広告制作5団体が新版「広告制作プロセスマネジメントハンドブック」を発行

10月1日、日本アドバタイザーズ協会(JAA)、日本広告業協会(JAAA)、日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)、日本広告制作協会(OAC)、Interactive Communication Experts (I.C.E.)の5団体は、「持続可能なパートナーシップ構築のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック【2025年度版】」を発行した。

イメージ 「持続可能なパートナーシップ構築のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック【2025年度版】」

このハンドブックは、5団体による合意に基づき制作されたもの。2018年9月に発行された「新しい働き方のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック」の内容を、現在の広告制作業界が直面している以下のテーマに対応するために大幅にリニューアルした。

今回テーマとして掲げたことの一つが、広告のデジタル化に伴う制作業務の多様化だ。現在、日本の総広告費7.6兆円(2024年)の47.6%にあたる3.6兆円をインターネット広告費が占めている。この急速な拡大の背景には、新たな消費者へのコミュニケーションの手段や手法が増え続けていることも挙げられる。一方で、制作の現場はそうした新領域への対応を常に求められ続けている。加えて、インターネットメディアには即応性が求められることから、そこにはさらなるスピードアップへの要求も重なっており、結果として制作業務の過密化が生じている。そこで今回からは、前回のハンドブックに参画した各団体に加え、デジタル領域を中心にコミュニケーションデザインを行うプロダクションやエージェンシーの業界団体である Interactive Communication Experts(I.C.E.)も参加している。

掲げたもう一つのテーマは、「仕事を請け負う受注者の保護」を強化する流れへの対応だ。2024年11月に「フリーランス新法」が導入、2026年1月には下請法の改正で「取適法」に変わるなど法的な整備が進む中、広告主から広告会社、制作会社へと流れていくバリューチェーンにおいて適正な受発注を行っていくためには、これまで以上にプロセスを明確化していくこと。そして旧態依然としていた従来からの受発注慣習を、時代に合わせて改めていくことが求められている。

上記のテーマに加えて、5団体がさらに見据えているのは、広告制作業務による温室効果ガス抑制など「地球環境負荷への取り組み」への着手だ。ヨーロッパを中心に海外では、「Ad Net Zero」(英広告業界3団体が主導し、広告の開発、制作、運用による温室効果ガス排出量を実質ゼロに削減し、広告業務の運用方法に実際的な変更を加えることを約束する業界全体の取り組み)の活動など具現化しつつある。この問題の解決を図るためには、相応の労力やコストを割く必要があることを、広告制作に携わるすべての人が理解し、実行に移していくことが求められている。

このような状況を踏まえ、今回「持続可能なパートナーシップ構築のための広告制作プロセスマネジメントハンドブック」として、大きなリニューアルを図っている。

また、今回のハンドブックでは、新たな取り組みとして、参加5団体の合意に基づく「広告制作ガイドライン」を掲載。このガイドラインには、広告制作におけるより公正かつ透明な取引環境の整備、制作現場における労働環境をより魅力的なものにするための改善、制作プロセスにおける温室効果ガスの抑制など、今後の広告制作業界の持続的な発展を可能にするための指針が示されている。

このハンドブックは各団体の公式サイトからPDFでダウンロードすることができる。

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