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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

「相手の台詞に気持ちが動くから、自分の台詞が出る」という是枝監督の言葉を大切に(蒔田彩珠)【前編】

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【前回コラム】「解散」という事実がみんなをひとつにしてくれた(BiSH)【第3回】

今週のゲストは、Netflixで配信中の『舞妓さんちのまかないさん』(是枝裕和監督)に出演する俳優、蒔田彩珠(あじゅ)さん。数多の是枝作品に出演してきたため、是枝さんはもはや「お父さん」のような存在なのだとか。今年、成人を迎えた「娘」を見た監督の反応や、いかに!?

今回の登場人物紹介

左から、中村洋基、蒔田彩珠、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)

※本記事は2023年1月29日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
 

俳優 蒔田彩珠が登場!

澤本:はい、皆さんこんばんは。CMプランナーの澤本です。

権八:はい、CMプランナーの権八です。

中村:はい、こんばんは。Web野郎こと中村洋基です。皆さん、近況はいかがでしょうか?

澤本:おかげさまで、サントリーの成人の日のCM、青木柚先生に出ていただいたのが公開されまして……。

権八:ねえ~、柚くんのあの感じはいいですよね!あと、お母さん役の西田尚美さん。

澤本:もう、西田さんと青木くんのおかげだわ、あれは。

権八:ねえ。「大人じゃん」ていうね。チャーミングなコピーで。

澤本:おかげさまで。たまに「CMをやってます」って話をしないと。

中村:まだ見ていない方がいたら「サントリー 成人の日」で検索すれば、まだ出てきますよね?

澤本:まだ見られると思います。

中村:めちゃくちゃいいCMなので、ぜひご覧ください。

権八:お母さんの視点と、息子の視点が両方あるのよね。「両A面」みたいな感じがいいですよね。

中村:というわけで。今夜も素敵なゲストにお越しいただいております。俳優の蒔田彩珠(あじゅ)さんです! よろしくお願いします。

蒔田:よろしくお願いします。蒔田彩珠です!

中村:え~、蒔田さんは番組初登場で、「初めまして」かと思いきや、澤本、権八の両氏は、もしかしてお仕事でご一緒されていますか?

澤本:はい。ぼくはソフトバンクの5年ぐらい前のCMで。志尊淳くんとサーティワンアイスクリームを食べる役をやってもらったことがありますね。

蒔田:やりました(笑)。サーティワンがもらえる期間のCMでしたね。

権八:じゃあ、その頃から知っているんですね?

澤本:蒔田さんの存在を知っているのは、いつからかっていう話?

権八:さすがは最高学府! 言葉には厳密(笑)。

澤本:あはははは!

権八:もっと長いよね。

澤本:これはまず、自己紹介が先かな。

中村:そうですね。リスナーにとっておそらくおなじみなのは、映画『万引き家族』(是枝裕和監督)。あとは、なんといっても、連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK)ですね。「あー、この子か!」と、日本中みんなが知っている子なんじゃないかと思いますけども。経歴がすごすぎるので、早速、自己紹介にいかせていただきたいな、と思います。

蒔田:はい。

中村:一応、毎回ゲストの方に自己紹介をお願いしておりまして。この「すぐおわ」は、広告の番組ということで、ご自身の自己紹介をラジオCMの秒数 20秒に合わせてやってください、という無茶振りコーナーがあります。

蒔田:うう~!(笑)。

中村:あの、よろしかったらしゃべり散らしていただけますと……。

蒔田:はい、がんばります! 20秒か……。

中村:では、どうぞ!

カーン♫

蒔田:はい。蒔田彩珠です。二十歳です。え~、4歳の頃から活動していて、今年で17年目になります。今年もまだ公開されていない作品や、今年撮影が始まるものがあるので、みなさん、わたしの進化を楽しみにしていてください。今日はよろしくお願いします。

カンカンカーン♫

澤本:スゴい、入りきった!

蒔田:あははは!

中村:4歳から? そうですよね、めちゃくちゃたくさんの作品に出られていますもんね……。

蒔田:はい。

澤本:4歳で何をしたんですか?

蒔田:最初は、読者モデルみたいな感じで始まって。でも、大人がすごく苦手な子どもだったんですよ。それで、オーディションとかに行ってもガチガチに緊張しちゃって……。

中村:オーディションって大人に囲まれているでしょう?

蒔田:そうですね。だからそれを克服するために、大学生の自主制作の作品に参加するようになって、という感じですね。

澤本:ご家族が元々そういったものが好きだったんですか?

蒔田:いえ、それは母が、自分の子どもがかわいいと言われる喜びから始まりました。

澤本:あはははは!

中村:ああ~! もう日本一かわいいから、こんなにかわいいんじゃ、芸能界いけるっしょ?と。

蒔田:あ、そうですね。それが始まりでしたね(笑)。

中村:スゴい。そしたらホントにいけたと。

蒔田:はい(笑)。

権八:すごい素直ですね!

