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NHK、AIを活用したユーザー参加型番組で若年層が視聴

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デジタルマーケティングの潮流を、2014年後半から2015年に実施された代表的な事例の図解を通して理解する書籍『デジタルマーケティング年鑑2016』。その発刊を記念して、AdverTimesでは書籍に収録されている101社の事例の中から10の事例を厳選して紹介。今回は日本放送協会の特設サイト「NHKスペシャル『NEXT WORLD 私たちの未来』」を解説する。

特設サイト内「SYMPHONY」トップページ

NHKが全5回シリーズで放送したNHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」。「未来は自分たちが創り出すもの」をコンセプトに、日々進化するテクノロジーが自分たちの生活をどのように変えていくのか、ドキュメンタリーと近未来ドラマの2部構成で探った。

人工知能(AI)を採用した特設サイトでは、自分のアバターを制作できる。一般的なアバター制作は、ユーザーがパーツを選択するが、このサイトでは「男性的か?女性的か?」「未来にポジティブか?ネガティブか?」といった質問の回答から、AIがアバターのデザインを提案する。

(左)「性別:男性的~女性的」「将来に対して:希望~不安」などの項目に対して感覚的に回答するとAIがアバターのデザインを提案する。
(中)番組テーマ曲「グッドバイ」の音源からAI が生成したリミックスを聞きながら、好みを選択する。
(右)上記の選択で生成されたアバターは、2015年1月3日に放送されたサカナクションの生ライブCG合成され、観客として参加した。また、多くのユーザーに選ばれたリミックスの一部は、番組内のインターミッション映像のBGMとして採用された。

ユーザーがデザインを修正する過程も、アバターを制作するための判断材料として蓄積されていく。登録されたアバターは、シリーズ第一回で生中継されたサカナクションのオープニングライブの観客としてCG合成され、番組に登場した。

また、サカナクションによる番組テーマ曲「グッドバイ」の音源をもとに、AIがリミックスを生成。さらに、ユーザー投票で人気が高かったリミックスの構成を判断し、新たなリミックスを生成していく。この過程を繰り返し、リミックスは「進化」していく。

特設サイト内「NEXT WORLD MAP」
番組でも紹介した、30年後のネクストワールドで実現するだろうビジネス、医療、娯楽などの分野での新たなテクノロジーを一覧化した「地図」。横軸は現在から未来までの時間軸、縦軸はユーザーがその技術に対して感じる「ポジティブ/ネガティブ」軸。

各テクノロジーの詳細画面では、解説映像を見られるほか、ポジティブ/ネガティブの選択ができる。ユーザーの選択により、マップは常に変化する。

ユーザーのネット上の挙動を番組に反映する「新しい視聴者参加の仕組み」にトライし、「未来」をテーマにした番組と最新テクノロジーを体験できる特設サイトとなった。アバターの生成数は4万件以上、リミックスの投票数は約3万件、進化は75世代にも達し、視聴者も20〜30代の若年層に広がった。


寺園 慎一 氏
大型企画開発センター
エグゼクティブ・プロデューサー


こちらの記事は、2016年2月1日に発刊される「デジタルマーケティング年鑑2016」(宣伝会議・刊)より一部抜粋しました。事例をご覧になりたい方に向けた書籍です。
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