マーケティング部門は、ビジネスイノベーションを起こせるか? ――サントリー食品×J&J×セントラルスポーツ×ソフトバンク

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参加者
  • サントリー食品インターナショナル 執行役員(マーケティング&イノベーション担当) 北川廣一氏
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー マーケティング本部 本部長
    リュウ シーチャウ氏
  • セントラルスポーツ 執行役員 マーケティング部長 鶴田一彦氏
  • ソフトバンク 広告宣伝本部広告宣伝統括部長 内池大輔氏
  • 「JAPAN CMO CLUB」 CMO 加藤希尊(みこと)氏

コミュニケーションでもイノベーションは起こせる

katoh

「JAPAN CMO CLUB」 CMO 加藤希尊(みこと)氏

2015年9月10日、第9回目となるJAPAN CMO CLUBの研究会が開催された。今回の研究会ではこれまで継続して議論してきた参加各社のカスタマージャーニー、顧客接点における最も重要な瞬間に加え、「マーケティング部門から発想するイノベーションのアイデア」についてもディスカッションを行った。

JAPAN CMO CLUBの加藤希尊氏(セールスフォース・ドットコム マーケティング・ディレクター)は新たなテーマを設定した理由を、これまで参加各社のカスタマージャーニーを議論するなかで、当初想定していたものとは異なる顧客視点に立った真のブランド価値が見えてきた例がたびたびあり、その新たに見えてきたブランド価値を起点に、業種・業態・商材のカテゴリに留まらないイノベーションのアイデアが生まれてきたため、と話した。

サントリー食品インターナショナル 執行役員(マーケティング&イノベーション担当) 北川廣一氏

サントリー食品インターナショナル 執行役員(マーケティング&イノベーション担当) 北川廣一氏

各社のカスタマージャーニーを紹介していくなかでは、サントリー食品とソフトバンクは、業種や価格帯は異なるものの、商品やサービスの差異化が難しい市場環境に置かれているという点で共通する課題があった。北川氏は消費者が店頭で購入の意思決定をするのに要する時間は3秒以内であると話し、比較検討の余地や価格もほぼ横並びという市場環境を「超コモディティ化」と表現した。

こうした課題感を持つ両社は、ともに消費者との接点としてテレビCMやデジタルなどのコミュニケーションを重視している。いずれも商品やサービスの認知を上げるだけではなく、購買につながる刺激を与えたり、思わず手に取ってしまう、店頭へ足を運んでしまうようにインサイトをうまく誘導することを目的にしている。

ソフトバンク 広告宣伝本部広告宣伝統括部長 内池大輔氏

ソフトバンク 広告宣伝本部広告宣伝統括部長 内池大輔氏

内池氏はテレビCMの好感度と顧客獲得には関連性があると考えており「認知が上がらないとサービス内容も上がらない。認知度は好感度が伴わないと上がらないので、最終的には好感度を高めることが顧客獲得につながると考えている」と話した。

セントラルスポーツの鶴田氏から、そうした好感度を追求する通信事業者の広告戦略も含め、携帯電話業界は価格や機能の差異化が伝わりにくいのではという疑問が提示された。内池氏は料金やサービスでの差別化が難しくなり、結果的に比較しにくい状況になっているのではと分析。

セントラルスポーツ 執行役員 マーケティング部長 鶴田一彦氏

セントラルスポーツ 執行役員 マーケティング部長 鶴田一彦氏

こうした「超コモディティ化」した市場環境における価格競争や好感度アップを目指す広告への投資は本当に消費者のプラスになっているのかという議論につながった。

北川氏は、特に清涼飲料市場では、多くのブランドが500mlペット、2Lペットともに、廉価でしかもほぼ同一の価格で販売されているという現実があり、消費者の本当の価値とは別の、企業側の理由を元にした「不毛な競争」が起きているのかもしれないと指摘した。内池氏も新しいテレビCMを放送すると必ず「料金を下げろ」という要望があることに触れた。

ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー マーケティング本部 本部長 リュウ シーチャウ氏

ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー マーケティング 本部長 リュウ シーチャウ氏

リュウ氏からは「一度全社でテレビCMをやめてみるとどうなるのか?」という提案も出た。現実的には難しいものの、内池氏も「もしそういうことが実現できたとすれば、そこから生まれるであろうさまざまな動きにより、他の業界にも何らかの気づきを与えられるかもしれない」とコメントした。

北川氏は超コモディティ環境で現在の延長の競争から抜け出すには、新しい価値を提示できるようなイノベーションを起こすことが必要だと言及。自社の「伊右衛門 特茶」や資生堂の「TSUBAKI」などは商品の革新性をベースに広告コミュニケーションなどを通じ、価値観の転換を起こし消費者の気持ちを捉えたことが、大きなイノベーションにつながったと話した。

変革をサポートできるコンプライアンスとは?

ジョンソン・エンド・ジョンソンのリュウ氏は、同社がヘルスケアを核とした多岐にわたるビジネスを展開しているために、本来の目的外の接点を視野に入れたコミュニケーション設計をしにくいという課題を話し、コンプライアンスが強化されすぎるとイノベーションを阻害してしまう可能性があると指摘した。

またリュウ氏は「コンプライアンスは当然守るべきものではあるが、それが過剰になり、イノベーションを制約してしまうことは本来の目的ではない」と考え、マネージメントが変わった昨年からは守るべきことは守りながらも、コンプライアンスがイノベーションをサポートできるような組織づくりに着手していると話した。

北川氏もリュウ氏に同意。サントリー食品では世間で考えられるよりも高いコンプライアンス意識を社内で求める一方で、表現やデザインでの「遊び」も求めていると話した。提供するサービスや商品に関して、守るべき一線を守りつつ、それを伝えるコミュニケーションには大胆さを持たせているという自社の例を紹介した。

次ページ 「異業種企業がつながる、コラボレーションのアイデア」へ続く

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