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レガシー企業が目指すべきは、スタートアップマインドをもった「ドラゴン企業」

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5月30日から6月2日の4日間、東京・六本木の東京ミッドタウンをメイン会場に「Advertising Week Asia(アドバタイジング ウィーク・アジア)」が開催された。今秋12周年をニューヨークで迎えるアドバタイジングウィーク。毎春ロンドンで開催されるアドバタイジングウィーク・ヨーロッパに続き、今年から新たにアジアで開催されることとなった。期間中の動員数は約1万1000人。ブランドマーケターを中心に、クリエイティブエージェンシー、メディアエージェンシー、デジタルエージェンシー、メディアカンパニー、 テクノロジストなど、さまざまな立場のキーマンが一堂に会し、グローバル/アジアパシフィックエリア共通の課題や、先進的な取り組みを共有した。
ここでは、モンデリーズ・インターナショナルのメディア/Eコマース統括者による「Forget Unicorns: Breeding Dragons in a Mobile World(ユニコーン企業のその先へ-モバイル時代におけるドラゴン企業になろう)」をテーマとした講演のレポートを、登壇者への個別インタビューの内容と合わせて紹介する。

企業のマーケティングにおけるモバイルへの投資は不十分

ベンチャー市場が活況の今、「ユニ コーン企業」という言葉を知っている人も増えてきただろうか。非上場にもかかわらず、企業価値が10億ドルを超える有望ベンチャー企業を指す。
世界165カ国で親しまれる菓子メー カー モンデリーズ・インターナショナルによるセミナーに登壇したのは、同社でメディアおよびEコマースを統括するB.Bonin Bough氏。伝統企業がユニコーン企業の要素を取り込むことで、伝統企業の強みを基盤にしながら、成長スピードの速い10億ドル規模のビジネスを創出できることを、自社の取り組みに沿って紹介した。

5月に、グローバルにおけるメディア投資のROIを向上するための新しいメディア・マネタイゼーション・モデルを ローンチするなど、近年、自社のコンテ ンツ資産を生かしたEコマースやメディ アのマネタイズにおいて先進的な取り組みを次々と打ち出しているモンデリーズ。

Bough氏は、レガシー企業は、ユニコーン企業を取り込みながら、スケールメリットのあるビジネスを展開する「ドラゴン企業」をつくるべきだと主張する。ドラゴン企業とは、親会社の強みを基盤につくられるスタートアップマインドのビジネス。成長速度が速く、既存の業界の枠組みを破壊するモデルを生み出すことで、組織全体を強くする役割を担う。 一般的に、大きな変革に対して否定的である、動きが鈍いと言われる大企業において、時代に合った10億ドル級のビジネスをスピーディーに生み出すには、 どんな取り組みが必要か。同氏は、ドラゴン企業を「孵化させる」→「育てる」→「乗りこなす」という3つのプロセスに沿って解説した。

ドラゴン企業のつくり方

(1)Hatching Dragon(孵化させる):モンデリーズは2013年、独自のアクセラレータ ープログラム「Mobile Futures」をローンチ。スタートアップ企業とコラボレーションし、90日間でモバイル関連のパイロットプロジェクトを 立ち上げ、ブランドとのマッチングを図 る。伝統企業にいながらにしてスタートアップのカルチャーに触れ、ともにプロダクトやサービスをつくることを通じて、 モンデリーズのマーケターが学びを得る ことができる。アイデアをアイデアで終 わらせず、実現のための投資を保証する システムがあることも特徴。

(2)Raising Dragon(育てる):アイデアを実現できるような、企業風土を育てる。恐れを知らないマーケター=“FEARLESS MARKETER”の集団になることを目指す。そのマインドがアウトプットとして現れた一つの例が、2014年に制作されたHONEY MAIDのテレビCM「THIS IS WHOLESOME」 と、それに対するSNS上の反応を受けて制作したムービー「Love」だ。「時代が変わっても、HONEY MAIDのお菓子は変わらず健康的な原材料でつくり続けられており、 家族の絆も変わらない」というメッセージを発信するために制作したCMに同性婚カップルの家族が登場したことで、同性愛反対派が猛反発。これを受け、モンデリーズは彼らがSNSに投稿した批判的なコメントを紙に出力、一つひとつ筒状に丸めて並べ、大きな「Love」の文字をつくるムービーを公開した。「家族をつくるために必要なものはたった一つ(=LOVE)」というメッセージで締めくくられる動画は400万回以上再生され、ブランドの検索件数は2009年以降のどの期間と比較しても14倍以上になった。

「THIS IS WHOLESOME」
「Love」

また、従来型の広告メディア投資を、利益を生むメディア投資へと転換することにも挑戦している。消費者とブランドとのエンゲージを強化するだけでなく 「利益を生み出す(マネタイズする)」ブランデッドコンテンツをつくる。コンテンツ自体が収益性を持つ、ROIの高いまったく新しい広告モデルにチャレンジしている。「OREO: Twist, Lick, Dunk」は、その発想で開発し、成功を収めたモバイルゲームだ。

「OREO: Twist, Lick, Dunk」

(3)Riding Dragons(乗りこなす): 既存の企業・ビジネスの概念を破壊し、新しいカルチャー、ムーブメントを起こす存在として、次々と新しい取り組みを打ち出す。例えば、インタラクティブの祭典「サウス・バイ・サウスウェスト」では、3D プリント技術とロボット工学を組み合わせて制作した、自分だけのオリジナル・オレオをつくれるマシーンを披露。一時は、2時間半待ちの行列ができたという。Bough氏は「当時はイベントのみでの展開だったが、ECを使えばより多くの消費者にこの体験を届けられる。10億ドル規模のビジネスになり得るアイデアだ」 と、自信をのぞかせていた。

2014年のSXSWで披露された「Oreo Trending Vending」。

次ページ 「個別インタビュー「いかなるデジタル戦略も、消費者ニーズを起点に考えるべき。」」へ続く

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