韓国のフォトアイデアから学ぶ、UGCの増やし方②

「韓国トレンド研究室」、第7回目の後編です!後編では「韓国の写真事情」の中でも、韓国プリクラについてお話しします。

2. コンセプトプリクラ

第2章では、たくさんのコンセプトが生まれている「韓国プリクラ」をご紹介します。

日本にもプリクラの機種はたくさんありますが、基本的に、フレームやメイク、加工の種類が違うといった感じで、どの機種もベースは同じです。一方で、韓国はまったく違う画が撮れるコンセプトがたくさんあります。

機種ごとに大きな差がないと、プリクラのユーザーは分散してしまいます。

逆に、各機種のコンセプトが立っていると、人気のコンセプトに人々が集中するため、プリクラを手掛ける企業にとって、「独自のコンセプト」を開発することは重要事項です。

ということで、激しい競争の中で生まれたたくさんのユニークなアイデアをご紹介します。

新聞プリクラ

プリクラといえば、プリントシール紙に印刷されるのがデフォルトですが、新聞プリクラでは、撮った写真が英国新聞のようなレトロな新聞紙に印刷されます。

ブース自体はホリゾント(無機質な抽象空間)で通常と変わらないですが、印刷紙がユニークになっています。

アクアプリクラ

アクアプリクラは、私が知っている限り一番新しいプリクラです。

カメラの前に水槽があり、その中には生きた魚が入っています。水槽越しに自分が写り、手前のレイヤーに魚がいる、なんとも新しいコンセプトのプリクラが撮影できます。

水槽越しなのでフィルターを通したようなエモい雰囲気になります。

また昨今では、顔をカップなどの物やスマホなどで隠したりと、あまり顔をしっかりと映さない撮り方が人気ですが、このプリクラは水槽越しのため、はっきりと顔が映らないという点でもトレンドとマッチしています(※動物愛護の観点から良いとは言いづらい事例ですが、アイデアとしては斬新だと思いご紹介しています)。

レトロフィルムプリクラ

日本でもレトロなフィルムカメラは人気の定番ですが、韓国にもレトロ調のプリクラがあります。

このプリクラ、面白いのが「レトロ風」なのではなく、本当に1960年代の機材を使用しているところ。細部へのこだわりが面白い一例です。

ハートプリクラ

こちらはプリ機の指示通りにポーズを撮ると、ハートが出来上がるプリクラです。ハートがよりわかりやすいように、カラーのアームウォーマーを貸してもらえます。

カラーを推しのメンバーカラーにしたり、さまざまな楽しみ方ができます。

飛行機プリクラ

飛行機のトイレで俯瞰ショットが撮影できるプリクラです。プリクラではめずらしく、かなり遠い距離で撮影されます。

ホリゾントが主流のプリクラで、本格的につくり込まれた美術がある点で、このプリクラはかなりユニークです。

人気の鏡越し写真をプリクラでも取り入れています。また、アクアプリクラと同様に顔がはっきりと映らないという点も人気の要因だと考えられます。

エレベータープリクラ

新大久保にも上陸し、3時間以上の行列になるほど人気なエレベータープリクラ。

名前の通り、エレベーター内にいる様子を俯瞰で撮られたような写真になります。エレベーターの鏡で前髪を整えているような写真など、俯瞰だからこそポーズの幅が効きます。

そのため、エレベータープリで撮る人がたくさんいても、ポーズで差別化できるので、たくさんの撮り方が生まれ、ユーザーの投稿によってどんどんと雪だるま式に認知されていきます。

ランドリープリクラ

これは、洗濯機の内側からの視点で撮れるプリクラです。美術自体も映えますし、画角にも新しさがあります。

コンセプトをどこかしらの場所にするだけでなく、洗濯機の「内側」などと、カメラの視点の位置を工夫することで、さらにユニークな写真を撮ることができます。

場所×アングルで、よりたくさんのプリクラが生まれていきそうです。

その他にも、電車・トイレ・テニスコートなど、本当にたくさんのコンセプトが生まれ続けています。

・電車

・トイレ

・テニスコート

以上、韓国でたくさんのコンセプトがある中で、特に人気のコンセプトをご紹介しました。

プリクラのように、ある程度世の中の共通認識があるものは、シール紙を変える、空間を変える、画角を変える…など、どこかひとつを「ズラす」ことで、まったく新しいものが生まれることがわかります。

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佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)
佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

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