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『花椿』、資生堂パーラーなどを手がけたグラフィックデザイナー・仲條正義⽒、死去

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グラフィックデザイナー 仲條正義⽒が、10 ⽉ 26 ⽇に 肝臓癌のため死去した。享年88歳。

「以前、著書の中で『三流は刺激的だ』と書いたことがあるんですが、すべての芸術というのは、未完成の力強さ、若さゆえの暴力性といった要素を含んでいて、そこから新しいものが生まれてきている。デザインも合理的に定着させるばかりでなく、整合性といったものを超えていくことが必要なんです。新しい“引っかき傷”を残せるような『新兵器』をいつも考えているんですが、誰か教えてくれませんかね」(月刊『ブレーン』1999年7月号より)Photo by 若木信吾

仲條氏は、1933 年東京⽣まれ。1956 年東京藝術⼤学美術学部図案科卒業後、資⽣堂宣伝部⼊社。その後、デスカを経て、1960 年にフリーとなり、1961 年株式会社仲條デザイン事務所を設⽴した。

これまでにTDC 会員⾦賞、ADC 会員最⾼賞、⻲倉雄策賞、毎⽇デザイン賞、⽇本宣伝賞⼭名 賞、毎⽇ファッション⼤賞 鯨岡阿美⼦賞ほか多数受賞。紫綬褒章、旭⽇⼩綬章受章。

⽇本グラフィックデザイン協会理事、東京タイプディレクターズクラブ副理事⻑、東京 アートディレクターズクラブ委員、東京イラストレーターズソサエティ理事、毎⽇広告 デザイン賞審査員、⼥⼦美術⼤学デザイン学科客員教授等の役職を歴任している。

代表的な仕事に、40 年以上にわたってアートディレクターを務めた資生堂企業⽂化誌『花椿』、ザ・ ギンザ/タクティクスデザインのアートディレクション及びデザイン、松屋銀座、ワコールスパイラル、東京都現代美術館、細⾒美術館の CI 計画、東京銀座資⽣堂ビルのロゴ及びサイン計画、資⽣堂パーラーのロゴタイプ及びパッケージデザインなどがある。

資⽣堂パーラーのパッケージデザインは 、2015 年に⾃らのデザインを 25 年ぶりにフルリニューアルした(2020年JAGDA賞受賞)。

資生堂パーラー25年ぶりのフルリニューアル デザインは仲條正義氏

そのほかにも、NHK「にほんごであそぼ」かるた、『暮しの⼿帖』表紙イラストレーションなど、グラフィックデザインを中⼼に活動してきた。
2021年2月に、1960年代から現在までの仕事をまとめた作品集『仲條 NAKAJO』(ADP)を上梓。東京、大阪、京都、福岡で、出版記念作品展を開催している。

月刊『ブレーン』2006年2月号では、服部一成氏と対談。「デザインという仕事に飽きたりしないんですか」という服部氏の質問に対し、「もういろいろやり尽くしているからだと思うけど、ちょっと何かやるとまた違ったものが見えてくる。無限にあるなという感じがあるんだよね」と答えている。その言葉通りデザイナーとして生涯を全うし、これまで世に送り出した作品で多くの後進たちに影響を与えた。

通夜は10月29日18時~19時半、葬儀は10月30日10時から、妙正寺会館(東京都杉並区清水3-5-9)にて。喪主は長男一哉氏。

仲條正義氏の作品を使用させていただいた『ブレーン』の表紙(アートディレクション:細谷巖、コピー:秋山晶)