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高島屋ならではの体験価値をオンラインでも実現していく〜高島屋×アイ・エム・ジェイ

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編集協力:アイ・エム・ジェイ

店舗の力が強い百貨店は小売り業態の中でも、ECの取り組みが難しい業界だ。その中で高島屋は百貨店ならではの価値に着眼し、 ギフトに注力して、毎年売上2割増の成長を続けている。百貨店のデジタルシフトが目指す道とは。高島屋 クロスメディア事業部の高橋豊事業部長とアイ・エム・ジェイ(IMJ)取締役COOの加藤圭介氏に語ってもらった。
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(写真左)高島屋 クロスメディア事業部 事業部長 高橋 豊 氏と(写真右)アイ・エム・ジェイ 取締役 COO 加藤圭介 氏

店頭×ECでお客さまのLTVが上がった

加藤 百貨店という場は、思いもよらない商品と出会えるセレンディピティが大きな魅力です。加えて高島屋さんは高い専門知識を持った店員の方たちのサービスの質が、高い信頼性の背景にあると思います。セレンディピティ、人的サービスといずれもデジタルでの再現が難しいものですが、その中でも高橋さんはEC事業を含むクロスメディア事業を担当し、毎年ECの売上を伸ばし続けていらっしゃいますね。

高橋 私が属するクロスメディア事業部は、ECだけでなく紙のカタログの通販など、無店舗販売全体を見ています。通販専門の企業ではECは紙のカタログの代替として、経営の効率化を目的に力を入れていると思いますが、高島屋の場合は従来型の通販とECは顧客層の年齢が異なるため、連携は難しいと考えています。むしろECと親和性が高いのは店頭であり、オムニチャネル戦略の中で連携の方法を模索しているところです。

加藤 店舗を持つ企業がECを始める際、社内で「自分たちの売上を奪われるのでは?」という懸念を持たれるという話をよく聞きます。

高橋 どこの会社でもある話だと思います。当社の場合には、データを見せながら地道に理解を得てきたという感じですね。例えばECと店頭の購入履歴の統合が完了した「高島屋カード」をお持ちの方に限られますが、ECでも買い物をするようになったお客さまは、LTVが向上したという結果が出ています。

あとはECのPVが最も増えるのが、閉店した後の21時~22時なのですが、こういう数値を見せると、決してECが店頭の売上を奪っているわけではなく、これまで逃していた購買機会を捉えているのだと理解してもらえるようになってきました。

加藤 EC市場において高島屋だからこそ、提供できる価値をどのように捉えていますか。

高橋 強みを発揮できる一つがギフトです。例えば、歳暮・中元の売上は全店舗の中で2位。私がECを担当し始めた5年前からギフトに注力し始めたのですが、以後ユーザー数も売上も拡大を続けています。

最終的には店舗とECがシームレスにつながり、お客さまがストレスなく、その時々に便利なチャネルで購入できるオムニチャネルの実現が目標ですが、そこに向けた第一歩は、まずECに来店していただくこと。そこで百貨店が提供できる多様な価値の中でも、ギフトに注力する戦略をとってきました。

加藤 買いたいものが決まっている自分用の買い物なら、より早く目的の商品にたどり着けるAmazonのようなサイトが便利です。一方でギフトは、シチュエーションに合った商品を提案してくれる店舗で購入したいですから、まさに高島屋さんのブランド力が生きる領域ですね。

高橋 贈り先を見ても、上司や義理の父母に差し上げるといった需要が多いので「困ったときは高島屋に行けば、間違いない」という期待感をもっていただいているのだと思います。ただ「高島屋なら安心」という期待だけでなく、「自分ならではのギフトを発見したい」という期待もあり、この2つを満たすようなサイト展開が必要だと考えています。

加藤 高島屋さんの魅力は、店頭で困った時の店員さんの適切なリコメンドだと思います。オンラインでも同様のサービスが実現できると理想ですが。

高橋 そうですね。チャットなども取り入れながら、最終的にはそこまで行ければ、と考えています。

次ページ 「ECを始めて見えたお客さまの行動」へ続く