渋谷のZ世代はノンアル・ローアル志向?「スマドリ」認知率5割、今後の展望は

「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」は10月3日、MZ世代(20歳~39歳)を対象とした全国飲酒意識調査の結果を発表。調査結果をもとにしたトークセッションを、SUMADORI-BAR SHIBUYAにて開催した。

想定以上のスピードで広がった“スマドリ”文化

同プロジェクトは、アサヒビールと電通デジタルの合弁会社であるスマドリと、渋谷区の外郭団体・渋谷未来デザインが中核となって推進するもの。2022年の発足以来、企業や大学、団体と連携しながら、飲み方の多様性を尊重し合える社会の実現と、社会課題解決への貢献に取り組んできた。

「スマドリ(スマートドリンキング)」はアサヒビールが2020年12月に提唱したコンセプトで、お酒を飲む人も飲まない人も、体質や気分に合わせた多様な飲み方を尊重するという考え方だ。同社によると、「スマドリ」の認知率は2024年時点で50%を突破している。

スマドリ社の取締役CMO・元田済氏は、渋谷での取り組みについて「想定よりも早いスピードで浸透している」と振り返る。2024年10月1日の路上飲酒禁止条例改正の影響もあり、夜の渋谷の空気感が大きく変化していると手応えを語った。

調査が示す「無理しない飲み方」へのシフト

調査では、全国的に「無理して飲まなくてもよい」という考えが浸透していることが明らかになった。「お酒は無理して飲むものではないと思う」と答えた人は全国平均で69.6%に達した。

また「積極的にノンアルコール・低アルコール飲料を選んでいる」と答えた人の割合は全国平均33.7%に対し、渋谷では45.6%と高かった。「職場・プライベートに限らず、飲み会はできるだけ参加している」という傾向も見られ、飲酒の有無にかかわらず「人とのつながり」を重視する姿勢が広がっている。

渋谷区の長谷部健区長は「飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる“スマートな場”が増えていることは、行政としても歓迎している」と語り、民間主導のムーブメントが社会を変えつつあると強調。渋谷未来デザイン 理事・事務局長の長田新子氏も「多様な仲間とともに、誰もが安心して自分らしく楽しめる新しいドリンキングカルチャーを社会に根づかせていきたい」と、街全体での取り組みの重要性を指摘した。

Z世代が抱える“孤独”と“気疲れ” 飲み会の新たな課題

後半のトークセッションでは、若者のリアルな声が共有された。SNSでつながっていても「本当のつながりが感じにくい」といった孤独感や、「飲まない人に気を遣って誘いづらい」という本音が明らかになった。「飲めないことで飲み会に参加しづらい」「飲まない人をどう誘えばいいか迷う」といった声からは、飲酒をめぐるコミュニケーションが依然として課題を抱えていることがうかがえる。

一方で、若者の行動も変化している。ある学生は「学校以外でも会う機会をつくり、関係を深めるようにしている」と話し、リアルな場での接点を重視する姿勢が見られた。また、社会人の飲み会においても「ソフトドリンクを注文する人が増え、場の空気も変わってきた」との声があり、若年層の行動変化が“大人世代”にも波及していることが分かった。

写真 人物 (前列左から)SHIBUYA109 lab. 所長 長田麻衣氏、スマドリ 取締役CMO 元田済氏、渋谷区長 長谷部健氏、渋谷未来デザイン 理事・事務局長 長田新子氏。トークセッションでは大学生と若手社会人(後列3名)も参加し、飲酒に関する「ホンネ」を語り合った。

(前列左から)SHIBUYA109 lab. 所長 長田麻衣氏、スマドリ 取締役CMO 元田済氏、渋谷区長 長谷部健氏、渋谷未来デザイン 理事・事務局長 長田新子氏。トークセッションでは大学生と若手社会人(後列3名)も参加し、飲酒に関する「ホンネ」を語り合った。

共創で広がる「スマドリ」 次の一手は新商品・新サービス開発へ

スマドリ社はこれまでも、味の素との「適正塩分・適正飲酒」啓発企画や、トヨタモビリティ東京との協業による「Ariake Miraie CAFE」オープンなど、異業種とのコラボレーションを進めてきた。元田氏は「今回の調査結果も踏まえ、今後はさらなる商品・サービス開発に活かしていきたい」と今後の展望を語った。

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