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新しいPB時代の幕開け――「販促会議11月号」より

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発売中の『販促会議』11月号から、パッケージデザイン会社アイ・コーポレーションの小川亮氏が選んだパッケージについて、その良さを解説してもらうコラムの連載が始まりました。

ここでは、11月号に掲載している第1回のコラム全文を掲載します。

文:アイ・コーポレーション 代表取締役 小川亮

事例:セブン-イレブン・ジャパン プライベートブランド(PB)パッケージ

数年前に日本のPBとロンドンのPBの比較調査を行ったことがある。結果は歴然で日本のパッケージデザインの評価は圧倒的な差でイギリスのPBに負けていた。「日本のPBデザインは欧米をお手本にして、どうしてもっと洗練されないのだろう」。こう考えていたのは私だけでなく、実はPB開発にかかわる人達と話をしてみると多くの人が同じ思いを持っていた。 

従来の日本のPBデザインはナショナルブランド(NB)そっくりに作り、価格は安くするという戦術が主流だったが、この戦術は過去のものになりつつある。

セブン-イレブンの店頭に、新しいPBのパッケージデザインが並びはじめた。佐藤可士和氏ディレクションのこのパッケージデザインは、高いデザイン品質を実現している。奥行きを感じさせる写真を全面に使い、白を基調とすることで清潔感と新鮮さを実現し、文字量も少なくすることで、シンプルで品のいいデザインに仕上がっている。

そもそもPBのデザインには、「横の一貫性」と「縦の一貫性」の両方が求められるという固有の難しさがある。

横の一貫性とは、牛乳、お菓子、スープ、生活雑貨など、複数の異なるカテゴリーの商品であるにも関わらず、同じトーンのデザインを実現するということであるが、様々なカテゴリーにまたがるPBデザインの制作において、この実現は非常に難しい。

なぜならば、パッケージデザインには本来それぞれのカテゴリーに独特の“それらしさ”が存在し、横の一貫性を実現しながら、この“らしさ”も考慮しなければならないからである。牛乳なら、白・青・緑を使ったパッケージデザインが、ビールなら、青やシルバーを使ったデザインが冷涼感を伝え、“らしさ”を感じさせるが、「横の一貫性」が必要なPBデザインにおいては、各カテゴリーで使用する色を頻繁に変えることは難しい。使用する色を頻繁に変えてしまうと、横の一貫性がなくなってしまうからだ。

従来のNBそっくりに作り、価格は安くするという戦術は過去のものに
なりつつある

今回のセブンプレミアムは、白を基調とし、写真をうまく使うことで、各カテゴリーの“らしさ”を損なわず、「横の一貫性」を見事に実現している。

縦の一貫性とは、ストアブランドとの統一である。店舗やテレビCM、店員の制服や表情など、セブン-イレブンとの接点で消費者が受けるイメージとパッケージデザインには共通のイメージがなければならない。そういった点では、今回のパッケージデザインは、従来のセブン-イレブンの元気なイメージからは、やや洗練されすぎている感じもするが、逆に言えばこの新しいパッケージデザインが、今後のセブンイレブンのブランドイメージを引っ張っていくことになるのだろう。

PBデザインは、発売から数年が経つと品数が増え、デザインのコントロールに携わる人も増え、デザイン方針や管理体制がぶれ始めることがよくある。このパッケージデザインが、数年後も同じデザイン品質を維持できるのか今後の課題や発展にも注目したいパッケージデザインである。

小川亮(おがわ・まこと)
慶應義塾大学卒業後、キッコーマンに入社、宣伝部、販促企画部、市場調査部に勤務。同社退社後、慶應義塾大学大学院ビジネススクールにてMBA取得。現在、パッケージデザイン会社、アイ・コーポレーション代表取締役。飲料、食品、化粧品などの商品企画やパッケージデザインを多数手掛ける。
販促会議2011年11月号
月刊『販促会議』2011年11月号
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