一同:あはははは!

権八:ご本人もお母さんも、なんかイイね!なんか、正直で素敵だな。

中村:世界中の親御さんが同じことを思っていると思うんですけど……。「ウチの子が一番可愛い」って(笑)。

蒔田:そうですね(笑)。

中村:そもそも、「彩珠(あじゅ)」ちゃんというお名前は、本名なんですか?

権八:たしかに!

蒔田:本名です。

中村:これはなかなか、思い切った名前だなと思いますけど。

権八:珍しいよね。

中村:カッコいいですよね。

蒔田:そうですね。「梓川」という川があって、母がその川を好きだったことと、母の名前に真珠の「真」という漢字が入っていたので、彩珠の「珠」で「真珠」っていう。ここも母ですね(笑)。

中村:じゃあ、結構芸能界入りもお母さまの意向というか。

蒔田:本格的に「やりたい」と思ったのは、兄が先に活動を始めていて、テレビに出ているのを見て「あ、テレビに出れるんだ!」って思ったのが最初の「やりたい第一波」です。

権八:第一波?最強寒波みたいな(笑)。

澤本:お兄さんがもう出ていらっしゃったんですね?

蒔田:そうです。今はもうやっていないんですけど。先に兄がやっていて、という。

澤本:じゃあ、自宅でテレビを見て「あ、お兄ちゃんが出てる!」と?

蒔田:そうです、そうです。「わたしもやりたい、出たい!」と。

権八:へえ~。すごいね。お兄ちゃんも、ちょっと変わった名前なんですか?

蒔田:いや、「いぶき」っていうんですけど。

権八:あ~、でも、まあね。

澤本:変わってはいないでしょ? お兄ちゃんの名前、変わってないから(笑)。

権八:あ、変わってないですか? ごめんごめん!(笑)。彩珠ちゃんって、僕は初めてお会いした名前です。

蒔田:そうですよね。

権八:「彩珠」っていう響きもカッコいいんですけど、どこかにそういう言葉があるんですか?

蒔田:韓国語で「アジュ」は、「すごい」っていう意味じゃなかったでしたっけ?

権八:へえ~! 素敵。

澤本:じゃあ、韓国で呼ぶと「すごい、すごい」って言われるんですね。

蒔田:そうですね(笑)。
 

是枝監督は、もはや「お父さん」!?

中村:そんな蒔田彩珠ちゃんは、現在Netflixで配信中の『舞妓さんちのまかないさん』(是枝裕和監督)に出演中です。京都の花街が舞台だと?

蒔田:はい。

中村:これは、どんなお話のどんな役柄なんですか?

蒔田:作品自体は、舞妓になりたくて京都にやってきた女の子二人のお話で。でも、私は唯一、原作にはいない役なんです。是枝監督が書いてくださった「舞妓ではない役」でした。

澤本:役として舞妓さんの二人が出てきて。片方が舞妓不適格みたいな話だったり。あ、僕は見ているんですけどね(笑)。

蒔田:ありがとうございます。

澤本:その時に、その二人に対して蒔田さんの役が「そんなの、ずっと続けてもダメなものはダメです」みたいなことをね?

蒔田:結構、キツめの女の子の役ですね。

澤本:でも、冷静に言うのね。ふつうは見ていると、「え、何この子?」って(笑)。

蒔田:思いますよね?(笑)。私も完成したのを見て「キツイ子だなぁ~」って思いました。

澤本:でも、あの役は原作にはなかったんですか。原作は漫画だもんね?

蒔田:そうですね。あれは原作にはなくて。監督がちょっとスパイスになるような役を書いてくれました。

澤本:これね、本当に舞妓さんのお話を、祇園のものすごい細い路地とかをキチンと撮れているのよ。お家の中とかもちゃんと撮れているから。こういうのは、なかなかないんですよね。

中村:めちゃくちゃレアっていうか、ふつうは撮れないんですもんね。

澤本:そうそう、リアリティがむちゃくちゃあって。

蒔田:セット自体も京都に建てていて。東京でやればいいことを、ちゃんと京都でやっているので。気持ちから「京都に住んでいる感じ」をつくらせてくれる感じですね。

澤本:だって、結構長く撮っていましたよね?

蒔田:そうですね。でも、私は3カ月とかだったので。みんなは5カ月近くやっていたと思います。

澤本:その間はみんな、ずーっと京都にいたんですか?

蒔田:そうですね。私は行ったり来たりしていましたけど。たぶん、森七菜ちゃんと出口夏希ちゃんはずーっと行きっぱなしでやっていましたね。

澤本:京都弁をしゃべっているじゃないですか?あれは簡単に習得できました?

