村田俊平君ありがとう
アメリカの禁酒法がカクテルという文化を育てたように、広告表現の「制約」が映像のアイデアを生み出す。昨年11月のアドタイに掲載された村田俊平君のコラム「動画広告の宿命『3つの制約』をストーリーテリングでブレイクする」を読んで、膝を打ちました。コピーも、まったく同じ。ボディコピーは、まさにその通り。知らない仲でもないので、ご本人には追っかけお許しをいただくとして、いささかの遠慮もなく、恥も外聞も捨て去って、若き才能のメッセージに乗っかる形になりますが、少々、お目を拝借。
参考記事
文字数という「制約」
グラフィック広告が輝いていた時代。ボディコピーにはスペース、すなわち原稿の面積という物理的な事情からくる、文字数という「制約」がありました。コピーライターはアートディレクターのレイアウトから算出したボリュームの中で、どんな芸を見せようかと知恵を絞ったのです。ムダはないが、ゆとりはある。どうすればそんなコピーが書けるのかと。アートディレクターの中には、ボディコピーをグレースペースと呼んで、隅に追いやるようにレイアウトする人もいて、なんとか抗おうと気を吐いたものです。
コピーこそ見た目という「制約」
コピーは文字ですが、視覚的情報、ビジュアルでもあります。ラージフォントで組まれるキャッチフレーズにはその意識が働きますが、ボディコピーこそ、その気づきが大事。受け身でいる読み手を、前傾姿勢にさせる引力が必要なわけです。書き出しには驚きを。変換キーを押しすぎて、漢字だらけの小難しい顔つきにしてはいけない。改行の字切れは美しく。アートディレクター任せではなく、フォントにも口を出したいし、ハコ組みじゃなく頭揃えも試したいなどなど、好んで自らに課した、これも「制約」ですね。
「わかりやすさ」は正義じゃない
ボディコピーはビジュアルだと言いましたが、行間でもあります。すべてを書くのではなく、イメージを膨らませて欲しいところは、あえて文字にしない。読み手のイマジネーションをつつく。何度も読みたくなる、価値を感じる文章って、そういうものでしょう。「わかりやすさ」は大合唱されたフレーズですが、薄くて平べったい、イマジネーションをくすぐらないのはいただけません。「よくわかる」そして「グッとくる」じゃないのかな。人はアタマでは動かない。コピーはターゲットの行動変容が目的なのですから。
ボディコピーが負けた時代
「ボディコピーなんて誰も読まない」そんな声を聞くようになったのは、「検索窓」が出現した頃でした。グラフィックはサイトに誘因さえすればいいと。ではジャンプした先には何があったのか。たっぷり、こってりした文字列。言いたいことはほぼ全文格納されてはいるのですが、さて、読みたくなるのかなと。デジタルの急激な進化の陰で、伝統芸能とでも思われたのでしょうか。ボディコピーを鍛錬するチャンスは消滅していきました。そして、悩み多き書き手が彷徨っているのが、今なのではないでしょうか。
もういちどボディコピーを
ボディコピーの上達には、あらゆる文章がお手本、テキストになります。なぜいいのか、どうしてそうではないのかを考えて読み解けば、書く力に変わる。言い換えれば、ボディコピーのテクニックは、広範囲の文章作成に応用できるのです。ステートメントやブランドブックなど広告界隈はもちろん、コミュニケーションのための文章やスピーチのほぼすべて。たくさんの、曖昧なことばが飛び交う今。このノイジーな時代環境こそ、言葉の塊をきらりと光るものに磨き上げるには絶好の「制約」かもしれません。
ボディコピーコースのボディコピー解説
若い頃のリアルな自分の苦悩を、そのまま入口に。どう出口を見つけたかを、解決の糸口のひとつとして提示しました。「吐き出す」は体感を伴う字面かなと。プレゼンのくだりは、かつて上司からクライアントへの提案時に「前段の説明はいらない。ボディコピーを朗読しろ」と指示され、やってみると何を(What to say)どう(How to say)表現するか、戦略からトーンまですべて伝えられることに気づいた実体験から。腕、肩、アタマをいっしょにほぐしましょう。以上、それこそ身構えずに読める語り口で。

<コピーライター養成講座 ボディコピーコース 講座概要>
◯開講日:2025年2月18日(火)19:00~21:00
◯講義回数:全6回
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