東京ゲームショウ2025 群馬県×ヤマダデンキなど地方自治体の出展相次ぐ理由

9月25日から28日にかけて幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2025。1136の企業、団体が出展した中には、地方自治体からの出展も多数見られた。ゲーム関連企業の誘致を目指すほか、関係人口の増加やまちづくりにゲームを活用する動きも盛んになる中、新潟や熊本、静岡、群馬など各地の動きを追った。

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会場の幕張メッセの外に設置された東京ゲームショウ2025のモニュメント。

新潟市:IT・工学系の人材育成に注力、ゲーム関連企業の誘致へ

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2023年から新潟市に拠点を開設したOGIX、新潟県DXプラットフォームにおける、DX体験ゲームや新潟県教育委員会向けのプログラミング体験教室ゲームを開発している。

新潟市はゲーム企業の誘致を目的に、ゲーミフィケーション事業を基幹事業とするOGIXと共同でブースを出展。ブース内では「NIIGATA XR プロジェクト」のほか、JR新潟駅で約60年ぶりのリニューアルと共に進められているデジタルツインを活用したまちづくり事業「にいがた2km」などといったゲーム関連の取り組みを紹介した。

新潟市 経済部 企業誘致課主査の阿部隼人氏によれば、新潟市はIT・工学系人材を毎年1000人以上輩出しており、人材を育成する学校数も人口10万人あたり57校と政令市では2番目に多い。

「出身都道府県での就職希望割合も53.2%と高いため、ゲーム関連企業の誘致につなげることができれば」と期待を寄せている。

熊本県:北部のTSMC誘致を意識、県南地域の活性化へ

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人吉・球磨地域による『あさぎりクエスト 霧の里の秘宝』の紹介ブース。

熊本県もゲーム関連企業の誘致を目的として県南の3つの地域を紹介するブースを出展した。

ブースにコーナーを設けたのは八代市や天草市、人吉・球磨地域。熊本県商工労働部 産業振興局の開田章斗氏は県南地域としての出展理由について、「熊本県には2024年にTSMCの工場が開所したが、工場の所在地は県北の地域。ゲームやIT関連企業を誘致することで県南地域の振興につなげることが出展の目的」と説明する。

八代市は、市を拠点に紹介するIT企業ファクトリーが制作したゲームを紹介。天草市では、市に拠点を置く企業がプログラミングを生徒に教える取り組みを紹介し、その一環として学生が制作したゲームを展示した。

人吉・球磨地域からはあさぎり町のゲームを地方創生に活用した取り組みを出展。2025年2月にリリースしたスマートフォン向けRPG『あさぎりクエスト 霧の里の秘宝』を紹介した。豪雨被害・コロナ禍を経て減少した観光客へのPRにもつなげたいとしている。

写真 『あさぎりクエスト 霧の里の秘宝』の紹介ブース

『あさぎりクエスト 霧の里の秘宝』の紹介ブース。シナリオやキャラクターデザインはあさぎり町の職員が一人で作成し、登場するモンスターは町内の小中学生から募集した。

また、県南地域同様にゲーム関連企業の誘致を目的としていたが、県南地域ではないなどの理由もあって熊本市は単独でブースを出展していた。

静岡市:「クリエイターにちょうどいい、相当いい静岡」

写真 静岡市のブース

「クリエイターにちょうどいい、相当いい静岡」をコピーに掲げた静岡市のブース。交通アクセスの良さや人材育成環境をアピールした。

静岡市はデジタルエンターテインメント企業の誘致を目的として、専門メディアの『CGWORLD』と共に出展。ビジネス慣行の利便性やデジタル人材の豊富さをアピールした。

静岡市 産業基盤強化本部の大池駿介氏は「政令市でもっとも人口が少ない静岡市は若年層の人口流出が課題。若年層が仕事に就きたくなるような企業を誘致し、人口流出を食い止めたい」と語る。

群馬県×ヤマダデンキは一般ブースに出展、eスポーツなど強化

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全国の自治体で唯一「eスポーツ」と名のつく専門部署「eスポーツ・クリエイティブ推進課(当初はeスポーツ・新コンテンツ創出課)」を持つ群馬県のブース。

群馬県は高崎市に本社を置くヤマダデンキと共に一般ブースに出展。「U19 eスポーツ選手権」や「全日本eスポーツ実況王決定戦」といったeスポーツを通じた地方創生の取り組みを紹介した。

群馬県 産業経済部 戦略セールス局 eスポーツ・クリエイティブ推進課の戸部和也氏は、eスポーツのますますの盛り上がりに期待を寄せる。「現在展開しているeスポーツリーグを高校野球にとっての甲子園のような存在にしていきたい。そのための認知度を高めるために一般ブースに出展しました」と語る。

共同出展したヤマダデンキは、本社を群馬県高崎市に構える。群馬県を盛り立てることを目的に制作された、群馬の名所を舞台にしたドローンゲームや上毛かるたのWebゲームを紹介した。

横須賀市:「メタバースヨコスカ」で人口流出に歯止めを

写真 横須賀市のブース

横須賀市のブースでは、2025年7月に「メタバースヨコスカ」プロジェクトの一環として開発した、メタバース空間で着用できる「オリジナル3Dスカジャン」を無料で配布。

横須賀市は観光地をメタバースで再現した「メタバースヨコスカ」を展示。観光課が企画した本プロジェクトは、横須賀市の関係人口を増やすことを目的として始動したという。

横須賀市観光課の担当者は「横須賀は人口流出が多いことが課題。横須賀を訪れる回数が多い人ほど定住につながりやすいというデータがあるため、横須賀を訪れる人口を増やしたかった。まずは横須賀市を知ってもらうことで、観光で訪れてもらうきっかけづくりとした」と制作意図を説明する。

このほかにも、市内の市立高校にゲーミングパソコンを配布するなど、市内のIT人材育成に力を入れていることもブースで紹介した。

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