか分からないじゃないですか。僕も錦戸くんとこういう作業をするのが初めてだったから、ちょっとワクワクしてたんですよね。彼はやっぱり、最初は慎重だったんです。「もうちょっと時間ください」「歌を一応録ったけど、歌詞を見直したいからもうちょっと待ってくれ」とか。最初に聴かせてもらったのは、今回実際に使った曲の原型なんですけど、もうほぼ「そこに投げて欲しかったです」っていうものだったんです。すごいプロデュース力が高い人なんだなと思いました。

錦戸:いや、指示が的確やっただけです。

吉田:褒め合いが始まりましたね(笑)。

次ページ 「錦戸亮の作品だから、彼自身がアーティストとして納得のいくものじゃないとダメ」へ続く