自由に動けなくてもとりあえず何かやってみる。
村田:今でこそ私たち二人の仕事の仕方は変わっていますが、もともとは同じ部署に配属されていました。僕は1年目の頃は、どちらかというとマーケティングに近いことを担当していました。
尾上:僕はWebプロデューサーのような立場で、スケジュールや金銭の管理を行っていたのですが、無能だったためか2年目になって2人ともクリエーティブ局に配属されます。
村田:僕はCMの仕事をずっとやりたいなと思い、電通に入ったのですが、5年間くらいほとんど納得のいく仕事ができなかった・・・。
尾上:僕も同じですね。クリエーティブに来てからすぐは何10個も提案したのに、毎回案件が「なくなっちゃいました~」みたいなのばかりで、全然形にならない。ローンチ直前でなくなったり、地獄ですよ。「お祓いに行った方がいいんじゃないの?」って周囲の人から言われていましたから。
そんなときにですね、ぼくはWebマンガを描いてまして、「いいね!」欲しさに破滅していく人の話を描いていました。そうやって、日々のモヤモヤや制作への欲求を昇華していましたね。
村田:当時、すごく話題になっていたよね。
尾上:「3000いいね!」とかついて。師匠の電通の岸勇希さんに業務で激ギレされながらも、傍らで増えていく「いいね!」の数をスマホでみて、心のバランスをとっていました。
村田:CMも同じで、若手がつくったものはなかなか納品されない。何をやっていたかというと、結婚式ムービーをやたら気合い入れてつくっていました。奥さんの美貌に嫉妬したゴリラみたいな新郎が脱毛とかブリーチとか腸内洗浄をするというストーリーの動画をスタジオを借りてまで撮影するという。
僕は必要に迫られて企画だけでなくディレクターも担当するようになったのですが、この結婚式ムービーの撮影・編集の経験が結構ばかにならなくて。広告のミニチュア版みたいな作業を自分で手を動かした時の経験が数年後の仕事に案外生きている気がします。自由に動けなくてもとりあえず何かやってみる、形にしてみることが大事だと思います。
例えば書く仕事であれば、ブログで反応を得てみるとか、コンペに応募してみるとか、PRの仕事であれば、Twitterに投稿して、手ごたえを掴んでみたりとか。
尾上:そういえば、僕もレバ刺しが禁止になったときに「レバ刺し.com」というサイトを同期と公開して、ヤフトピにまで掲載されましたね。
村田:そう。自分がやりたい方向の一番手前にありそうなことを試行錯誤しながらやってみると、何年後かに急にそれがつながったりするので、まずは手を動かしてみるのがオススメです。
尾上:あとは悲壮感なく、元気にやることだよね。月並みだけど。
村田:「楽しそうに仕事しているやつのところにしか、楽しい仕事は来ない」と岡康道さんも言っていましたね。ちなみに僕らは結構ヤバい状況でも、肩の力を抜いて余裕があるように見せながら仕事していく姿勢を「ゴンパる」って言っています。
尾上:CMプランナーの権八成裕さんからね。
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