水道工事会社から生まれた「スーツに見える作業着」
──スーツに見える作業着ブランド、ワークウェアスーツ(WWS)が好調と聞きました。開発の背景を改めて教えてください。
オアシスライフスタイルグループはもともと、水道工事会社として誕生した会社です。アパレル事業の経験も、服づくりの経験も、もちろんありません。そんな会社でスーツをつくるきっかけになったのは、水道工事会社が属する建設業界へのマイナスイメージを払拭したいという思いでした。
ワークウェアスーツ(以下WWS)は、「スーツに見える作業着」として2016年に開発・誕生しています。その当時というと、震災復興や、東京五輪前でホテル建設もラッシュ。当社が属する設備・建設業界では人手不足や、若年層の就労者不足が課題になっていました。もちろん当社も例外ではなく、いかに若手社員を採用するかが課題だったわけです。
そこで目をつけたのが作業着、いわゆる働く際の“ユニフォーム”です。若手社員の中には、「作業着で出勤するのは恥ずかしい」「仕事帰りに出かける際は作業着を着替えなければならない」など、作業着に良いイメージを持っていない人もいました。そんなネガティブな印象を一新し、若手の採用に繋げるために、“新しい作業着”をつくるという目的で始まったのがWWSのプロジェクトです。
若手社員が働きたくなる作業着の形として、1人の女性社員が「スーツ」という案を挙げて……。それをきっかけに、“仕事終わりにそのままデートに行けるような服装”という観点にシフトし、「スーツに見える作業着」のアイデアにたどり着きました。
WWSは、「スーツに見える作業着」です。毎日ガシガシ洗濯可能ですし、すぐ乾く。なおかつ軽量で、水や汚れ、傷にも強い。まさに作業着。水道工事会社の私たちだからこそ、完成した製品だと自信を持って言えます。
──商品化をする予定ではなかったということでしょうか。
おっしゃる通りです。ここまで伝えてきたように、WWSは自社の採用課題を解決するべく誕生した商品。最初から商品化を検討していたわけではありません。ヒットを狙って開発したわけでもなく、世の中にないものをつくろうという情熱と想いがあってつくり上げてきました。
そんな中で製品化するきっかけになったのは、以前からお取引のあった企業さまからの発注の相談。そのような声もあり、最初は法人向けの完全受注生産でスタートしましたね。その後、2018年3月に個人向けとしてECサイトを開設。モールにも出店したという経緯です。今では累計で28万着、お取引先の法人さまは業界を問わず2000社を超えています。
競合の参入相次ぐも、認知獲得の追い風になった
──最初にヒットしたのはいつだったのでしょうか。その時の要因も併せて教えてください。
実は最初にバズったのは、やや炎上に近い形だったんです。何度も話しているように、WWSのコンセプトは「スーツに見える作業着」。スーツでもなく、作業着でもない、という今までにない商品特性が賛否両論を呼びおこしました。