「長期的な関係づくりのためのカスタマージャーニーを考える」Part1

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2014年12月11日、「JAPAN CMO CLUB」の3回目となる研究会が開催された。11月に実施した、前2回の研究会では「自社にとってのマーケティングとは何か?から考える日本版CMOの理想像」をテーマにディスカッションを行ってきたが、そこでマーケターの関心事として「顧客との長期的な関係」「関係構築のためのカスタマージャーニー理解」というテーマが見えてきたため、今回のテーマ設定となった。

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写真左から、すかいらーく マーケティング本部 インサイト戦略 グループディレクターの神谷勇樹氏、コーセー 執行役員 宣伝部長の北川一也氏、JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏、ファイザー イノベーティブ医薬品 マーケティング統括部長の宮原京子氏、三越伊勢丹ホールディングス 経営戦略部 市場開発部 執行役員の久保田佳也氏。

研究会にはコーセー、すかいらーく、ファイザー、三越伊勢丹ホールディングスの4社よりトップマーケターが参加。今回もJAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏のモデレートで議論が進んだ。

第3回研究会参加メンバー

  • 北川一也氏(コーセー 執行役員 宣伝部長)
  • 神谷勇樹氏(すかいらーく マーケティング本部 インサイト戦略グループディレクター)
  • 宮原京子氏(ファイザー イノベーティブ医薬品 マーケティング統括部長)
  • 久保田佳也氏(三越伊勢丹ホールディングス 経営戦略部 市場開発部 執行役員)

お客様とブランドの接点で一番、重要な瞬間は?

JAPAN CMO CLUB Founder 加藤 希尊氏

JAPAN CMO CLUB Founderである、加藤希尊(かとう・みこと)氏

冒頭で加藤氏より「マーケティング活動において、一人ひとりのお客様に最適化されたアプローチの重要性が高まっている。その実現に際しては、カスタマージャーニーを理解することが必要だが、ブランドとお客様の間に接点は多岐にわたり、把握しづらい状況がある。しかしカスタマージャーニーは“瞬間”とも言える顧客接点の連続により形作られているもの。まずはブランドとお客様の接点において、重要と思える“瞬間”から考えていくと、カスタマージャーニーも理解しやすくなるはず。これまでのディスカッションでも、各社が考える重要な顧客接点の瞬間には、事業ドメインと密接するブランドのコアがあった」と解説。

加藤氏の話を踏まえ、ディスカッションは各参加者が考える「お客様とブランドの接点で一番、重要な瞬間は?」という質問から始まった。

三越伊勢丹ホールディングス(久保田氏)

小売業にとって重要な瞬間は、何と言っても「接客」。単に言葉通りの「接点」という意味だけではなく、
1.お客様に価値を伝える重要な役割を担い
2.お客様のニーズとウォンツを探りだす大切な機会であり、
3.日本ならではの“おもてなし”としての心の満足を伝える場であり、
4.五感で価値を高めて感じていただく機会(リアル・WEB)だととらえている。

コーセー(北川氏)

店舗を介しての販売が基本となる以上、販売時点、つまり「店頭」が最重要になる。そこでマーケティング背策も、店頭体験での効果をイメージし、プロモーション全体を「逆算」のイメージで個々のプロモーションをまとめていくアプローチをとっている。

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ファイザー(宮原氏)

戦略的にレバレッジが効くと判断される、市場としてポテンシャルの高い接点が重要。製薬事業の場合、カスタマージャーニーではなく「Patient Flow」として、Journeyを表現するが、潜在的な(疫学上)患者数から始まり、その患者が、通院する、通院するとしてもどんな医療機関にかかる、診断される、処方薬が選択される、継続する、ドロップする…などの接点を丹念に見ている。

すかいらーく(神谷氏)

全国に店舗の従業員が約9万人いるので、当然お客様にサービスを提供する瞬間が重要である。ただ食事の機会は毎日3食、365日あり、かつ当社の場合、「ガスト」で言えばブランド認知率が8割以上という状況なので、一般消費財のような、きれいなファネルは描けないという認識がある。しかもお客様が多様化し、一人ひとりに刺さるメッセージが違う時代には、店舗外の個別接点となる、モバイルを重視している。

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なかなか理解できないお客様

続いて、各社が抱える課題に議論が移った。三越伊勢丹ホールディングスの久保田氏から「長期的な関係を作るためには、まずお客様について深く知ることが必要だが、自社で持っているデータだけだと、“買った理由”はわかるが、“買わなかった理由”までは分からない。いかにして、買わなかった理由まで把握できるか、他社とのデータ提供の協力関係を作ることも視野に入れ、お客様の日常全体を理解できる方法はないかを考えている」との話があった。

それに対し、各種調査から毎年、各商品ブランド別の「Patient Journey」を構築し、施策を通じてその精度を判断し、ブラッシュアップし続けているというファイザーの宮原氏からは、「グループインタビューやアンケート調査など、既存の手法によって取得されるデータを積み重ねることでも、ち密なジャーニーは作れる。Patient Journeyを構築する方法は、一般消費財にも応用できるのではないか」との意見ががあった。

お客様理解を深める目的で専門部署が立ち上がり、データ分析の専門家である神谷氏が入社することになったすかいらーくでも、データをもとにした顧客分析に力を入れている。

ただ飲食業界の場合、神谷氏のようなキャリアをもった人は少ないため「顧客との直接接点があり、データ取得できる環境にあっても、人的リソースの面で、活用に課題があるケースも多い」との話があった。

また、すかいらーくグループも複数の飲食店ブランドを抱えているが、企業にとってブランド横断的なデータ活用については、今後強化されるテーマとの話がでてきた。

コーセーの北川氏からは「30以上のブランドがあり、加えてブランドによって販売チャネルも、ビジネスモデルも多様なので、ブランドごとにお客様データが分断化しているという課題がある」との話があった。

しかし、コーセーではもともとマーケティングコンサルティング会社の経営をしていた北川氏が社内に入り、宣伝部長の職に就く形で、今まさにお客様を起点にした企業全体としての、マーケティング革新が進められている。

次ページ「お客様理解が進むと、メッセージの伝え方も変わる」

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