よーじや「ライフスタイルブランド」へ変革、有楽町マルイで限定ショップを展開

京都以外で初 チョコミントスイーツを提供

よーじやグループは7月3日まで、有楽町マルイにて期間限定ショップ「よーじやふらっと」を開催中。よーじやのチョコミントスイーツを、京都以外で初めて提供している。さらにハンドクリームなどのスキンケアアイテム、「あぶらとり紙 ラムネ」などの季節限定アイテムも展開中だ。

イメージ 商品 チョコミント好きの人々から毎年人気を博しているパフェ。「スースー!チョコミントパフェ」(1250円)

イメージ 商品 チョコミント好きの人々から毎年人気を博しているパフェ。「50倍スースー!チョコミントパフェ」(1350円、税込)。

チョコミント好きの人々から毎年人気を博しているパフェ。(左から)「スースー!チョコミントパフェ」(1250円)、「50倍スースー!チョコミントパフェ」(1350円、税込)。

イメージ 商品 よーじや「UVプロテクト ミルキーエッセンス」(日焼け止めクリーム)。

よーじや「UVプロテクト ミルキーエッセンス」(日焼け止めクリーム)。

イメージ 商品 季節限定の「ひんやりアイテム」や「あぶらとり紙 ラムネ」。

季節限定の「ひんやりアイテム」や「あぶらとり紙 ラムネ」。

「よーじや」は1904年に國枝商店として京都で創業。2025年3月、リブランディングを発表したことで、SNSでは賛否両論が集まり話題となった。現在はおなじみの「あぶらとり紙」だけでなくより幅広い商品を扱うライフスタイルブランドへと変革を進めている最中だ。

リブランディングにあたっては、新たにコーポレートロゴやブランドロゴをつくり、おなじみの「手鏡に映る女性」のマークは親しみやすさを重視してキャラクターという位置付けに変更。そこにはどのような意図や経緯があったのか。代表取締役の國枝昂氏に話を聞いた(以下は『ブレーン』2025年6月号からの転載記事です)。

コロナ下で売上が97%減に

京都土産の定番として知られる、よーじやのあぶらとり紙。その企画・販売をするよーじやグループの代表に2019年に就任したのが、國枝昂さんだ。先代の急病に伴ってのことだった。「就任以後の約5年間、一貫して推進してきたのが『脱・観光依存』の方針です。今回のリブランディングもその一環で実施しました」と説明する。

特にコロナ下での業績の低迷が大きな後押しとなった。「コロナ下で、酷い月では売上が97%減となりました。もちろんECも対応しており送料無料キャンペーンも行っていましたが、それでも通常の微増にとどまるという状況で。それを受けて、ほとんどのお客さまが“商品が必要だから”買っていたわけではないという事実が浮き彫りになったんです」。

その背景には、市場そのものの縮小もある。「あぶらとり紙の市場規模は、20年前をピークに、現在はその当時の4分の1以下になっています。その状況で従来のままに打ち出し続けても、一定のインバウンド需要はあるかもしれませんが、20~30年先の未来は見えません。ブランドとして続いていくためには、“あぶらとり紙屋”から脱却し、人々の日常に必要とされるブランドになる必要があると考えてきました」。

その方針のもと、商品ラインアップの変更や販路の拡大などの取り組みを進めてきた。しかしどうしても、「よじこ」という名前の“手鏡に映る女性”の印象が強く、「あぶらとり紙屋」のイメージが先行してしまう。一方で「よじこ」は、よーじやの成長を支えてきたブランドの資産でもある。そうしたジレンマを抱える中で、ARENCEのアートディレクター八木彩さんと青田剛さんに相談を持ちかけた。

ライフスタイルブランドへ刷新

2人はまず、従業員や顧客を含め綿密なヒアリングをし、経営課題の整理をしていった。「私たちがなぜ変わる必要があるのかを、何度もご説明しました。というのも『よーじや』は、京都以外の方々から見ると確固たるブランドがあるように見えても、地元の人から見れば『観光客向けのあぶらとり紙のブランド』として、日常に関係のないものになってしまっているためです。お土産需要に頼るだけでは、先細りであることが目に見えている。だからこそ、お土産としての価値も維持しつつ、京都の人々にも使っていただけるライフスタイルブランドとして変わっていく必要があるということをお伝えしました」。

