人をワクワクさせるアイデアで溢れた国!韓国で見つけたアイデアから学ぶお店づくり②

「韓国トレンド研究室」、第5回目の後編です。前編に引き続き、「韓国の街に溢れるクリエイティブ」について解説していきます。

工場みたいなベーグル屋!「Knicker bocker」

こちらは聖水(ソンス)にある2階建てのベーグル店で、内装が工場みたいになっています。注文カウンターの真上にレールがあり、レールは上の階に続いており、店員さんが下の階でレールにドリンクやベーグルを吊るして、上の階に届ける様子も見ることができます。

写真 実際の店内の様子。

写真 実際の店内の様子。

実際の店内の様子。

少し前から韓国ではベーグルがとても人気で、新しい店舗も増えており、こちらは多数の店舗の中でも体験によって差別化に成功している例と言えます。

365日雨が降るカフェ?「rainreport」

「rainreport」は「365日雨が降る」というコンセプトのカフェです。実際にこのお店では人工の雨がずっと降り続けているのです。

さらに、コーヒーの重さが、晴れ・雨・曇り・台風・雷雨……と天気で表現されていたり、他のドリンクも天気をモチーフにした名前が付けられていたりします。

写真 コーヒーの重さが、晴れ・雨・曇り・台風・雷雨……と天気で表現

天気が悪くなればなるほど味が重くなります。

ロボットが提供してくれるカフェ「Better than yours」

無人カフェ「Better than yours」では、ロボットがすべて調理してくれます。メニューはドリンクとソフトクリームのみなのですが、実際にロボットがつくっている様子もパーテーション越しに見ることができ、できあがったらロボットから直接受け取る仕組みです。

写真 ロボットが調理している店内の様子。

ロボットが調理している店内の様子。

限られたスペースのスタンドカウンターで、少ないメニューでお店を運営することは、特に都市など土地が余っていないところではよくありますが、そういった制約がある中でも、「体験時間の短さに限らずリッチな体験ができる」例です。

2. 実例から分析するお店づくりのポイント

この章では、第1章でご紹介したお店を分析してわかった、お店づくりのポイントをご紹介します!

コンセプトが体験、メニュー、アートワークetc…で、すべて統一されていること

例えば、NUDAKEの「ユニークでアーティスティックなメニュー×美術館のような注文」、rainreportの「雨が降る店内×ドリンク名が天気になっている」、など、内装のコンセプトだけでなく注文方法や体験、メニューなど、すべてが統一されていることで一気に世界観が醸成されます。

お店の内容とコンセプトは関係がないほど新しくなる

ベーグル屋さんのコンセプトが工場、カフェのコンセプトが雨……など掛け合わせるもの同士が意外と離れている方が良いなというのは新たな気付きでした。

アイデアの掛け算は近いところ(相性がいいところ)でしがちですが、斬新でまったく新しい体験は遠ければ遠いほど生まれやすいようです。

コンセプトに関係のないものは削ぎ落とす!

例えば「rainreport」では、ドリンクメニューが天気になっているのですが、フードメニューのイチオシは雨や天気とはまったく関係がない、韓国で人気の「リボン型クロワッサン」でした。

コンセプトを立たせてお店をつくる時は、コンセプトに関係のないものは削ぎ落としてしまったほうがコンセプトがしっかり際立ちちます。SNSなどの口コミで話題化していくのが今の時代のお店の広がり方ですが、コンセプトの輪郭がぼやけていると一言で説明しづらく魅力が伝わりづらくなってしまいます。

細部のこだわりがひとつあるだけでも、体験価値は飛躍的に上がる!

例えば「BOING」で、座席の上に酸素マスクがあったり、トイレまでの通路が機内風になっていたりと、細部の「飛行機らしさ」を感じるたびに、それに比例してワクワク感が高まりました。

ぱっと見でお店に入った瞬間に気付くものだけでなく、じっくりその場で時間を過ごしている間に「ここもだ!」と気付けるほうが間違いなく体験価値が高まります。

どんな映像・写真を撮られるか考えるまでが企画!

無人ロボットカフェ「Better than yours」の紹介で写真を載せましたが、パーテーションに表の道の通行人が写ってしまうため、ロボットの様子が上手く撮れません。

これだと拡散されるUGCが生まれづらいため、来店者がどんな映像や写真を撮るかまで予想して設計するのが企画だなと思いました。

3. まとめ

今回は、韓国のお店の体験やコンセプトなどのアイデアを分析しました。ここまで読んでくれた皆さま、ありがとうございます!

「行ってみたい」と思う感情の引き金は、可愛い・面白い・おしゃれ・他にない・映える……など、さまざまあります。どんな体験設計でどんな感情の引き金が引けるのか、それらを考えながら多様な体験をつくっていきたいと思います!


さて、次回のコラムのテーマは「なぜ人々は韓国ドラマに魅了されるのか」です!

日本でも、大熱狂を巻き起こす韓国ドラマ、なぜこんなにも人気なのかを分析していきます。次回もぜひお楽しみいただけると嬉しいです!

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佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)
佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

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