神戸市、旅行客をセグメントし最適な広告クリエイティブ配信で宿泊客が増加

デジタルマーケティングの潮流を、2014年後半から2015年に実施された代表的な事例の図解を通して理解する書籍『デジタルマーケティング年鑑2016』。その発刊を記念して、AdverTimesでは書籍に収録されている101社の事例の中から10の事例を厳選して紹介。今回は2014年12月から2015年2月までで実施された「DMP分析×セグメントごとのクリエイティブ配信」について神戸市の藤田氏に聞いた。

関西圏では「神戸=お洒落な街」というイメージが根付いているものの、担当の藤田氏によれば、首都圏をはじめとする関西圏以外では「神戸ブランド」の力は、以前に比べ弱まってきているという。

神戸を訪れる観光客は、日帰り観光で大阪や京都などに宿泊するケースが多く、経済波及効果が少ない。しかも、関西圏からの観光客が圧倒的に多く、首都圏からの観光客はわずか5.8%に過ぎない。こうしたことに対し、“強い観光都市”を目指す神戸市としては危機感を持っていた。

そこで、首都圏在住者のなかで「神戸旅行を思い立ったが断念した人」や「神戸旅行を思い立たなかった人」といった“潜在旅行者”を対象に誘致活動を進めた。まず、5万人の生活者へのインターネット調査およびソーシャル上の口コミ分析を実施。あわせて、神戸市観光情報サイト「Feel KOBE」閲覧者のデモグラフィック属性や閲覧履歴などをDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を用いて分析した。さらに、この分析結果とスマートフォンの基地局ベースの位置情報とを組み合わせ、神戸旅行者の行動を詳細に把握した。

神戸市観光情報サイト「Feel KOBE」PC版

神戸市観光情報サイト「Feel KOBE」スマートフォン版

検索行動と位置情報を組み合わせて「どの地点で、どの時間に、どのような内容を検索しているか」を解析し、旅行者にとっての神戸の魅力を詳細に把握した。その情報を活かして潜在マーケットへの細やかな提案につなげている。

こうした分析から、ターゲット属性を6つのセグメントに分類。1セグメント3種類、合計18のバナー広告を作成し、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)で配信した。これをさらにDMPで分析し、反応の高かった6分類を抽出し、その分類ごとに宿泊旅行へと誘導する動画を6種類作成し配信した。

DMP分析で見えてきた属性を6つのセグメントに分け、1セグメント3種類合計18個のバナーを作成しDSPで広告配信をおこなった。その結果、反応が強くなる属性とクリエイティブが違うことが判明した。その傾向を活かして2015年2月には、上記赤枠の6種類の宿泊誘導する動画を作成した。「女性20代オシャレミーハー層」セグメントでは「ワンランク上の神戸旅」と「ちょっと気取った神戸食い倒れ旅」とでは、後者が一見サイトへの遷移数などでは勝っていたが、宿泊ページの閲覧率では前者が圧倒的な数値となるなど、日帰り観光と宿泊観光で反応が違うことが分かった。

こうした取り組みの結果、神戸市内の宿泊観光客数に増加が見られた。また、FeelKOBEスマートフォン版での位置情報と連動した検索・訪問履歴を組み合わせ、より適切に本質的な魅力を伝えるための研究を進めている。

神戸市産業振興局観光コンベンション部 観光コンベンション課 インバンド・神戸市観光プロモーション担当係長 藤田修司氏


こちらの記事は、2016年2月3日に発刊された「デジタルマーケティング年鑑2016」(宣伝会議・刊)より一部抜粋しました。事例をご覧になりたい方に向けた書籍です。
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