國枝さんの思いを受け、ARENCEとコピーライターの蛭田瑞穂さんが、「みんなが喜ぶ京都にする」というコーポレートスローガンとステートメントを考案。それを元にビジョンやバリューなどを策定していった。「そんな中で新たにロゴもつくることにしました。というのも、これまではあらゆる顧客接点で『よじこ』を用いており、コーポレートロゴが存在しなかったのです。企業としては『みんなが喜ぶ京都にする』というスローガンを実現するために、業態にこだわらずあらゆる手段でアプローチしていきたいという思いがあるので、使い分けをすることにしました」。

イメージ ロゴ 従来のロゴ

イメージ ロゴ 新たに設定したブランドロゴ。

従来のロゴ(左)と、新たに設定したブランドロゴ。

さらに、従来の「よじこ」に加えて新キャラクターをつくる案をよーじや側が発案した。「従来の『よじこ』ももちろん大切にしていきたいのですが、今までのイメージでは入口戦略としては限界を感じていたためです。今後、より幅広い商品を扱うライフスタイルブランドを目指すうえで、鏡の中だけにおさまらない、自由で親しみのあるキャラクターの存在が必要だと考えました」。

そこで新たな「よじこ」のデザインを依頼したのが、「Suicaのペンギン」や「チーバくん」などを手がけたイラストレーターの坂崎千春さん。「私たちとしてこだわったのは、これまでの『よじこ』の面影を残しつつも、よりチャーミングにしてほしい、ということです」と國枝さん。ピンク色のワンピースを着た、全身姿のよじこが誕生した。

イメージ 今回生まれた新キャラクターの「よじこ」。イラストレーターの坂崎千春さんがデザインした。

今回生まれた新キャラクターの「よじこ」。イラストレーターの坂崎千春さんがデザインした。

新旧キャラクターは「共存させる」

2025年3月には、以上のロゴや新キャラクターを元に、新聞広告を出稿したほか、ブランドムービーを公開した。

イメージ 新聞広告 リブランディングのタイミングにあわせ、京都新聞に出稿した新聞広告。

リブランディングのタイミングにあわせ、京都新聞に出稿した新聞広告。

新生「よじこ」と、従来の「手鏡よじこ」(通称)は、今後も共存させていく考えだ。「抜本的に『よじこ』が変わってしまうということではありません。あぶらとり紙など長年愛されてきた商品は、基本的にそのまま継続します。ライフスタイルに関わる商品や、コーポレートとしての発信などで新たな『よじこ』を用いていく予定です」。

イメージ 商品 今後はライフスタイルブランドを目指すという「よーじや」。新商品も展開していく。

今後はライフスタイルブランドを目指すという「よーじや」。新商品も展開していく。

リブランディングの発表後、SNS上では「よじこ」が変わることを惜しむ声や、新たな「よじこ」に愛着を持つ声など、さまざまな意見が発せられた。それを受けて、國枝さんは次のように考えている。「まずキャラクターを抜本的に変えるということではない、という点がきちんと伝えられていなかったので、今後も継続的に説明していきたいと考えています。そのうえで、リブランディングにおける判断軸は、デザインそのものが受け入れられたから成功、もしくは失敗、ということではなく、そのうえで企業やブランドがどう変わるか、という点にあると思います。その観点では、まず世の中の方々に私たちの課題を知っていただけたことは非常に大きい。無関心状態から関心のある状態に変えることができた、ということです。大事なのは今後です。よーじやのこれまでの日本人の延べ購入数は年間60万人ほどなので、まだまだ国内市場では存在感が小さい。今後ブランドとして拡充させていくことで、京都の、日本の人にとっての“なじみの店”に変わっていきたいと考えています」(國枝さん)。

advertimes_endmark


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