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マーケ部門が情シスの重い腰を上げるためには?デジタル推進担当者 悩み解決Q&A<デジタル・シフトVol.6>

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Q クラウド系のサービスを導入しようと思ったら、情報システム部門に「セキュリティ上の問題がある!」と言われてストップ。本当に、問題なんてあるのだろうか。またどう説得したらいいのでしょう?

クラウド型ツール/システムの導入に対するハードルの高さも昨今マーケティング部門が抱える大きな課題となっています。特に、日本の大手企業において直面する課題です。

事業継続計画(BCP)に関わり、個人情報を抱える業態の場合には経営リスクにも直結する問題となるため、IT部門の現場レベルでの判断でなんとかできるものではないというケースが多いでしょう。従って、企業全体でのクラウド型システムに対する考え方・方針そのものを、経営層を巻き込んで決めていくプロセスに関わり、方針レベルでの変更を仰ぐ必要がでてきます。

とは言え、IT部門が日常的に取引を行っている国内・外資大手ITベンダーもその多くがクラウド型システムの提唱をしており、こうした課題の検討を全く行っていない企業は既にマイノリティになりつつあると感じています。

こうした方針レベルでの関わりに加えて、マーケティング部門としてクラウド型のシステム選定時にIT部門の観点も含めて検討をしてみることも重要です。「クラウド型のシステムは問題」という一言には実に様々なイシューが含まれています。

例えば、「セキュリティ」の観点では、情報漏洩対策がどのくらいできているか(個人情報漏洩の危険性)が大きな課題となります。また、「事業継続性」の観点では、SLA(品質保証契約)がどの程度か(年にどのくらいのシステム停止が想定されるのか)やデータのバックアップの仕組みやデータ復旧までの時間、システム変更時や経営統合などに際してデータを回収する際の取り決めなどが論点となりえます。また、コンプライアンスや法律、オペレーションなどの観点では、データがどこに保存されるのか(データセンターがどの国になるのかなど)、セキュリティに関する調査への協力体制、ユーザー毎の細かな権限管理の有無や障害時のアラート方法などがその内容です。

このように、単に「クラウドではあるが、安全なシステムだ」とするのではなく、具体的にどのような形でサービスが提供されるのかをベンダーから提案してもらえるように選定時の要件に含めておくことが重要です。

デジタル・シフトに際し、一番の壁になるのはIT部門との関係、といわれがちですが、売上向上のみならず、費用削減・リスク回避といった包括的な視点から「デジタル・シフト」を実現する機会と前向きにとらえることが重要かと思います。全6回のコラムがデジタルマーケティングに取り組む担当の方にとって、課題解決の解を得るヒントになることを願っています。


田島 学 氏(たじま・まなぶ)
アンダーワークス 代表取締役社長

早稲田大学政治経済学部卒。南カリフォルニア大学留学。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)にて大手企業Web CRM戦略立案、Webを利用したロジスティックス改善プロジェクト、ダイレクトチャネル戦略立案等に従事。セキュリティ認証事業ベンチャーの立ち上げを経て、アクセンチュアとソフトバンクのジョイントベンチャーであるイーエントリーにて、海外IT企業の日本市場進出コンサルティングを行う。2004年よりコンサルタントとして独立、多くのWebサイト調査分析/戦略立案/構築プロジェクトに参画。2006年4月、アンダーワークスを創業。