人気Podcast「マユリカのうなげろりん!!」 プロデューサーに聞く リスナーを夢中にさせる仕掛けとは?

写真 人物 個人 神吉将也氏

ラジオ関西 神吉将也氏

「アドタイ読者」の皆さんは、「マユリカのうなげろりん!!」をご存知でしょうか?「マユリカのうなげろりん!!」とは、人気急上昇中のお笑いコンビ「マユリカ」がパーソナリティを務める、ラジオ関西発のオリジナルPodcast番組です。
 
番組は月間220万回以上再生され(※2025年1月)、国内の人気Podcastランキングでは通常、5位以内にランクインしており、全国にファンを広げています。この番組をきっかけに発売された“ビキニ写真集”は話題を呼び、重版を重ね、発行部数が7,500部を突破する事態になるほど。さらに番組イベントを開催すれば、そのチケットは先行抽選の段階で落選者が続出し、Xでは落選の声が相次ぐほどの入手困難の事態となりました。
 
著者自身も、昨年から知り合いからの口コミをきっかけに、番組を聞き始め、今では毎週末の配信を心待ちにするほどのリスナーになりました。
 
なぜ、「マユリカのうなげろりん!!」が人気コンテンツになったのか、その裏側に迫るべく、番組プロデューサーの神吉将也さんに取材しました。
 
※本記事は情報、メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムについて学びたい人たちのために、おもに学部レベルの教育を2年間にわたって行う教育組織である、東京大学大学院情報学環教育部の有志と『宣伝会議』編集部が連携して実施する「宣伝会議学生記者」企画によって制作されたものです。企画・取材・執筆をすべて教育部の学生が自ら行っています。
※本記事の企画・取材・執筆は教育部修了生の櫻井恵が、取材は佐藤良祐が担当しました。

番組の改編で放送頻度が激減…苦肉の策として生まれたPodcast

――「マユリカのうなげろりん!!」のリスナー属性について教えてください。

男女比で言うと4:6で、女性の割合が多く、年代で言うと20代から30代がボリュームゾーンになっています。下品なことばかり言っている番組なので、なぜ女性からも聴いていただけているのか不思議ですが、マユリカさんは吉本興業に所属し、大阪時代から劇場で活躍されてきた芸人さんなので、劇場の主な客層からの支持をまず受けたのだと思います。番組が始まった当時は、今よりも女性の割合が高かったのですが、最近は男性リスナーも増えている印象です。

――番組の開始から4年が経とうとしていますが、そもそもPodcastを始めようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

元々、僕はラジオ関西の地上波で「よしもと★のびしろアワー」という週1の番組のキャスティングを担当しました。4組の芸人さんがローテーションを組み、週替わりでパーソナリティを担当。その出演者の1組がマユリカさんでした。

番組は2020年から2年間続いたのですが、番組の改編とともに、放送の頻度が減少。マユリカさんの順番が回ってくるのが月1回から年4回になってしまいました。放送頻度が減ることについて、リスナーさんからはXで「あんなに面白いのに!」と嘆くコメントが寄せられました。特にマユリカさんのリスナーの方たちからは熱量の高いコメントが多く寄せられ、放送の頻度を下げてしまうと、マユリカさんがいずれは他局に奪われてしまうのでは?という危機感を抱きました。

そんな折、僕がデジタルの部署に異動になり、地上波には携われなくなりました。それでも二人の番組を続けたかったので、放送頻度が減少した地上波を補填する意味で「Podcastをやりませんか?」とオファー。結果として「マユリカのうなげろりん!!」が誕生しました。

――Podcastは今でこそいろんなコンテンツがあり、生活者にとって身近に感じるものになっていますが、番組が始まった当時は決してホットな媒体ではなかったですよね?

当時はニッポン放送さんが芸人さんのPodcastオリジナル番組を続々と開始した頃でしたが、業界的には「本当にPodcastのブームって来るの?」みたいな少し懐疑的な意見が多かったと感じていました。

僕が高校生の時に、TBSラジオさんがJUNKのPodcastを配信していて、その番組がきっかけで僕もラジオの世界にのめり込んだのですが、TBSさんも本格的なPodcast展開から撤退したような時期があり、ラジオ業界的にはマネタイズが難しいので、Podcastは難しいよねという認識になっていたのだと思います。

ただ、アメリカではPodcastが流行っているので、日本にもブームが来るのではないか?ということは言われていました。それでニッポン放送さんもPodcastに注力されたのだと思いますが、デジタル部署の僕的にはもはや手札がそれしかなかったので…上司に「Podcastのブームがきているから絶対やっておいたほうがいい」と、言いました。本当は僕がお笑い番組をやりたかっただけでしたが、最もらしい口実として、Podcastをうまく活用したんです(笑)。

――会社側としても前向きに受け入れてくださったのですか?

「前向きに」というほどではなかったです。ただ当初、ラジオ関西のお笑い番組縮小の背景にはスポンサー獲得がうまくいかなかったこともあり、赤字で続けられない事情がありました。なので、それを逆手にとって「番組のオリジナルグッズを販売し、そこで得た収益を制作費にあてる形で番組を配信します。Podcastは地上波と違って毎週配信する必要もないので、赤字にさえならなければいいですよね」と言い立ち上げました。

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