インターネット広告の取引基盤を提供する新会社「プラットフォーム・ワン」が4月1日、営業を開始する。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)の完全子会社で、同社の徳久昭彦・取締役最高技術責任者(CTO)兼e―ビジネス本部長が社長に就く。1回の広告表示ごとに約0.05秒で入札・応札する「リアルタイム・ビッディング」(RTB)システムを目玉に、ネット広告市場の拡大に挑む同社の展望を、徳久新社長に聞いた。
DAC新子会社、高速入札・応札の取引基盤提供
新会社の主幹事業は、インターネット広告の取引基盤(プラットフォーム)を提供することだ。広告主・広告会社向けと媒体社向けの2つをDACから移管し、利用料や広告収入配分を収益源とする。スタッフは双方の営業とシステムの担当者を出向させる。役員含めて25人ほどの体制となる。3年後をめどに年間売上高50億円程度に成長させたい。
本来、広告主と媒体社は異なるニーズを抱いている。アドネットワーク単体では、それを満たせていない。広告主は出稿料が最適な金額なのか、自社の顧客となりうる閲覧者に広告が届いているのか判断したいはずだ。一方、媒体社は運営するWebサイトへの広告出稿の最大化を図りたい。だからこそ、それぞれに適したプラットフォームが必要となる。
2種のアドネットワークを効果的に連動させる仕組みとして、インターネット上で入札・応札を行い、1表示ごとの広告枠を取り引きする「リアルタイム・ビッディング」を4月に試験導入し、6月から本格稼働させる予定だ。RTBは、欧米では主要なオンライン取引サービスで活用されている。当社が提供するのは、ユーザーが訪れたサイトへ広告を1回表示するごとに、約0.05秒で最高値を提示したアドネットワークを判別し、広告を配信するというもの。インターネット広告市場に、柔軟な需給バランスを導入することで、ネット広告の単価が、より最適な価格となるよう、努めたい。
ネット広告の手法に変化
提案やサービスがきめ細やかに
市場原理がネット広告に導入されることで、従来の方法、考え方も変わっていくだろう。広告主、広告会社にとっては、決められた表示回数に対して、広告料金を支払うのではなく、その時々に応じて、最適な金額で広告を出稿できるようになる。一方、提示金額があまりに安価だと、広告が表示されないことになり、短期的なキャンペーンであれば、時機を逸してしまうかもしれない。そのため、広告会社やアドネットワーク側は、最適な金額を提案したり、従来以上に決め細やかな広告表示レポートを提出したりと、サービスの徹底が必要になるだろう。
この仕組みには、他社の参入や協力を歓迎している。そうすれば、よりインターネット広告市場の規模が広がっていくはずだ。
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