ツイッターに続き、フェイスブック元年と言われた2011年、多くの企業が活用を開始した。しかしキャンペーン・トレンド的な要素が強く、企業として全面的に取り組む姿勢はまだ見えにくい。かつてウェブサイトがそうだったように、今後ソーシャルメディアは企業活動において必須のものとなる。企業は情報を発信する際にはもちろん、たとえ自社がアカウントを持っていなくても生活者の声を聴くために、ソーシャルメディアに取り組まなくてはいけない時代が来るのだ。その時に、企業は何に注力すればよいのか?「広報会議」編集部では、それを“インナーコミュニケーション”と考えている。
ソーシャルメディアによって、企業は生活者に一方的に発信するのではなく、対等に近い関係となったのは自明のこと。そこでは従来のメディアリレーションとは異なるコミュニケーション力が求められる。いくらメディアリレーションに卓越した企業であっても、ソーシャルメディアも上手くいくとは限らないのだ。企業はソーシャルメディアならではのリテラシーを理解し、生活者とのコミュニケーション力を高める必要がある。もしくは、そういう人材を育てていかなければいけない。
ソーシャルメディアの浸透によって、企業は見えるようで見えなかった“曇りガラス”を“透明なガラス”に取り換えざるを得なくなっている。企業がアカウントを持っていなくても、いまは社員の多くが自らのアカウントで発信しているからだ。また各部署からの発信もあり、ガイドラインや研修を実施する企業も増えているが、発信し始めたものはもう止められない。そして、そこから出ていく情報も止められない。その時、広報部門が何をするべきかといえば、社員一人ひとりが自社のブランドや理念に沿って、正しい情報を発信し、なおかつ生活者と対話し、コミュニケートできるようにすること。つまりインナーコミュニケーションを強化することに他ならないのだ。
すでに実施している企業もあるが、近い将来、社員全員が発信者になることも考えられる。社員は、企業への共感や理解を高める最強の広報パーソン。それをまとめ、牽引していくのが、これからの広報部門が果たすべき役割の一つとなる。そしてソーシャルメディアのみならず、メディアリレーションやIRなど、あらゆる広報活動において、インナーコミュニケーションは基本・前提であり、企業の屋台骨となることを、あらためて認識しておきたい。
月刊「広報会議」編集長 篠崎日向子
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