優れたダイレクトメール(DM)を顕彰する第39回全日本DM大賞(日本郵便主催)の各賞が3月13日に発表され、グランプリは恵比寿ワインマート(東京・渋谷)が選ばれた。「12人のバイヤーおすすめフェア」と称する案内DMと、元優良客の呼び戻しを図る「休眠DM」が評価された。制作者は両方ともガリバー。
2人のバイヤーおすすめのワインを紹介する「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DM
同社は実店舗とECを展開するワインショップ。2024年夏に実施した「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DMは、約1年間の累計購入金額が5万円を超えるEC顧客を対象に送付。EC×実店舗の相互利用を促すことによるLTV(顧客生涯価値)の向上が目的で、同社所属の12人のバイヤーおすすめのワインをコメントと合わせて紹介。その商品を実店舗とECの両方で購入できるフェアとした。
店舗のPOPやディスプレイは、DMのデザインやトーンとそろえ、統一感のあるフェアコーナーを作った。店頭ではDMに登場したバイヤーが接客し、バイヤーとワインの双方を引き立てることに注力した。ワインだけでなく、バイヤーのファンになる顧客が増え、商品購入にもつながったという。

抽選会の案内を掲載した「休眠DM」
二次元コードから抽選、クーポン入手、商品回遊、購入という流れを構築し、クーポンを手にした状態で商品を見て回ってもらうことで、購入意欲を高めることができた。ストレスのないスムーズな導線設計も奏功し、抽選参加率は56.6%、商品の購入率は11.7%を達成した。うちクーポンの利用率は36%で、長期間接触できていなかった優良顧客復活の足掛かりになったという。
そのほか、金賞はレザーファッションブランド「A LEATHER(エーレザー)」(制作者:シマダデザイン)、ガリバー(同ガリバー)、ロート製薬(同ダイレクトマーケティングゼロ)が受賞した。
グランプリを受賞した恵比寿ワインマートとガリバー
グランプリを受賞した恵比寿ワインマートは、同日開かれた贈賞式の壇上で「店舗の売りとも入れるバイヤーが協力してくれた」と振り返った。
審査委員長を務めた恩藏直人・早稲田大学 商学学術院教授は「今回は小粒という印象だった。これまでは大きな作品が多かったが今回はコンパクトな作品が多かった」と指摘。一方、「小粒だが非常に知恵や工夫が評価されている」と評価した。
本賞は、2023年4月1日から2024年9月30日までに制作され、発送されたDMが対象。応募された作品数は131点で、DM総数は676点に上る。「戦略性」「クリエイティブ」「実施効果」の3つの評価軸で24点の入賞作品が選ばれた。
