多様性への対応がクリエイティビティをドライブする
TBWAが近年注力している「多様性への対応」は、ディスラプションを次のステージへと押し上げる取り組みだと言える。
Chief Diversty Officer(CDO)は近年、米国で広がりつつある役職で、TBWAでは2012年5月にDoug Melville氏をCDOに迎え、国籍、人種、民族、性別、年齢、宗教、信条、社会的身分、性的指向、性同一性、障害の有無といったバックグラウンドの多様性に配慮した組織づくり・企業活動を推進している。
「テレビCMでもアメリカ全体の人口比を反映させる必要が出てきている。多様性時代に合わせたクリエイティブなメッセージや新しい表現を考えることが、エージェンシービジネスにおいて欠かせなくなっている」とMelville氏。
多様性に配慮したクリエイティブワークの事例としては、TBWA\Chiat\Dayが手がけ、カンヌライオンズ2015 フィルム部門でゴールドを受賞した、ゲータレードの企業広告「Made in NY」を例に挙げた。
ニューヨーク・ヤンキースのスーパースター、デレク・ジーターの引退にスポットを当てた同CMでは、年齢も人種も職業も関係なく、ジーターを尊敬するニューヨークの多くの人々が、彼と交流する様子が描かれている。
CDOが管轄する「多様性」には、従業員の多様性はもちろん、サプライチェーン(ビジネスパートナー)の多様性、また文化的な多様性も含まれる。
さまざまな違いを尊重して受け入れ、「違い」を積極的に生かすことは、変化しつづけるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに対応し、企業としての優位性を確立することにもつながる。
Melville氏は、「優れたクリエイティビティを生み出すためには、異質なものとのコラボレーションが必要です。テクノロジーベンダーやサービスエージェンシーなどのパートナーは、いつも同じ企業と組むのではなく、常に新しい企業との出会いを求めています。慣れ親しんだものや人・企業ではなく、あえて異質なものを取り入れるよう仕向けることが、私の仕事だと思っています」と話す。
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