蒔田:いや~、なんだろう……。関西弁は意外とできるんですけどね。私は舞妓ではないので意外とやりやすかったんですけど、他の人たちは舞妓さん特有のはんなりした言葉だったので、すごく大変そうでしたね。

澤本:そのあたりのリアリティは、是枝さんだからね。むちゃくちゃリアリティがあって。

蒔田:そうですね。

中村:彩珠ちゃんは結構、是枝監督の現場が多いんですよね?

蒔田:そうですね、多いですね。

中村:じゃあ、めちゃくちゃ相性がいい?

蒔田:そうですね。「くまさん」みたいな感じですね(笑)。

権八:僕が最初に彩珠ちゃんを認識したのは、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(2012年フジテレビ系で放映。是枝裕和脚本)だったのね、阿部寛さん主演の。で、すごく新しい才能が是枝さんによって見つかったのかなっていう。それから割とコンスタントに……。あれが最初ですか?

蒔田:そうです。『ゴーイング マイ ホーム』が一番最初です。

権八:だからもう、相性が良いっていうか。是枝さんは彩珠ちゃんのこと、大好きなんじゃない?

蒔田:大好きですね、きっと(笑)。

権八:大好きだと思う、娘のようにさ。だって、相当出ているよね?

蒔田:そうですね。この間ちょうど『舞妓さん』の舞台挨拶の時にその話になって。たぶん、映画とかCMとか、ミュージックビデオの撮影とかを合わせると8作品ぐらい出てますね。

権八:へえ~! どんな感じ? って聞いたら「くまさんみたい」って言ってたけど……(笑)。芝居以外の話もしたりするの?

蒔田:あ〜、芝居以外の話のほうが多いですね。ふつうのプライベートの話をするほうが多いですね。

権八:「お父さん」じゃん! それじゃあ(笑)。

蒔田:お父さん、ですね(笑)。
 

「その時の気持ち」に合わせたお芝居がしたい

権八:そうなると、演技指導っていうのも無い感じですか、もはや?

蒔田:う〜ん、あんまり無いですね。やっぱり『舞妓さん』での役に関しては、当て書きをしてくださっていたので、あんまり「難しい」っていうのはなくて。その時は演技指導はなかったですね。

権八:すごいね。

澤本:是枝さんって、当日に台本を足したりするんでしょ?

蒔田:映画『三度目の殺人』(2017年公開。是枝裕和監督)の時に、初めて台本を渡してもらいました。それまでは台本すらもらっていなくて。この作品がどんな作品かも知らずに現場に行って、その場で台詞を教えてもらって、話す、という感じでしたね。

中村:へえ~! それは監督のスタイルなんですかね?

蒔田:そうですね。「子役には台本を渡さない」っていうスタイルでしたね。

澤本:じゃあ、『三度目の殺人』の時に、子役から脱出したってことなの?

蒔田:そうですね、感動しましたね。「彩珠、今回は台本いる?」みたいに言ってくれて。「あ、じゃあ……」って(笑)。

権八:あははは、面白いねえ。何で台本を渡さないんでしょうね? 是枝さんは子役に余計なことを考えさせたくないのかな?

蒔田:「覚えてきた台詞」を言うんじゃなくて、その場で相手に言われた言葉を受け取って、新鮮な気持ちで出てくる言葉にしてほしい、っていうのは言われたことがあります。

権八:なるほど~!

中村:でも、ご本人からすると、何の準備もできないからたまったもんじゃないんじゃない? そんなことはない?

蒔田:最初の連続ドラマが『ゴーイング マイ ホーム』だったので。それが普通だと思っていたので、逆にその後が大変でした。「あー、覚えていかなきゃいけないのか……」っていうのが。

権八:他の監督もそうだしね。なるほど~、まあ、そうだよね。ラクにはラクだよね(笑)。

蒔田:そうでしたね(笑)。

中村:演技をする時の、蒔田さんならではのコツとか、「私はこうやっている」みたいなポイントってあったりするんですか?

蒔田:「相手の台詞に気持ちが動くから、自分の台詞が出る」というのは、今でもすごく大事にしてますね。めちゃくちゃ(役を)つくり込んで来る人もいますけど、私はその時の相手のテンションとか、気持ちに合わせたお芝居をしたいな、と思ってますね。

中村:時間をかけて、頑張ってその人になりきる、というよりは、半分彩珠ちゃんのままなんだけど、その人でもある、という「ナマ感」みたいなことなんですかね?

蒔田:そうですね。「その時の気分」でやりたいな、ということは思っていますね。

中村:じゃあ、今は台本をもらっても、あんまり読み込み過ぎないようにしよう、とか。

蒔田:もう、ただ覚えるだけですね。

権八:へえ~!すごい。相手がいない芝居……。は、あんまりないか。

蒔田:あんまりないですね。でも、そういう時は逆にやりにくいですね。一人で気持ちが動いて、みたいなシーンは難しいですね。

権八:そうですね、なるほど……。合気道じゃないけど、相手の何かに乗っかって、と。でも、その方がたしかに自然というか。

蒔田:はい。新鮮な気持ちでできますね。

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